【嘘つきは泥棒の始まり】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

嘘つきは泥棒の始まり

【ことわざ】
嘘つきは泥棒の始まり

【読み方】
うそつきはどろぼうのはじまり

【意味】
平気で嘘をつく者は、やがて盗みも平気でするようになるという戒め。嘘をつくことは、さらに大きな悪事へ進む第一歩だということ。

ことわざ博士
嘘を軽く考える心のゆるみが、善悪の判断まで鈍らせる危険を警告する言葉だよ。
助手ねこ
特に、子どもや身近な人の嘘を、悪い習慣になる前に厳しく戒める場面で用いるニャン。

【英語】
・He that will lie will steal(嘘をつく者は盗みもする)

【類義語】
・嘘は泥棒の始まり(うそはどろぼうのはじまり)

【対義語】
・嘘も方便(うそもほうべん)

「嘘つきは泥棒の始まり」の語源・由来

ことわざを深掘り

「嘘つきは泥棒の始まり」は、嘘を平気でつくようになると良心が鈍り、やがて盗みのような重い悪事にも手を染めかねないと戒めることわざです。特定の人物の逸話を語るものではなく、嘘を禁じる日常の教えとして伝わってきました。

「嘘つき」は、事実と異なることを言う人、とりわけ、嘘をつくことが習慣になった人を指します。「泥棒」は他人の物を盗む人であり、「始まり」は、そのような重大な悪事へ向かう最初の一歩を表します。

同じ教えを表す古い言い回しには、「嘘言う者は盗みする」「嘘をつくは盗人の下地」などがあります。「下地」は物事の土台を意味し、嘘を重ねる習慣が、盗みを働く心の準備となってしまうという考えを示しています。

現在につながる古い記録として、松本真弦編『皇国俚諺叢(こうこくりげんそう)』(明治34年)には、「うそは泥棒の始まり」とあります。同書は、日本各地に伝わることわざを集めた書物で、この言い方が明治時代にはすでに、世間の戒めとして用いられていたことを伝えています。

この明治時代の用例では、現在の「嘘つきは」ではなく、「うそは」という形を取っています。しかし、嘘を悪事への出発点と捉え、「泥棒の始まり」と結び付ける言葉の骨組みは、現在の形と変わりません。

林不忘の小説『丹下左膳(たんげさぜん) 日光の巻』(昭和9年)にも、このことわざが使われています。同作は、昭和9年1月から9月まで新聞に連載されており、このころには、物語の会話にも取り入れられるほど広く通じる表現になっていました。

田辺聖子『おセイさんのほろ酔い対談』(昭和52年)には、「うそはドロボーのはじまり」という、ひらがなと片仮名を交えた形が出てきます。表記をくだけたものに変えても、嘘を悪事への入り口として戒める意味は保たれています。

このように、「うそは泥棒の始まり」という形と、「嘘つきは泥棒の始まり」という形は、ともに同じ教えを表します。行為そのものを主題にする「嘘は」から、嘘を習慣にする人へ注意を向けた「嘘つきは」という形も、広く定着しました。

ここでいう「始まり」は、一度嘘をついた人が必ず泥棒になるという断定ではありません。小さな嘘を悪いと思わずに重ねると、善悪の境目を越えやすくなるため、最初の段階で自分を律するよう、強く戒めています。

そのため、失敗を隠すために嘘をついたり、自分の利益のために人をだましたりしたときに用います。身近な間柄で、嘘が癖になる前に正直さを取り戻させようとする場面にふさわしい言葉です。

一方、「嘘も方便」は、よい結果を得るためには、場合によっては嘘も必要になるという教えです。「嘘つきは泥棒の始まり」が、自分を守るための不正な嘘を厳しく禁じるのに対し、「嘘も方便」は、事情や目的を考えて判断する立場を表します。

「嘘つきは泥棒の始まり」は、小さな不正を見過ごさず、正直に行動する大切さを教えます。悪事が大きくなってから悔やむのではなく、その入り口となる嘘の段階で立ち止まるよう促すことわざです。

「嘘つきは泥棒の始まり」の使い方

健太
算数のテストで百点を取ったってお母さんに言ったけれど、本当は六十点なんだ。答案も机の奥に隠しちゃった……。
ともこ
それはだめだよ。嘘つきは泥棒の始まりっていうでしょう?
健太
うん。ごまかすために、また別の嘘をつきそうになったよ。
ともこ
今日のうちに正直に話そう!答案を見せて、間違えた問題をやり直せば大丈夫だよ。

「嘘つきは泥棒の始まり」の例文

例文
  • 母は、割った花瓶を隠して弟のせいにした私を、嘘つきは泥棒の始まりと厳しく戒めた。
  • 先生は、宿題をしたと偽った児童に、嘘つきは泥棒の始まりだから正直に話すよう諭した。
  • 父は小さなごまかしも見過ごさず、嘘つきは泥棒の始まりと子どもたちに教えた。
  • 店長は売上額を偽った店員に、嘘つきは泥棒の始まりという言葉を忘れてはならないと告げた。
  • 嘘つきは泥棒の始まりという戒めを胸に、少年は拾った財布を交番へ届けた。
  • 地域の講話では、嘘つきは泥棒の始まりを例に、小さな不正を放置する危うさが語られた。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・松本真弦編『皇国俚諺叢』八尾新助、1901年。
・林不忘『丹下左膳 日光の巻』1934年。
・田辺聖子『おセイさんのほろ酔い対談』講談社、1977年。
・穴田義孝「“ことわざ社会心理学”の探究」『明治大学社会科学研究所紀要』第46巻第2号、2008年。




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