「忠臣は二君に仕えず」の意味(語源由来・出典・類義語・英語訳)
【ことわざ】
忠臣は二君に仕えず
【読み方】
ちゅうしんはにくんにつかえず
【意味】
心から忠義(ちゅうぎ)を尽くす臣下(しんか)というものは、その生涯で一人の主君にしか仕えないということ。
主君を変えることなんて考えられへんくらい、ガッチリとその人に仕えるってことか。そういう忠義の精神、今の時代にも大事にしたいもんやな。
【語源・由来】
中国の斉(さい)という国の王様が大事な政務を怠っているのを嘆いて、忠義な王燭(おうしょく)がなんども王様に諫言(かんげん)しますが、一切聞き入れてくれません。ついには、王燭は隠居(いんきょ)してしまいます。王燭のいなくなった斉の国は崩壊(ほうかい)状態になり、隣国の燕王が攻め込みひとたまりもなく壊滅(かいめつ)してしましました。その時かねてから王燭を高く評価していた燕の大将が高官に迎えたいと幾度も誘いますが、王燭は頑として応じません。そして最後には「忠臣は二君につかえず、貞女は二夫をならべず」といって庭先の松に縄をかけ自ら命を絶ったそうです。
【出典】
「史記」
【類義語】
貞女は二夫に見えず(ていじょはにふにまみえず)
【英語訳】
He that serves two masters has to lie to one of them.(二人の主人に仕える者は、どちらかの主人に嘘を言わねばならない)
「忠臣は二君に仕えず」の解説
「忠臣は二君に仕えず」ということわざは、中国の歴史書『史記』に由来しており、忠実な臣下は生涯でただ一人の主君に仕えるべきだという考えを示しているんだ。
この言葉は、忠義という徳を非常に重んじているんだよ。忠臣、つまり忠実な臣下は、自分の主君に対して絶対の忠誠を誓い、その主君のために尽くすべきであり、たとえその主君が亡くなったり、権力を失ったりしても、他の主君に仕えることなく、一貫して忠義を貫くことが求められるという意味があるんだ。
この考え方は、特に昔の封建社会や武士社会において非常に大切なものとされていた。主君と臣下の関係は、単なる上下関係ではなく、相互の信頼と忠誠に基づいた深い絆で結ばれているとされていたから、一度忠誠を誓った主君に対しては、どんな時でも変わらぬ忠誠心を持ち続けることが理想とされていたんだよ。
つまり、「忠臣は二君に仕えず」とは、真の忠臣は一度誓った主君に対して、生涯変わらぬ忠義を保つという理想を示しているんだね。
「忠臣は二君に仕えず」の使い方
「忠臣は二君に仕えず」の例文
- いくら誘われてもご希望には沿えません。忠臣は二君に仕えずとまではいいませんが、昔からのお付き合いがありますから。
- 会社に恩義がある訳ではないが、部長には世話になったから、忠臣は二君に仕えず、もう少し頑張ってみるか。
- いまどき忠臣は二君に仕えずというような人がいるのでしょうか。
- 忠臣は二君に仕えず、誰からも尊敬される立派な人です。
まとめ
非常に厳しい意味のことわざです。語源・由来のところで少し長く関係する話をご紹介しましたのでご理解していただいたのではないかと思います。自分の命と引き替えるほど忠義を尽くせる上司に出会うことはそう多くはないでしょう。同じように、その様な組織に所属することも今の時代にはないかもしれません。良い時代になったと理解すべきか、人間味が少ない時代になったと理解すべきか、複雑な思いがします。
これは、一貫した忠誠心を持つことの重要性を示しているんだ。