【ことわざ】
朝謡は貧乏の相
【読み方】
あさうたいはびんぼうのそう
【意味】
朝から仕事をせずに遊びや道楽にふけっていると、やがて暮らしが貧しくなるという戒め。


【英語】
・The early bird catches the worm.(早く動く者がよい機会をつかむ)
・Idle hands are the devil’s workshop.(怠けていると、よくないことを招きやすい)
・No bees, no honey; no work, no money.(働かなければ実りもお金も得られない)
【類義語】
・朝寝朝酒は貧乏の元(あさねあさざけはびんぼうのもと)
・朝寝八石の損(あさねはちこくのそん)
・酒と朝寝は貧乏の近道(さけとあさねはびんぼうのちかみち)
【対義語】
・朝起き千両(あさおきせんりょう)
・朝起きの家には福来たる(あさおきのいえにはふくきたる)
・朝起き三両始末五両(あさおきさんりょうしまつごりょう)
「朝謡は貧乏の相」の語源・由来
このことわざの「朝謡」は、朝早くから謡をうたうことを指す言葉です。「謡」は謡曲をうたうことをいい、ことわざの表面だけを見ると、朝のうちから謡を楽しむ姿を表しています。
けれども、このことわざが伝えたいのは、歌そのもののよしあしではありません。朝から仕事をせず、遊びや道楽を先にしていると、やがて貧乏になるという戒めが、短い言葉にまとめられています。
古い用例をたどると、このことわざは『醒睡笑(せいすいしょう)』にさかのぼります。『醒睡笑』は、安楽庵策伝(あんらくあんさくでん)がまとめた笑話本で、1623年(元和9年・江戸時代前期)に成立し、1628年(寛永5年・江戸時代前期)に板倉重宗(いたくらしげむね)へ献呈された書物です。
その『醒睡笑』には、「朝謡はうたはぬ事」とも「朝うたひは貧乏の相」とも言い伝えている、という趣旨の文が出てきます。今の形にかなり近い言い方が、江戸時代前期にはすでに語られていたことが分かります。
ここで目を引くのは、古い形ではまず「朝謡はうたはぬ事」と、朝に謡うこと自体を戒める言い方が立っている点です。そこへ「貧乏の相」という言い方が重なることで、朝の遊びがのちの貧しさにつながる、という教訓がいっそうはっきり伝わる形になりました。
このことわざが責めているのは、芸事や楽しみそのものではありません。働くべき時間に遊びへ流れ、まず果たすべき務めをおろそかにする暮らし方を戒めているのです。
とくに「朝から」という言い方には、その日の始まりの大切さがよく表れています。一日の出だしで気がゆるみ、やるべきことを後回しにする人は、結局は暮らしの土台まで崩しやすい、という見方がこのことわざにはこめられています。
同じ「朝に謡う」という取り合わせは、「乞食の朝謡」という別のことわざにも残っています。朝に謡う姿が、昔から特別な取り合わせとして人々に強く意識されていたことが、こうした近い言い回しからも伝わってきます。
そのため、このことわざは、江戸時代前期の口承の言い回しとして終わらず、後の辞書類でも同じ意味で受け継がれてきました。今でも、働くべき時間に遊びを先にする姿をたしなめる言葉として、十分に意味の通ることわざです。
つまり「朝謡は貧乏の相」は、朝の時間の使い方が、そのままその人の暮らしぶりに返ってくるという教えを表したことわざです。朝に道楽を先にするな、まず務めを果たせ、という昔の生活の知恵が、今も分かりやすく残っている言葉だと言えます。
「朝謡は貧乏の相」の使い方




「朝謡は貧乏の相」の例文
- 学級園の水やりをせずに校庭で遊んでいるのは、朝謡は貧乏の相というほかない。
- 朝の店番をほったらかして笛を吹いていた兄は、祖母に朝謡は貧乏の相だとたしなめられた。
- 共同で出す壁新聞の清書を後回しにして遊びを先にした友人に、朝謡は貧乏の相という言葉を思い出した。
- 祭りの日の売り場づくりを後回しにして雑談ばかりしていては、朝謡は貧乏の相と言われてもしかたがない。
- 開店前の仕込みをせずに趣味の練習に熱中する姿は、朝謡は貧乏の相という戒めに重なる。
- 働くべき朝の時間を遊びで費やせば、朝謡は貧乏の相という言葉どおり、暮らしは苦しくなりやすい。























