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【芋の煮えたも御存じない】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

芋の煮えたも御存じない

【ことわざ】
芋の煮えたも御存じない

【読み方】
いものにえたもごぞんじない

【意味】
芋が煮えたかどうかの判断もできないほど、世間の事情にうとい人をあざけっていう言葉。

ことわざ博士
「芋の煮えたも御存じない」は、日常のごく基本的なことさえ分からないほど世間知らずであることを表しているよ。
助手ねこ
育ちがよくて実生活の苦労や常識にうとい人を、からかいを含めていう場面で用いるニャン。

【英語】
・naive(経験が浅く、世間をよく知らない)
・lead a sheltered life(世間の苦労をあまり知らずに育つ)

【類義語】
・芋の煮えたも知らぬ(いものにえたもしらぬ)
・菽麦を弁ぜず(しゅくばくをべんぜず)
・世間知らず(せけんしらず)

【対義語】
・百戦錬磨(ひゃくせんれんま)
・海千山千(うみせんやません)

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「芋の煮えたも御存じない」の語源・由来

ことわざを深掘り

このことわざの「芋」は、植物の根や地下の部分が養分を蓄えて大きくなったものを広く指し、とくにサトイモ・ヤマノイモ・サツマイモなど、食用となるものを指します。暮らしの中で身近な食べ物である芋を煮る場面が、この言葉のもとになっています。

「芋の煮えたも御存じない」は、芋が煮えたか煮えていないかの区別もつかない、という具体的な発想からできています。料理のごく基本的な判断もできないほど、実生活のことを知らない人をからかう言い方です。

「御存じない」は「知らない」を丁寧に言った形ですが、このことわざでは、相手を本当に敬っているわけではありません。わざと丁寧な言い方を使うことで、世間知らずな様子を皮肉る調子が生まれています。

古い用例としては、『浄瑠璃稽古風流』(1777年・江戸時代中期、佐伊座散人作、亀如画)に「いもの煮(ニヘ)たもしらぬ無理な御異見に」と出てきます。これは、芋が煮えたかどうかも知らないような人が、道理に合わない意見をする、という文脈で使われています。

『浄瑠璃稽古風流』は、江戸で安永6年に刊行された洒落本(しゃれぼん)です。洒落本は、江戸時代に遊里などを題材として、人物の言動や世間の通・不通を会話を中心に描いた小冊子で、このことわざも、そうした世間知をめぐる笑いの中で使われています。

この古い用例では、現在の「御存じない」ではなく、「しらぬ」という形が出ています。つまり、もとの発想は「芋の煮えたも知らぬ」であり、後に「御存じない」という丁寧な言い方を含む形としても広まりました。

江戸時代後期の『譬喩尽』(天明6年・1786年序、松葉軒東井編)にも、このことわざの系統が収められています。『譬喩尽』は、ことわざを中心に、詩歌・童謡・流行語・方言などを広く集め、いろは順に配列した諺語辞典です。

このように、十八世紀後半には、「芋が煮えたかも知らない」という言い方が、世間の事情にうとい人を笑う表現として定着していたことが分かります。日常の台所仕事を判断できないことが、生活経験の乏しさを表す分かりやすいたとえになっていたのです。

近代の用例としては、内田魯庵の『読書放浪』(1933年)に「芋の煮えたもご存じない不読書階級」という形が出てきます。ここでは、読書を軽く見る人々について、世の中や教養の広がりを知らないという批判をこめて使われています。

この用例では、台所の芋の話そのものではなく、ものの見方や世間の広さを知らないことをいう比喩として使われています。具体的な生活の無知から、社会や教養にうといことを表す言葉へと、意味が広がっていることが分かります。

現在では、相手をほめる言葉ではなく、あざけりやからかいを含む言い方として受け取られます。そのため、実際に人へ向けて使うときには注意が必要ですが、ことわざとしては、生活経験や世間知の大切さを短く伝える表現です。

つまり、「芋の煮えたも御存じない」は、身近な食べ物を煮るという具体的な場面から、実生活の常識を知らないことを表すようになったことわざです。小さな台所の判断を通して、人が世の中を知るには経験が欠かせない、という考えを伝えています。

「芋の煮えたも御存じない」の使い方

健太
今日から始まった家庭科の調理実習、すごく緊張したよ。
ともこ
どうして?お味噌汁を作るだけだから、そんなに難しくないでしょ?
健太
だって、お父さんに僕が料理をするって言ったら、芋の煮えたも御存じないくせに大丈夫かって心配されたんだ。
ともこ
あはは、健太くんが普段全くお手伝いをしないから、世間知らずだと思われちゃったんだね!
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「芋の煮えたも御存じない」の例文

例文
  • 一人暮らしを始めたばかりの兄は、炊飯器の使い方も知らず、芋の煮えたも御存じないような様子だった。
  • 町内会の仕事をすべて人任せにしてきたため、役員になった父は芋の煮えたも御存じないと陰で言われた。
  • 社会の仕組みを何も知らずに大きな計画だけを語る態度は、芋の煮えたも御存じないと言われても仕方がない。
  • 家庭科の調理実習で火の通りを一度も確かめない生徒に、先生は芋の煮えたも御存じないと注意した。
  • 店の手伝いをしたことのない後継者は、仕入れの基本も分からず、芋の煮えたも御存じない状態だった。
  • 世間の苦労を知らずに人を簡単に批判する発言は、芋の煮えたも御存じないという印象を与える。

主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『デジタル大辞泉』小学館。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・集英社辞典編集部編『会話で使えることわざ辞典』集英社、1989年。
・松葉軒東井編『譬喩尽』天明6年序。
・佐伊座散人作、亀如画『浄瑠璃稽古風流』川島丈介、1777年。





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