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【華胥の国に遊ぶ】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・英語)

華胥の国に遊ぶ

【故事成語】
華胥の国に遊ぶ

【読み方】
かしょのくににあそぶ

【意味】
よい気持ちで昼寝をすること。

ことわざ博士
華胥の国に遊ぶは、夢の中で理想郷を訪れた黄帝の故事を踏まえた表現だよ。
助手ねこ
昼間に心地よく眠っている人を、故事に重ねて表す場面に用いるニャン。

【英語】
・take a pleasant nap.(気持ちよく昼寝をする)

【類義語】
・午睡(ごすい)

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「華胥の国に遊ぶ」の故事

故事成語を深掘り

「華胥の国に遊ぶ」は、中国の道家の書『列子(れっし)』の「黄帝」篇に記された物語に由来します。『列子』は、戦国時代の思想家・列子の著作と伝えられますが、現行本は前漢末から晋代にかけて形づくられたとされています。

物語の主人公は、古代中国の伝説上の帝王である黄帝(こうてい)です。黄帝は即位してから十五年の間、人々から敬われることを喜び、目や耳を楽しませる暮らしを続けましたが、心身ともに疲れてしまいました。

それからさらに十五年、黄帝は天下が十分に治まらないことを憂え、知恵と力を尽くして政治に励みました。しかし、懸命に世を治めようとしても、やはり顔色が衰え、心が惑うほど疲れ切ってしまいます。

黄帝は、自分一人を養おうとしても、万物を治めようとしても、無理に力を加えれば苦しみが生じると悟りました。そこで政務から離れ、宮殿の奥で心を静め、三か月の間、政治に直接携わらずに過ごしました。

ある日、黄帝が昼寝をすると、夢の中で「華胥氏の国」を訪れました。原文には「晝寢而夢、遊於華胥氏之國」とあり、昼寝をして夢を見、華胥氏の国に遊んだことを表しています。

華胥氏の国は、中国から何千万里も離れ、舟や車を使っても、歩いても行くことのできない場所でした。黄帝は肉体を運んだのではなく、ただ精神によって、その国を旅したのです。

その国には、命令を下して人々を従わせる支配者がいませんでした。それでも世は乱れず、人々は欲望にとらわれることなく、あるがままに暮らしていました。

人々は、生きることだけを喜び、死を恐れるような執着をもちませんでした。自分と他人を分け隔てず、愛する者と憎む者、味方と敵、利益と損害といった区別にも、心を乱されませんでした。

また、水に入っても溺れず、火に入っても熱さを受けず、空を歩いても地面を踏むように進めました。雲や霧も視界を遮らず、雷鳴も耳を乱さず、美しいものや醜いものにも心を奪われない境地にありました。

夢から覚めた黄帝は、心が晴れやかになり、最高の道は、人間の思いや知恵だけで無理に求められるものではないと悟りました。その後、二十八年にわたって天下はよく治まり、華胥氏の国に近い平和な世になったと記されています。

この物語から、「華胥の国」は、欲望や争いがなく、無為自然(むいしぜん)のうちに治まる理想郷を指すようになりました。また、「華胥」だけでも、理想的な夢の世界や、昼寝・午睡を表す言葉として使われるようになりました。

日本では、『秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく)』(830年ごろ・平安時代前期、空海著)に、すでに「華胥」を用いた例があります。中国の故事が早くから日本へ伝わり、「華胥」が眠りや夢を表す典雅な言葉として受け入れられていたことが分かります。

江戸時代には、中井履軒が『華胥国物語』(1780年)を著し、自室の入口に「華胥国門」という額を掲げ、自らを「華胥国王」になぞらえました。ここでは、華胥の国が、平和な政治の行われる理想国として受け継がれています。

夏目漱石の『文学評論』(明治42年)には、「満堂の大衆悉く華胥の国に遊んで、万事何だか分らなくなる」とあります。大勢の人が眠り込み、話の内容が分からなくなる様子を、黄帝の夢の旅になぞらえた用例です。

このように、もとは黄帝が夢の中で理想郷を訪れた物語でしたが、日本語では、眠って夢の世界へ出かける姿を上品に言い表す表現となりました。「華胥の国に遊ぶ」は、心地よい昼寝を壮大な夢の旅に見立てた故事成語です。

「華胥の国に遊ぶ」の使い方

ともこ
健太くん、お昼休みなのに机に突っ伏してずいぶん気持ちよさそうに眠っていたね。
健太
うん、実は算数の難しいテストが終わって安心したからか、ものすごく深い眠りに落ちていたんだ。
ともこ
まさに華胥の国に遊ぶという言葉の通り、起こすのがもったいないくらい幸せそうな寝顔だったよ!
健太
夢の中で大好きなハンバーグをたくさん食べる世界に行っていたから、本当にその通りだね。
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「華胥の国に遊ぶ」の例文

例文
  • 昼休みの教室では、何人もの生徒が机に伏して華胥の国に遊ぶ
  • 祖父は暖かな縁側で華胥の国に遊ぶのを、毎日の楽しみにしている。
  • 春の日差しの下で華胥の国に遊ぶ彼の寝顔は、実に穏やかだった。
  • 昼食後、休憩室で華胥の国に遊ぶ社員を、同僚はそっとしておいた。
  • 講演が長引くと、後ろの席で華胥の国に遊ぶ人が現れた。
  • 旅の途中、湖畔の木陰で華胥の国に遊ぶひとときが、何よりの休息となった。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修、小学館国語辞典編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・福永光司訳『列子 1』平凡社、1991年。
・空海『秘蔵宝鑰』830年ごろ。
・中井履軒『華胥国物語』1780年。
・夏目漱石『文学評論』春陽堂、1909年。





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