「病は気から」の意味(類義語・英語訳)
【ことわざ】
病は気から
【読み方】
やまいはきから
【意味】
病気は気の持ち方一つで悪くもよくもなるということ。
気持ちが前向きやと、体調も上向くこともある、逆にネガティブな気持ちやと体調も悪くなる可能性があるってわけやな。これは、心と体の関係を教えてくれる言葉やな。
【類義語】
心配は身の毒(しんぱいはみのどく)
百病は気から起こる(ひゃくびょうはきからおこる)
【英語訳】
Care killed the cat.
「病は気から」の解説
「病は気から」っていうことわざの元になったのは、中国古代の医学書『黄帝内経素問』にある「百病は気に生ず」という言葉だよ。
ただね、この中国の古い本で使われている「気」は、今の日本語でいう「気持ち」や「心」の意味ではなくて、「体内をめぐる生命のエネルギー」を指しているんだ。
中国の古代医学では、人の体は「気」「血」「水」の3つのものからできていると考えられていたんだよ。その中でも、「気」は人の体の中をめぐる大切な力で、この力がうまく働かなくなると病気になると考えられていたんだ。
だから、本当は「病は気から」は、「体の中のエネルギーが乱れると病気になる」という意味なんだよ。でも、時代が経つにつれて、「気」は「気持ち」や「心」のような意味に変わっていき、今の「病は気から」の意味になったんだね。
つまり、このことわざは、心が落ち込んだり、ストレスを感じたりすると体調も悪くなる、という意味になっているんだよ。
「病は気から」の使い方
「病は気から」の例文
- 課長はタフだな、高熱を出して寝ていたのに今日は全くその影もない。病は気からだな、気合いが違う。
- 病は気からといいますが、先生から言われて軽い運動をしてみたら、気分も変わって何か力がわいてきました。
- 風邪の前触れですから、水分を補給してしっかり睡眠を取れば大丈夫でしょう。病は気からともいいますから、安心してお休み下さい。
「病は気から」を深掘り
「病は気から」という日本の古いことわざは、人の気持ちや精神状態が健康に直接影響を与えるという意味を持っています。
このことわざの背景には、人がストレスやネガティブな感情を抱え込むと、それが体の不調や病気を引き起こすことがあるという考えがあるのです。
近年、この古くからある考えが科学的な研究によっても裏付けられています。例えば、北海道大学の村上正晃が率いる研究チームは、ストレスが胃腸の病気や突然死を引き起こすメカニズムを明らかにしました。
この研究では、慢性的なストレスを受けたマウスに、多発性硬化症のマウスから採取した免疫細胞を注入すると、約7割のマウスが突然死することが判明しました。
この結果は、ストレスが免疫細胞を暴走させ、それが様々な病気の引き金になることを示しています。
また、アメリカのデューク大学のシェーファーらの研究では、人生で1度は精神的な問題を経験する人が8割以上というデータが出ています。
一方、精神的な問題を抱えていない人たちの多くは、ネガティブな感情を表に出さない、自己統制ができるという特徴を持っていました。これは、自己統制が心の健康に良い影響を及ぼす可能性を示しています。
しかし、ストレスやネガティブな感情を抱え込むことは、人間として自然なことです。そのため、それらの感情に過度に囚われず、適切な方法で解放することが重要です。
実際、カリフォルニア大学リバーサイド校のリュボミルスキーらの研究によれば、他者に親切にすることで自分自身の幸福度が上がることが示されています。
参考文献
このことわざ、科学的に立証されているんです | 堀田 秀吾