【ことわざ】
六日の菖蒲十日の菊
【読み方】
むいかのあやめとおかのきく
【意味】
時機に後れて役に立たない物事のたとえ。
【語源・由来】
5月5日の節句の翌日の菖蒲の意、また、9月9日の菊の節句の翌日に咲いた菊の意。
【類義語】
・六日の菖蒲(むいかのあやめ)
・十日の菊(とおかのきく)
・十日の菊六日の菖蒲(とおかのきくむいかのあやめ)
・六菖十菊(ろくしょうじっきく)
【対義語】
・喧嘩過ぎての棒乳切り(けんかすぎてのぼうちぎり)
・夏炉冬扇(かろとうせん)
・後の祭り(あとのまつり)
【英語訳】
The day after the fair.
A day after the fair.
It is late for an opportunity and is worthless.
「六日の菖蒲十日の菊」の使い方
「六日の菖蒲十日の菊」の例文
- 今ごろやってきても、六日の菖蒲十日の菊だよ。
- 式典が終わってから、花束を渡されても、六日の菖蒲十日の菊だ。
- 誕生日はみんなでお祝いをしようと言ってたのに、3日も過ぎてから連絡をしてきても、もう六日の菖蒲十日の菊じゃないか。
- 招待状を渡していたのに、結婚式が終わってから帰国するなんて、六日の菖蒲十日の菊だ。
- 彼はいつも、六日の菖蒲十日の菊だから、もう頼まないことにした。
「六日の菖蒲十日の菊」を深掘り
「六日の菖蒲十日の菊」という日本の諺は、時宜を得ない行動の無益さを象徴的に表しています。
端午の節句には菖蒲が、重陽の節句には菊がそれぞれ用いられるという日本の伝統に基づき、これらの花は節句の当日、つまり五月五日と九月九日に関連付けられた風習や意味を持っています。
菖蒲は邪気を払い、健康や長寿を願うために、また菊は不老長寿の象徴として、それぞれの節句に飾られたり用いられたりしてきました。
しかし、節句の翌日にそれらの花を用いることは、「役に立たず」や「手おくれ」とされ、大切な時期を逃すことの例えとされています。
この諺は、タイミングの重要性を教え、季節の行事において正しい時に正しい行動を取ることの大切さを示しています。そうすることで、各節句に込められた願いや意味を適切に享受することができるとされるのです。
「霍公鳥待てど来喧かず菖蒲草玉に貫く日をいまだ遠みか」と大伴家持が詠んだ『万葉集』の一節や、自然の中のアヤメの美しさを詠んだ「雲にうつる高原あやめ咲きにけり」(岸郎)という句など、日本の文学においてもこれらの花は美しさとともに特定の時期の象徴として詠まれています。
時代が変わっても、端午の節句には菖蒲湯に使われる昔ながらのサトイモ科のショウブが今もなお銭湯などで用いられているなど、伝統が色褪せることなく受け継がれています。
このように、「六日の菖蒲十日の菊」という諺は、日本文化の深い理解を促し、節句における行動のタイミングがいかに重要であるかを教えてくれる教訓となっているのです。