【ことわざ】
無い袖は振れない
【読み方】
ないそではふれない
【意味】
持っていないお金は、出してあげたくても出せないということ。
【由来】
江戸時代、袖の長い振袖は、子供や未婚の女性が着るものでした。江戸時代初期、女性が積極的に恋愛感情を表に出すことが恥とされていた頃、踊り子たちは言い寄ってくる男性からの愛をOKしたり、NOと拒否したりする手段として、袖を振って返事をしていました。OKなら袖を左右に振り、NOなら袖を前後に振ります。それを見ていた一般の未婚女性たちが真似をして、いつしか袖を振る行為が求愛のサインへと変わりました。意中の相手に袖を振り、相手が袖を振り返してくれたらOKのサインになったのです。そして女性は結婚すると着物の袖は短くなりました。つまり結婚してしまうと、どんなに素敵な男性から言い寄られても、良い返事をしたくても、ない袖は振ることができません。そこから「ない袖は振れない」という言葉が生まれました。そこから転じて、お金がないので、貸したくても貸すことができないという言葉になりました。
【類義語】
・有る袖は振れど無い紬は振れぬ
・無い袖振って付き合われぬ
・無い知恵は出せぬ
・すってんてん
・すかんぴん
【英語】
・A man cannot give what he hasn’t got.(所有してないものを与えることはできない)
・You can’t get blood out of stone.(石から血を搾り取ることはできない)
・Where nothing is, nothing can be had.(何も無いところでは、何も手に入れることはできない)
・An empty bag will not stand upright.(中身の入っていない袋はまっすぐに立たない)
・Nothing comes from nothing.(無からは、何も出てこない)
「無い袖は振れない」の使い方
「無い袖は振れない」の例文
- お金を貸してあげたいけど、無い袖は振れないよ。
- 何とか力になってあげたくても、お金も力もないので、どうすることもできない。無い袖は振れないよ。
- 友だちに、漫画を買うお金をかしてと言われたけれど、ぼくもお金がない。無い袖は振れないよ。
- 確かに良い企画だからスポンサーになりたいけど、無い袖は振れないね。
- 「新発売のゲームを買ってくれといわれても、無い袖は振れないよ。」と母に言われた。
- 借りたお金を返したいけど、無い袖は振れないから返せないんだ。
【注意!】間違った例文
❌「中々よい考えがうかばない。無い袖は振れないなぁ。」