【ことわざ】
得手に帆を揚げる
「得手に帆」ともいう。
【読み方】
えてにほをあげる
【意味】
自分の得意とすることを行う好機に恵まれ、張り切って物事を行うこと。
【語源・由来】
船は向かい風の時には帆を揚げる事はできませんから、ひたすらじっと待ちます。
そして風の様子をみて、追い風になった時に帆を揚げると、船はぐんぐん力強く進んでいきます。
「船=自分」「追い風=チャンス」に見立てたのですね。
「江戸いろはかるた」の中の「え」です。
かるたでは「得手に帆を揚ぐ」となっています。
「揚げる」は「上げる」と書く事もあります。
「得手」とは、自分が最も得意とする事です。
「得手」とは、自分が最も得意とする事です。
【類義語】
・得手に帆
・得手に帆を掛ける
・追い手に帆を揚げる
・順風満帆
・得手に棒
・流れに棹さす
・風に順いて呼ぶ
・真帆に追風
・渡りに船
・時は失う可からず
【英語訳】
・Hoist your sail when the wind is fair.
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「得手に帆を揚げる」の使い方
明日の体育の授業は、隣のクラスとドッジボールの試合だって。すごく楽しみだよ。
健太君、球技好きだものね。最近苦手なことが続いたから良かったわね。
うん!僕、もう今から張り切ってて、得手に帆を揚げているよ。
今からそんなに力んでたら、明日まで持たないわよ。
「得手に帆を揚げる」の例文
- 普段は大人しい彼だけど、得意のサッカーで代表に選ばれると、得手に帆を揚げるとばかりに張り切り出した。
- 尊敬する上司に座右の銘を訊いてみると「得手に帆を揚げるだね」と返事が返ってきた。上司はその後「ダメもとでチャレンジするのも結構だが、自分の得意分野を見極めて、その分野で最大限力を発揮できたら素晴らしい事だ」と言葉を続けた。
- 最近のドル円の為替相場は私の苦手な値動きが長く続いていたが、私はチャンスが来るのをじっと待った。いよいよ私が得意とする大きな値動きになったので、得手に帆を揚げるように好機に乗って大きな利益を上げることに成功した。
- 私の得意とするジャンルは需要が少ないので、たまにチャンスが来ると得手に帆を揚げてしまいます。
「得手に帆を揚げる」の文学作品などの用例
海岸の岩の上や、磯の松の根方から、おおいおおい、と板東声で呼ばり立って、とうとう五人がとこ押込みましたは、以上七人になりました、よの。どれもどれも、碌でなしが、得手に帆じゃ。船は走る、口は辷る、凪はよし、大話しをし草臥れ、嘉吉めは胴の間の横木を枕に、踏反返って、ぐうぐう高鼾になったげにござります。(泉鏡花の草迷宮より)