「紺屋の白袴」の意味(語源由来・類義語・英語訳)
【ことわざ】
紺屋の白袴
【読み方】
こうやのしろばかま
【意味】
商売に忙しくて、自分のすることをする暇のないこと。
他人のために一生懸命やるあまり、自分のことはおろそかになってしまうってわけやな。これは、自分自身の大切さも忘れへんように、って教えてくれてるんやろな。
【語源由来】
「こうや」は「こんや」の転で、染物屋のこと。紺屋の仕事着は白無地のたっつけ袴。紺屋のくせに白袴をはいているのは、客の注文に追われるばかりで、自分の袴を染める間もないだろうと揶揄していう。一説に、染色液を扱いながら自分の白袴にはしみ一つ付けないという職人の自負を表したことばともいう。
【類義語】
・医者の不養生
・医者の若死に出家の地獄
・易者身の上知らず
・学者の不身持ち
・駕籠舁き駕籠に乗らず
・鍛冶屋の竹火箸
・紙漉きの手鼻
・髪結い髪結わず・
・髪結いの乱れ髪
・紺屋の白足袋
・左官の荒壁
・算術者の不身代
・儒者の不身持ち
・大工の掘っ立て
・坊主の不信心
・椀作りの欠け椀
【英語訳】
The cobbler’s wife goes the worst shod.
The tailor’s wife is worst clad.
「紺屋の白袴」の解説
「紺屋の白袴」っていうことわざの由来は、昔の染物屋さんのことから来ているんだよ。
「紺屋」っていうのは、衣類を紺色に染める職人さんのことを指すんだ。それでね、この染物屋さんが忙しくて、自分の白い袴(昔の人がはいていたズボンのようなもの)を染める暇がなくて、いつも白い袴をはいていたんだってさ。
この「紺屋の白袴」っていうのは、普通だったら紺色の袴をはいているはずの染物屋さんが、逆に白い袴をはいているっていう、ちょっとおかしな状況を表しているんだよね。
そしてね、「紺」と「白」という全く反対の色を使うことで、そのおかしな状況を強調しているんだ。
でも、この話にはもう一つの解釈もあって、それは「染物屋さんは仕事中にも関わらず、自分の白い袴に染料を一滴もつけない」という、職人の誇りを示すものだとも言われているんだよ。
「紺屋の白袴」の使い方
「紺屋の白袴」の例文
- 警察はする必要がないと思い、あまり自分たちの署そのものをパトロールしたりはしないらしく、紺屋の白袴で署内の金庫から3千万円盗まれた。
- 美容院で働くともこちゃんは、紺屋の白袴とでもいうのか、いつも髪型を気にせず一つにまとめているだけだ。
- 紺屋の白袴というのか、腕の立つ大工さんなのに、住んでいる家はぼろぼろだ。
- フランス料理のシェフをしている父は、仕事が忙しすぎて、自分の昼ごはんはカップラーメンを食べているらしい。紺屋の白袴なんだとびっくりした。
- 紺屋の白袴というが、他人のことをするのにいそがしく、自分のことをする余裕がない人は多いのではないだろうか。
- あの人は占い師なのに紺屋の白袴といったらひどいかもしれない自分の人生は占えず、事故で亡くなった。
つまり、自分が専門のことでさえ、自分自身には適用できていないという、ちょっと皮肉な状況を描いているんだ。