【金持ち金を使わず】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語)

金持ち金を使わず

【ことわざ】
金持ち金を使わず

【読み方】
かねもちかねをつかわず

【意味】
金持ちほど金を惜しみ、なかなか使わないということ。また、金持ちは無駄な出費を避けるからこそ財産を保てるということ。

ことわざ博士
金持ちのけちな振る舞いを皮肉る意味と、無駄遣いをしない堅実さを表す意味をもつよ。
助手ねこ
十分な財産がある人が必要な支出まで惜しむ場面や、ぜいたくを避けて財産を守る場面で用いるニャン。

【類義語】
・槍持ち槍を使わず(やりもちやりをつかわず)
・弁当持ち先に食わず(べんとうもちさきにくわず)

【対義語】
・金なき者は金を使う(かねなきものはかねをつかう)
・一擲千金(いってきせんきん)

「金持ち金を使わず」の語源・由来

ことわざを深掘り

「金持ち金を使わず」は、財産を多く持つ人ほど、かえって金銭を惜しんで使わないという世間の見方を言い表したことわざです。「金持ち」は財産を多く所有する人を、「金を使わず」は、その財産を支出しないことを表します。

このことわざには、金持ちのけちを皮肉る意味があります。使う余裕が十分にあるのに、必要な支払いまで惜しむ人を見て、「金を持っている人ほど出そうとしないものだ」と批判するときに使います。

一方で、「無駄な金を使わない」という意味にも用います。財産がある人は、金があるからといってむやみに浪費せず、必要かどうかを見極めて使うため、財産を失わずにいられるという捉え方です。

このように、同じ言葉でも、相手の出し惜しみを責める場合と、倹約(けんやく)を評価する場合があります。どちらの意味になるかは、使われる場面や話し手の調子によって決まります。

古い形は、江戸時代のことわざ集『譬喩尽(たとえづくし)』(1786年序・江戸時代後期、松葉軒東井編)に収められています。『譬喩尽』は、たとえやことわざ、慣用的な言い回しを集めた書物です。

この時点で、「金持ち金を使わず」は、特定の人物の出来事を語る言葉ではなく、金持ちにありがちな振る舞いを短くまとめた、世間の教訓として記録されています。したがって、ある一つの逸話から生まれたのではなく、人々が日常生活の中で感じてきた金銭感覚を表した言葉です。

さらに、『飛花落葉(ひからくよう)』(1783年序・江戸時代後期、平賀源内著、大田南畝編)は、平賀源内の死後、その文章を集めて編まれた文集です。この作品は、のちに増補された『風来六々部集(ふうらいろくろくぶしゅう)』にも収められました。

1800年の『風来六々部集』所収「飛花落葉」には、「槍持は槍を使はず、金持は金をつかはず、弁当持先へ食ず」とあります。槍を持つ役の者は自分で槍を使わず、金を持つ者は金を使わず、弁当を持つ者は先に食べないという三つの言い方を、調子よく重ねています。

ここでの「持つ」は、自分の思いどおりに使うことと同じではありません。槍持ちは主人の槍を運び、弁当持ちは他人の弁当を運ぶ役目なので、持っていても自分のためには使えないという共通点があります。

その並びの中に「金持は金をつかはず」を置くことで、財産を持つ人も、まるで他人の物を預かっているかのように金を使わないという皮肉が強められています。短い言葉を同じ形で重ねることによって、聞き手の記憶に残りやすい言い回しとなっています。

「槍持ち槍を使わず」は、持っているだけで、自らは使わないことのたとえです。「弁当持ち先に食わず」も、物を持っている人が自分のためには使わないことから、特に金持ちが金を出さないことのたとえとして使われます。

これらは、「金持ち金を使わず」と一続きに唱えられることもありました。似た形の言葉を重ねることで、物を持っている人が必ずしもそれを自由に使うとは限らないという、人間社会の逆説を面白く表しています。

現在では、主に「金持ちはけちなものだ」という皮肉として使いますが、「金持ちは無駄遣いをしないから金持ちでいられる」という教訓を読み取ることもできます。金を使わない行為が慎ましい倹約なのか、必要な支出まで拒むけちなのかを、場面に応じて見分けることが大切です。

「金持ち金を使わず」の使い方

健太
ともこちゃんのいとこのお家って、すごく大きくてお庭も広いのに、普段のお買い物はいつも遠くのスーパーの特売日に行くんだってね。
ともこ
そうなの、おばさんは毎日家計簿をつけて、電気もこまめに消して、無駄な出費を徹底的に省いているらしいわ。
健太
あんなにお金があるなら、毎日豪華なものを買っても良さそうなのに、不思議だなあ。
ともこ
まさに金持ち金を使わずだね、そうやって小さな倹約を続けているからこそ、あの大きなお家を維持できるのかもしれないね!

「金持ち金を使わず」の例文

例文
  • 十分な財産があるのに寄付を一円も出さない彼を見て、金持ち金を使わずとはよく言ったものだと思った。
  • 祖父は金持ち金を使わずを地で行く人で、古い道具も修理しながら大切に使っていた。
  • 社長は高価な飾りには金を出さず、安全設備には惜しまず投資するため、金持ち金を使わずにも堅実な面がある。
  • 金持ち金を使わずというが、必要な治療費まで惜しむのは倹約とは呼べない。
  • 隣家の主人は収入が多くても質素な生活を続けており、まさに金持ち金を使わずである。
  • 金持ち金を使わずと皮肉られた彼は、無駄を省いて貯めた金を災害支援に役立てた。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・松葉軒東井編『譬喩尽』1786年序。
・平賀源内『飛花落葉』1783年序。




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