【慣用句】
打てば響く
【読み方】
うてばひびく
【意味】
働きかけると、すぐに反応すること。返事・理解・行動などが早く、的確であることを表す。


【英語】
・responsive(反応が早い、よく応じる)
・quick to respond(すぐに反応する)
【類義語】
・機敏(きびん)
・俊敏(しゅんびん)
・敏感(びんかん)
【対義語】
・鈍感(どんかん)
・鈍い(にぶい)
「打てば響く」の語源・由来
「打てば響く」は、何かを打つと、すぐに音が鳴り響くという具体的な現象をもとにした慣用句です。「打つ」には、物を強く当てる、たたく、たたいて音を立てるという意味があり、「響く」には、音や声が広がり伝わる、反響するという意味があります。
つまり、もとの形では、太鼓や鐘のようなものを打つと、間を置かずに音が返る様子を思い浮かべることができます。そこから、声をかけたり、頼んだり、説明したりすると、すぐに返事や行動が返ってくる人の様子を表すようになりました。
この言い方の大切な点は、単に「反応する」だけではなく、「すぐに反応する」ところにあります。返事が早い、理解が早い、行動が早いという、反応の速さと手ごたえのよさを合わせて表します。
古い用例として、『玉塵抄(ぎょくじんしょう)』(1563年・室町時代後期成立、惟高妙安著)に「うてばひびく」という形が出てきます。『玉塵抄』は五十五巻から成る抄物で、永禄六年に成立した書物です。
『玉塵抄』の用例では、「詔があれば、すぐに天下の賢士がやって来る」という趣旨を説明する中で、「うてばひびく」という言い方が使われています。ここでは、命令や呼びかけに対して、すぐに人が応じることを表しています。
この用例から分かるように、「打てば響く」は、早い時期から人の反応のすばやさを表す比喩として使われていました。音がすぐ返るという具体的な感覚が、人の理解や行動の早さを表す言葉へ広がったのです。
「響く」という言葉には、音が広がる意味のほかに、反響する、こだまするという意味もあります。打ったものに対してすぐ音が返るという関係が、「働きかけに対してすぐ返事や反応が返る」という意味に結び付きました。
現在の「打てば響く」は、人をほめる言葉として使われることが多い表現です。たとえば「打てば響く受け答え」といえば、質問に対してすばやく、要点をつかんで返事をする様子を表します。
ただし、反応が早ければ何でもよいという意味ではありません。怒りやあわてた返事ではなく、相手の働きかけをよく受け止め、すばやく適切に応じる場合に、この慣用句がよく合います。
このように、「打てば響く」は、音の反響という身近な現象から生まれ、人の理解力・返答力・行動力のよさを表す言葉として定着しました。今でも、学習、仕事、相談、会話など、相手の反応のよさを上品に言い表すときに使われます。
「打てば響く」の使い方




「打てば響く」の例文
- 彼は打てば響くような受け答えをするので、会議の進行が速い。
- 新人とは思えないほど、彼女は打てば響く反応で仕事を覚えた。
- 先生の質問に打てば響くように答える生徒が、授業の流れを明るくした。
- 打てば響く部下がいると、急な変更にも落ち着いて対応できる。
- 兄は母に頼まれると、打てば響くように手伝いを始める。
- 新しい宣伝は打てば響く効果を上げ、店にはすぐに客が増えた。
主な参考文献
・小学館『デジタル大辞泉』小学館。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・惟高妙安『玉塵抄』1563年。
・Merriam-Webster.com Dictionary, “responsive.”
・Cambridge Dictionary, “responsive.”























