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【運用の妙は一心に存す】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・対義語・英語)

運用の妙は一心に存す

【故事成語】
運用の妙は一心に存す

【読み方】
うんようのみょうはいっしんにそんす

【意味】
物事を巧みに活用して優れた成果を上げられるかどうかは、それを扱う人の考え方や判断にかかっているということ。

ことわざ博士
「運用の妙は一心に存す」は、決められた方法を守るだけでなく、状況に応じて使い方を工夫することの大切さを表すよ。
助手ねこ
道具・知識・制度・作戦などを、扱う人の判断によって効果的に生かす場面で用いるニャン。

【英語】
・The skillful use of tactics depends on the thinking and judgment of the commander.(戦術を巧みに用いられるかどうかは、指揮官の思考と判断にかかっている)

【類義語】
・臨機応変(りんきおうへん)

【対義語】
・杓子定規(しゃくしじょうぎ)

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「運用の妙は一心に存す」の故事

故事成語を深掘り

「運用の妙は一心に存す」は、中国の歴史書『宋史(そうし)』(1345年完成・元、脱脱ら撰)の「岳飛伝」に出てくる言葉です。『宋史』は、宋の時代の歴史を、人物の伝記などによって記した全496巻の書物です。

この言葉を述べた岳飛(がくひ)は、12世紀に生きた南宋の武将です。北方の金が宋へ攻め込む中で戦功を重ね、後世には、国を守った英雄として敬われました。

若い岳飛は、宗沢(そうたく)という将軍のもとで戦っていました。開徳や曹州で功績を挙げると、宗沢は、岳飛の勇気・知恵・才能を、昔の名将にも劣らないものとして高く評価しました。

しかし、宗沢は、岳飛が野外で敵と直接戦うことを好む点について、それだけでは必ず勝てる方法とはいえないと戒めました。そして、軍勢の並べ方を示した図を岳飛に授け、整った陣形を学ばせようとしました。

これに対して、岳飛は「陣而後戦、兵法之常。運用之妙、存乎一心」と答えました。「陣を整えてから戦うのは兵法の常道だが、それを巧みに用いる働きは、指揮する者の心一つにある」という意味です。

岳飛は、陣形や兵法そのものを軽んじたのではありません。「兵法之常」と述べているように、基本となる方法や決まりの必要性は認めていました。そのうえで、実際の戦場では敵の動きや兵の状態が絶えず変わるため、型どおりに行うだけでは足りないと説いたのです。

ここでいう「一心」は、単に熱心に取り組むことだけを指すのではありません。目の前の状況を見極め、いつ、どの方法を、どのように用いるかを決める指揮官の思考と判断を表しています。

岳飛の考え方は、その少し前の戦いにも表れています。百人ほどの騎兵を率いて訓練していたとき、突然、多数の敵が現れると、岳飛は、敵がこちらの兵力をまだつかんでいない間に攻めるべきだと判断し、自ら先頭に立って敵を破りました。

また、後に別の将軍から、どれほどの敵と戦えるかと問われた際には、「勇気だけを頼りにしてはならず、戦いでは先に計略を定めることが大切だ」と答えています。岳飛のいう「一心」は、気まぐれな思いつきではなく、十分な知識と計画を土台とした柔軟な判断でした。

宗沢は、岳飛の返答をもっともだと認めました。決められた陣形をそのまま当てはめるのではなく、基本を身に付けたうえで、状況に合わせて変化させることに、優れた指揮の価値があると理解したためです。

「運用」は、もとは兵法や作戦を実際に働かせることを表し、「妙」は、簡単にはまねのできない巧みさを表します。「存乎一心」は、その巧みさが、扱う人の心や判断のうちにあるという意味です。

後には、戦術だけでなく、道具・技術・知識・制度などを上手に生かす場合にも用いられるようになりました。大正11年に発表された三上義夫の『文化史上より見たる日本の数学』では、外国から取り入れた戦術を実際の場面で巧みに活用したことを、「運用の妙を尽くした」と表しています。

このように、「運用の妙は一心に存す」は、優れた方法を知るだけでは十分ではなく、現実の変化を見極めて柔軟に用いる人の判断によって、初めてその方法が力を発揮することを教える故事成語です。

「運用の妙は一心に存す」の使い方

健太
今度のバスケットボールの試合では、練習どおりの守り方をすれば大丈夫かな?
ともこ
相手が予想と違う攻め方をしてきたら、同じ動きだけでは止められないかもしれないよ。
健太
なるほど。作戦を覚えるだけでなく、試合の様子を見て変えるんだね。運用の妙は一心に存す、ということか!
ともこ
そうだね! 基本を忘れずに、みんなで声を掛け合って一番よい動きを選ぼう。
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「運用の妙は一心に存す」の例文

例文
  • 同じ教材を使っても授業の成果が異なるのは、運用の妙は一心に存すからである。
  • 優れた道具をそろえるだけでなく、運用の妙は一心に存すと心得て使い方を工夫した。
  • 監督は、運用の妙は一心に存すと選手に説き、試合の流れに応じて作戦を変えた。
  • 新しい制度を十分に生かせるかどうかは、運用の妙は一心に存すというほかない。
  • 料理人は、運用の妙は一心に存すの言葉どおり、ありふれた材料から見事な一皿を作った。
  • 防災計画を実際の避難に役立てるには、運用の妙は一心に存すという考えが欠かせない。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・円満字二郎編『故事成語を知る辞典』小学館、2018年。
・脱脱ら撰『宋史』1345年。
・三上義夫著、佐々木力編『文化史上より見たる日本の数学』岩波書店、1999年。





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