【ことわざ】
旨い物は腹にたまる
【読み方】
うまいものははらにたまる
【意味】
おいしい物はつい食べ過ぎて、腹にもたれやすい。また、ごちそうは味が濃く満足感があるため、少量でも腹が満ちるというたとえ。


【英語】
・Too much of a good thing(よいものでも多すぎると害になる)
【類義語】
・旨い物には食傷する(うまいものにはしょくしょうする)
・口に甘いは腹に毒(くちにあまいははらにどく)
「旨い物は腹にたまる」の語源・由来
「旨い物は腹にたまる」は、おいしい食べ物と食べたあとの満足や負担を結びつけたことわざです。「旨い」は、味覚を満足させる快い味わいを表し、「腹」は胃腸を指す意味でも使われます。
このことわざの「たまる」は、物事が集まって一か所にとどまるという意味をもつ言葉です。食べ物については、「腹持ち」が、食べた物の消化が遅く、腹の中に長い間たまっていることを表します。
そのため、「腹にたまる」は、単にお腹がいっぱいになるだけでなく、食べたものが胃腸に残るように感じられる状態まで含んでいます。とくに味の濃いごちそうや、甘い菓子、油の多い料理などは、少量でも満足しやすい一方で、食べ過ぎると腹にもたれやすいものです。
「旨い」という言葉は、古くから味のよさを表してきました。『万葉集』(8世紀後半成立、奈良時代)には「味もあらず」という形の古い用例があり、味のよしあしを述べる言葉として早くから使われていました。
江戸時代後期の勝小吉による自伝『夢酔独言』(1843年・江戸時代後期、勝小吉著)には、「いろいろうまいものを出したが」という用例があります。ここでは「うまいもの」が、相手に出すおいしい食べ物という日常的な言い方として使われています。
一方、「溜まる」という言葉も古く、『古事記』(712年・奈良時代、太安万侶編)には「水多麻流」という表記が出てきます。水が一か所に集まってとどまるという具体的な意味が、後に物事が積もる、残るという広い使い方につながっています。
食べ物と腹の関係を表す言い方には、「腹が張る」もあります。これは、十分に食べて腹がいっぱいになることを表し、食後の身体の状態を直接とらえた表現です。
「旨い物は腹にたまる」は、このような「味がよい」「腹に残る」「腹がいっぱいになる」という生活感のある言葉を組み合わせています。そこから、おいしさにまかせて食べると、満足を通り越して胃腸の重さにつながるという教えが生まれました。
また、類義語に「旨い物には食傷する」があります。「食傷」は、同じ食べ物が続いて食べ飽きること、また同じような物事に多く接して飽きることを表します。
このことわざは、おいしい物を否定する言葉ではありません。おいしい物ほど人を引きつけるからこそ、食べる量をほどよく保つことが大切だという、日常の食卓から生まれた戒めの言葉です。
「旨い物は腹にたまる」の使い方




「旨い物は腹にたまる」の例文
- 旨い物は腹にたまるというから、好きなケーキでも食べ過ぎには気をつけた。
- 祖母の作った天ぷらはおいしいが、旨い物は腹にたまるので少しずつ味わった。
- 旅行先のごちそうを全部食べようとしたが、旨い物は腹にたまると父に止められた。
- 旨い物は腹にたまるので、試合の前日はこってりした料理を控えた。
- 友人の家で出された焼き菓子はおいしかったが、旨い物は腹にたまると感じて二つでやめた。
- 宴会の料理はどれも魅力的だったが、旨い物は腹にたまるから無理に食べ続けなかった。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・高橋書店編集部編『実用ことわざ新辞典 ポケット判』高橋書店、2015年。
・Dictionary.com Unabridged, Random House, 2023.























