【ことわざ】
親の光は七光
【読み方】
おやのひかりはななひかり
【意味】
親の社会的地位や名声が高いと、その影響によって子も大きな恩恵を受けるということ。


【英語】
・It’s a great help to have a famous parent(有名な親を持つことは大きな助けになる)
【類義語】
・親の七光(おやのななひかり)
【対義語】
・親の因果が子に報う(おやのいんががこにむくう)
「親の光は七光」の語源・由来
「親の光は七光」の「光」は、実際に目に見える光ではありません。ここでは、親の名声・地位・権力などが周囲に及ぼす威光(いこう)を光にたとえ、その余光(よこう)を受けた子まで利益を得る様子を表しています。
「七光」は、親や主人などの威光が大きく、そのおかげが広く、長く及ぶことを表す言葉です。この「七」は、必ずしも七つという正確な数を指すものではなく、数が多いことを示し、恩恵がさまざまな方面に及ぶことを強調しています。
「七光」という言い方の古い例は、松江重頼編『毛吹草(けふきぐさ)』(1638年・江戸時代前期)巻二に出てきます。そこには、「おとこのひかりは七ひかり」とあり、力を持つ人の威光が、本人だけでなく周囲にも広く及ぶことを「七ひかり」と表しています。
親の威光に結び付いた古い例としては、雑俳(ざっぱい)の句を集めた『住吉おどり(すみよしおどり)』(1696年・江戸時代前期)に、「千年もおきたや親の七ひかり」とあります。現在のことわざとは語順が異なりますが、「親の七ひかり」というまとまりが、すでに17世紀末には使われていたことが分かります。
この句では、親が持つ力や恵みを「七ひかり」と呼び、その恩恵を受ける子の立場を印象深く表しています。もともと広く威光を示していた「七光」が「親」と結び付き、親の地位や名声が子の人生にも役立つという、現在に近い意味へと形を整えていきました。
明治時代には、泉鏡花の小説『黒百合(くろゆり)』(明治32年、泉鏡花著)に、「親の光は七光じゃよ」という形が出てきます。その場面では、知事と関係の深い人物だと思われることで、周囲の人々が道をあける様子を語り、地位のある人物の威勢が、その身近な者にまで及ぶことを表しています。
このように、初期には「親の七ひかり」という形が使われ、後には「親の光は七光」という整ったことわざとして定着しました。現在では、これを短くした「親の七光」や「親の七光り」という言い方も、広く用いられています。
このことわざが直接表すのは、子に実力があるかどうかではなく、親の地位や名声が子に恩恵をもたらすという関係です。ただし、自分自身の努力ではなく、親の力によって優遇されたという意味を含みやすいため、人を批判したり、皮肉ったりする言葉として用いられることもあります。
「親の光は七光」の使い方




「親の光は七光」の例文
- 有名な俳優を父に持つ彼は、親の光は七光で、デビュー前から大きな注目を集めた。
- 社長の娘が入社してすぐ重要な役職に就いたため、社員たちは親の光は七光だとささやいた。
- 親の光は七光というように、名の知れた政治家の子は、立候補したときから多くの支援を受けた。
- 彼女が若くして個展を開けたのは、画家である母の人脈によるところも大きく、親の光は七光と評された。
- 親の光は七光で得た機会であっても、その後に成功できるかどうかは本人の努力による。
- 名門の家に生まれた彼は親の光は七光の恩恵を受けたが、自分の実力を示すために人一倍励んだ。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・近藤いね子・高野フミ編集主幹『小学館プログレッシブ和英中辞典 第4版』小学館、2011年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・松江重頼編『毛吹草』1638年。
・『住吉おどり』1696年。
・泉鏡花『黒百合』1899年。























