「磯の鮑の片思い」の意味(語源由来)
【ことわざ】
磯の鮑の片思い
【読み方】
いそのあわびのかたおもい
【意味】
自分が一方的に相手のことを好きなこと。片思いをしゃれていうことば。
鮑が二枚貝の片方だけみたいに、こっちの気持ちが相手には届かへん状態を言うんや。それは、辛いなあ…片思いってことは。
【語源・由来】
磯にいる鮑は一枚貝であることから、片方だけが一方的に恋をする「片思い」と「片」にかけていったもの。
「磯の鮑の片思い」の解説
「磯の鮑の片思い」っていうことわざは、自分だけが相手を好きで、相手からは全然気にされてない、そんな一方通行の恋を表しているんだよ。
例えばね、クラスで一番かっこいい男の子が好きだけど、その男の子は自分のことを全然気にしてくれないみたいな状況を指すんだ。
「アワビ」っていうのは、見た目が二枚貝の片側だけみたいに見えるでしょ。それが、このことわざで「片思い」を表しているんだよ。「磯の鮑の片思い」っていうのは、自分だけが好きで、相手は自分の気持ちを全く知らない、そんな恋愛の状況を言っているんだね。
「磯の鮑の片思い」の使い方
「磯の鮑の片思い」の例文
- 好きだと意思表示しないと昔なら磯の鮑の片思い、今だとストーカーと思われるよ。ダメ元で挑戦してみたら。
- どうしてもあの会社に入りたいけど、結局は磯の鮑の片思いに終わるような気がする。
- この事業はぜひ成功させたい。先方さえ了承してくれたらいいのだけれど、どうも磯の鮑の片思いだな。
- 磯の鮑の片思いか、しかたがない、ここはしばらく様子をみよう。
まとめ
万葉集に出てくる伊勢志摩の海女さん。なぜ男性ではなくて海女さんが鮑を採っていたのでしょうか。理由は2つ。ひとつは、昔の仕事の男性と女性の役割分担です。女性が海女漁を行い、男性は沖の洋上で釣りや漁(りょう)をする。網などを使う漁は力と体力が必要なので当然男性の役割でした。女性は子育てなど家事をする必要があり、身近な畑仕事や海岸で海藻(かいそう)取りなどをしていたので、潜水して鮑を採るのは女性の役割となったといわれます。ふたつめは女性は皮下脂肪が厚く耐寒性が強く、長い潜水作業に適しているそうです。そのためでしょか、伊勢神宮に奉納(ほうのう)する鮑や朝廷に献納(けんのう)する鮑の採取は海女の役割とされていたそうで、このことから歌に詠(よ)まれたのでしょう。