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【伊勢へ七度、熊野へ三度】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語)

伊勢へ七度、熊野へ三度

【ことわざ】
伊勢へ七度、熊野へ三度

【読み方】
いせへななたび、くまのへさんど

【意味】
伊勢神宮や熊野三社へ何度も参るほど信心が深いこと。また、信心はいくら深くしても限りがないことのたとえ。

ことわざ博士
「伊勢へ七度、熊野へ三度」は、参拝の回数そのものより、神仏を深く信じて熱心に参る心を表すことわざなんだよ。
助手ねこ
「愛宕様へは月参り」と続けて、さらに信心の厚さを強めて言う形もあるニャンよ。

【類義語】
・篤信(とくしん)
・敬虔(けいけん)

【対義語】
・不信心(ふしんじん)
・無信心(むしんじん)

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「伊勢へ七度、熊野へ三度」の語源・由来

ことわざを深掘り

「伊勢へ七度、熊野へ三度」は、中国の故事に由来する表現ではなく、日本の社寺参詣の文化を背景にして生まれたことわざです。伊勢は伊勢神宮、熊野は熊野三山への信仰を指し、どちらも古くから多くの人々をひきつけてきた聖地です。

伊勢神宮は、古代以来、朝廷の祭祀と深く結びつき、中世には武士、近世以降には多くの庶民が訪れるようになりました。近世の伊勢神宮参詣は「お伊勢参り」と呼ばれ、旅人は外宮・内宮だけでなく、二見浦や朝熊山にも足を延ばして祈りを捧げました。

伊勢の信仰が広く庶民に届いた背景には、御師(おんし)と呼ばれる神職の働きがあります。御師はお札や暦、伊勢土産を全国に配り、参宮者を自分の邸宅に迎え入れてもてなしたため、伊勢参りは遠い聖地を目指す旅であると同時に、人々の暮らしに近い信仰にもなっていきました。

熊野は、和歌山県南部から三重県南部にかけての地域で、熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社を合わせて熊野三山といいます。熊野三山へ向かう道は熊野古道と呼ばれ、平安時代には皇族や貴族が、室町時代には武士や庶民も多く参るようになりました。

熊野詣は、身分や性別を問わず多くの人を受け入れる信仰として広まりました。旅人が絶えず列をなして進む様子は「蟻の熊野詣」とたとえられるほどで、熊野は「よみがえりの聖地」として人々の願いを集めました。

このことわざの「七度」や「三度」は、正確な参拝回数を命じる数字というより、何度も何度も参るほどの熱心さを表す数です。伊勢と熊野という名高い聖地を並べることで、信心の深さと、信仰を重ねても尽きない思いを強く示しています。

古い用例として、『風流比翼鳥』(1707年・宝永4年・江戸時代前期)八に「有王おもひのあまり、伊勢へ七度、熊野へ三度」という形が現れます。この場面では、強い思いのあまりに、伊勢や熊野へ幾度も参るほどの信心深さが表されています。

この早い用例では、すでに「伊勢へ七度、熊野へ三度」という並びが、熱心な参詣を表す決まり文句として働いています。つまり、このことわざは、単に地名を並べたものではなく、伊勢参りと熊野詣が人々に広く知られていたからこそ成り立つ表現です。

後には、「愛宕様へは月参り」と続く形も広まりました。『かぶきそうし』の踊歌には「伊勢へ七度熊野へ三度、愛宕様へは月まゐり」に近い文句があり、俗謡にも「お伊勢七度熊野へ三度」「芝の愛宕は月参り」などの形がありました。

十返舎一九(じっぺんしゃいっく)の『東海道中膝栗毛』(1802〜1809年・享和2〜文化6年刊、江戸時代後期)にも、この文句が現れます。この作品は弥次郎兵衛と喜多八が東海道を西へ進み、伊勢参宮をして大坂・京都へ向かう滑稽文学で、江戸時代の旅の気分をよく映しています。

『東海道中膝栗毛』二編上には、「伊勢へ七度熊野へ三度、愛宕さまへは月参」という形の文句が用いられています。旅の物語の中にこの言い回しが入ることから、当時の読者にも、伊勢・熊野・愛宕への参詣を重ねることが信心深さを表すものとして通じていたと考えられます。

このように、「伊勢へ七度、熊野へ三度」は、伊勢参りと熊野詣が庶民の旅や信仰の中で大きな意味を持つようになった時代に、繰り返し参る信心深さを表す言葉として定着しました。現在では、実際に七度、三度と数えるよりも、神仏への厚い信仰や、祈りを重ねる心を表すことわざとして使います。

「伊勢へ七度、熊野へ三度」の使い方

健太
春休みに、おばあちゃんがまた伊勢神宮へお参りに行くんだ。去年も一昨年も行っていたから、もう何度目か数えられないよ。
ともこ
それほど大切にしているお参りなんだね。まさに伊勢へ七度、熊野へ三度という気持ちに近いね。
健太
うん。おばあちゃんは、家族が元気でいられるように、毎年きちんと手を合わせたいんだって!
ともこ
信心を重ねることを大事にしているんだね。回数よりも、そのまごころが伝わってくるよ。
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「伊勢へ七度、熊野へ三度」の例文

例文
  • 祖母は毎年のように伊勢へ参り、伊勢へ七度、熊野へ三度というほど信心が深い。
  • 父は家族の無事を願って何度も神社へ足を運び、伊勢へ七度、熊野へ三度の思いで手を合わせた。
  • その村の人々は、豊作を願って代々参詣を続け、伊勢へ七度、熊野へ三度の心を受け継いできた。
  • 遠い道のりを何度も歩いて参る姿には、伊勢へ七度、熊野へ三度という言葉がよく合う。
  • 伊勢へ七度、熊野へ三度ということわざは、信心を重ねてもなお足りないほどの熱心さを表す。
  • 彼女は合格祈願だけでなく、日々の感謝も忘れず、伊勢へ七度、熊野へ三度のようにまめに参拝した。

主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・東の紙子作、奥村政信画『風流比翼鳥』1707年。
・十返舎一九『東海道中膝栗毛』1802〜1809年。





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