【ことわざ】
朝雷に川渡りすな
【読み方】
あさかみなりにかわわたりすな
【意味】
朝の雷は天気の大きなくずれや川の増水につながりやすいので、川を渡るような遠出はしてはならないという戒め。


【英語】
・Don’t venture out when morning thunder warns of a storm.(朝の雷が荒天を告げるなら無理に出かけるな)
・Better safe than sorry.(危ない兆しがあるときは慎重に行動したほうがよい)
・Look before you leap.(行動する前に危険をよく見きわめよ)
【類義語】
・朝雷は洪水のもと(あさかみなりはこうずいのもと)
・朝の雷には川越するな(あさのかみなりにはかわごえするな)
・朝雷に旅に出るな(あさかみなりにたびにでるな)
【対義語】
・虎穴に入らずんば虎子を得ず(こけつにいらずんばこじをえず)
・案ずるより産むが易し(あんずるよりうむがやすし)
「朝雷に川渡りすな」の語源・由来
「朝雷に川渡りすな」は、特定の中国古典の逸話や一人の作者の作品から生まれた表現ではなく、空の様子を見て天気を予測してきた生活の知恵から生まれたことわざです。朝に雷が鳴ると天気が荒れやすいので、川を渡るような遠出をしてはいけない、という具体的な注意を短く表しています。
日本では、明治17年に最初の天気予報が始まるよりも前から、空や風、雲、雷などを手がかりにして天気を読む言い伝えがありました。その中で「朝雷に川越すな」という形も各地で使われ、朝の雷を荒天のしるしと見て、遠出を避ける教えとして伝えられてきました。
「川渡りすな」の「すな」は、「してはいけない」という禁止を表す言い方です。つまり、このことわざは「朝に雷が鳴ったら、川を渡るな」というたいへん直接的な表現です。川はふだん穏やかに見えても、上流で強い雨が降ると水かさが増え、下流でも洪水の危険が生じます。雷と急な強い雨は発達した積乱雲(せきらんうん)に伴って起こることがあり、川を渡る行動がとくに危険なものとして示されたと考えられます。
言い回しには地域差があります。「朝雷に川越えするな」「朝雷に川越しするな」「朝雷に川渡りするな」「朝雷に谷越えするな」「朝雷に大川を渡るな」など、土地の地形や暮らしに合わせた形が伝わっています。川を越す、谷を越す、大きな川を渡るという言い方は、いずれも「危ない場所を越えて遠くへ行くな」という同じ注意につながっています。
昭和期には、「朝雷」という言葉とともに、「朝雷に川渡りすな」という形も記録に入っています。ここでいう朝雷は、朝に鳴る雷のことです。朝の雷を暴風雨の前ぶれと受け取り、川を渡るような外出を戒める言い方として、現在の意味に近い形で用いられていたことが分かります。
このことわざの中心にあるのは、雷そのものの恐ろしさだけではありません。朝の雷を「このあと天気が崩れるかもしれない」という前ぶれとして受け止め、予定よりも安全を優先する考え方です。現在でも、川遊び、釣り、登山、遠出などで天気の急変が心配されるときに、無理をしないための教えとして読むことができます。
「朝雷に川渡りすな」の使い方




「朝雷に川渡りすな」の例文
- 朝から遠くで雷が鳴ったので、祖父は朝雷に川渡りすなと言って山向こうの畑へ行くのをやめた。
- 遠足の朝に雷が響き、先生は朝雷に川渡りすなに従って川向こうの公園へ行く計画を変更した。
- 朝雷に川渡りすなというように、橋を渡って出勤する父は早めに予定を切り上げた。
- 漁に出る前、港で雷鳴を聞いた漁師たちは、朝雷に川渡りすなと同じ考えで無理な出船を避けた。
- 天気アプリを見る前でも、祖母は朝雷に川渡りすなと言って、朝の雷を聞くと遠出を控えた。
- 朝雷に川渡りすなを思い出し、川沿いの大会会場へ向かう車列は出発を遅らせた。
主な参考文献
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・松井簡治・上田萬年共著『大日本國語辭典 修訂版新装版』冨山房、1952年。
・気象庁『急な大雨や雷・竜巻から身を守るために』。
・気象庁『気象警報・注意報の種類』。























