「精を得て麤を忘る」の意味(語源由来・出典・故事)
【ことわざ】
精を得て麤を忘る
【読み方】
せいをえてそをわする
【意味】
物事の真髄をつかみ、本質的なことに無関係なことは忘れてしまうこと。見かけにとらわれず本質だけとらえること。
大事なのは中身や本質で、それを理解してると、細かい部分は忘れてもええってことやな。
【語源・由来】
一番優れた点をつかまえてできの悪さは心にかけない意から。
【出典】
「列子」
【故事】
中国秦の穆公が馬の名人伯楽の推薦する九方皐に馬を買いに行かせた。三か月して帰ってきた皐は名馬を手に入れたと報告し「牝の黄色い馬です」と答えた。穆公が馬を見ると牡の黒い馬だったので文句を言うと、伯楽が「皐は精を得て麤を忘れるほど馬の鑑定に熟達しているので、名馬としての先天的本質だけを見て、毛の色とか牝牡といった末梢的なことには目をつけていない」と答えた。果してその馬は名馬だった。
「精を得て麤を忘る」の解説
「精を得て麤を忘る」という表現は、物事の本質や真髄を把握した後に、表面的な部分や細部に関係のないことを忘れ去ることを意味しているんだ。このことわざは、物事の中心的な部分や本質に焦点を当て、それ以外の無関係な詳細や外形には気を取られないことを表しているんだよ。
ここでいう「精」とは、物事の核心や本質のことを指し、「麤」(そつ)は粗末な部分や本質ではない部分を意味しているんだ。つまり、この表現は、物事の最も重要な点を理解し、それ以外の余計な部分は忘れることの大切さを示しているんだね。
たとえば、学問を学ぶ際に重要な概念を理解し、細かい事実や詳細は必要に応じて後で学ぶ、あるいはビジネスの戦略を練る際に核心的な目標に集中し、小さな問題にはあまり注意を払わないといった状況がこれにあたるんだ。
「精を得て麤を忘る」は、どんな状況においても本質的なことに焦点を当て、重要でない部分に惑わされないことの重要性を教えてくれているんだね。それは、物事の本質を把握することが、成功への鍵であるという考えを示しているんだよ。
「精を得て麤を忘る」の使い方
「精を得て麤を忘る」の例文
- 細かいところまで完璧でなくていい。精を得て麤を忘るように本質的な所だけとらえていればいいんだ。
- 母が作る物は、精を得て麤を忘るように、見た目は悪いが体に優しい家族思いの家庭料理だ。家庭料理はやはり、家族への愛情が本質だ。
- 体裁だけ取り繕った中身がないものより、精を得て麤を忘る方が断然いいに決まっている。
- 精を得て麤を忘る彼が認めたものなら、本当に良いものなのだろう。
- 心の目で見れば、見た目にとらわれず精を得て麤を忘ることができる。