【慣用句】
鵜の目鷹の目
【読み方】
うのめたかのめ
【意味】
鵜や鷹が獲物を探すときのように、鋭い目つきで熱心に物を探し出そうとするさま。また、そのような目つき。


【英語】
・watch like a hawk(じっと注意深く見張る)
・eagle-eyed(目ざとい、観察の鋭い)
【類義語】
・目を皿にする(めをさらにする)
・血眼になる(ちまなこになる)
「鵜の目鷹の目」の語源・由来
「鵜の目鷹の目」は、獲物を見つけようとする鵜と鷹の目つきを、人間が熱心に物を探す様子に重ねた言い方です。鵜が魚をあさり、鷹が鳥を求めるときのような、鋭く集中した目つきを表します。
鵜は、水中にもぐって魚を捕る水鳥です。海や湖沼にすみ、首とくちばしが長く、餌を取るときには水中に入って魚を捕らえる性質をもちます。
この性質は、鵜飼(うかい)という漁法にも結びついています。鵜飼は、鵜を用いて魚をとる漁法で、古代から行われ、特に鮎漁でよく知られています。
一方、鷹は生きた小鳥や小獣を捕食する猛禽(もうきん)です。飛ぶ力が強く、その習性を利用して鳥獣を捕らえる鷹狩も行われてきました。
つまり、この慣用句では、水の中の魚を見つける鵜の目と、空や高い所から獲物をねらう鷹の目が並べられています。どちらも獲物を逃すまいとする鋭い目として受け止められ、人間の探し方のたとえになりました。
古い用例として、『玉塵抄』(1563年・室町時代後期、惟高妙安著)に、「うの目鷹の目とことわざに云ぞ。はやう物をみつくることなり」とあります。これは、「鵜の目鷹の目」という言い方が、すばやく物を見つけることを表す言葉として理解されていたことを示しています。
『玉塵抄』は、元の陰時夫が編んだ韻書『韻府群玉』に注釈や講述を加えた抄物です。口語的な言葉づかいを多く含むため、室町時代の日本語を知る資料として重んじられています。
この段階では、現在と同じく、目つきそのものだけでなく「物を見つけること」が意味の中心にあります。鵜や鷹のように、目的の物をすばやく見つけようとする動きが、すでに言葉の中に含まれています。
江戸時代中期には、平賀源内の談義本『根南志具佐』(1763年・江戸時代中期、天竺浪人名義)にも近い用例が出てきます。この作品は、世相を風刺した談義本で、平賀源内の最初の小説とされています。
そこでは、「何がな珍しき物見出さんと、鵜の目鷹の目にてさがし求むれば」という形で使われています。珍しい物を見つけようとして、鋭い目であちこち探し求める様子を表しており、現在の使い方にかなり近い形です。
この江戸時代の用例では、単に「よく見る」だけでなく、珍しい物を探し出そうとする強い気持ちが読み取れます。目つきの鋭さに、熱心さや欲しさが加わっているところが、この慣用句らしい点です。
のちには、「鵜の目鷹の目」が、物を探す場合だけでなく、人の弱点や欠点を見つけようとする場合にも用いられるようになりました。目ざとく探すという意味は変わらず、探す対象が、掘り出し物・証拠・弱点などへ広がったといえます。
近い表現に「目を皿にする」があります。こちらは、物を探し求めたり細かく見分けたりするとき、目を大きく見開くしぐさを表します。
また「血眼になる」は、他のことを忘れて一つのことに熱中するさまを表します。「鵜の目鷹の目」が目つきの鋭さと探す動作に重点を置くのに対し、「血眼になる」は必死さや夢中になる状態を強く表します。
この慣用句は、ただ注意深いというだけでなく、何かを見つけたいという気持ちが目つきに表れている場面に合います。鵜と鷹という二つの鳥の鋭い目を重ねることで、見逃すまいとする人の姿を生き生きと表しているのです。
「鵜の目鷹の目」の使い方




「鵜の目鷹の目」の例文
- 古本市で父は、昔の地図を探して鵜の目鷹の目になっていた。
- 記者たちは、事件の手がかりを求めて鵜の目鷹の目で関係者の証言を追った。
- 母はセール会場で、安くてよい鍋がないかと鵜の目鷹の目で棚を見ていた。
- 監督は相手チームの弱点を探ろうと、試合前の練習を鵜の目鷹の目で観察した。
- 宝探し大会が始まると、子どもたちは鵜の目鷹の目で校庭のすみずみを探した。
- 友人の失敗を鵜の目鷹の目で探すような態度は、周りの信頼を失いやすい。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・惟高妙安『玉塵抄』1563年。
・平賀源内『根南志具佐』1763年。
・Cambridge University Press, Cambridge Dictionary.
・Merriam-Webster, Merriam-Webster.com Dictionary.























