目次
「三人寄れば文殊の知恵」とは
読み方・意味
- ことわざ:三人寄れば文殊の知恵
- 読み方:さんにんよればもんじゅのちえ
- 意味:凡人でも3人集まれば、驚くような知恵や解決策が見つかることがある。
「三人寄れば文殊の知恵」とは、平凡な人であっても、三人集まって相談すれば、思いがけない優れた知恵が出るという意味のことわざです。
このことわざに登場する「文殊(もんじゅ)」とは、仏教において知恵を司る「文殊菩薩(もんじゅぼさつ)」のことを指します。
そのため、「文殊の知恵」とは、非常に賢い知恵を意味します。
つまり、三人が集まって話し合えば、文殊菩薩のような素晴らしいアイデアや解決策が生まれる、という考え方が込められています。
「三人寄れば文殊の知恵」の語源・由来
「三人寄れば文殊の知恵」 は、仏教に登場する「文殊菩薩(もんじゅぼさつ)」 に由来しています。
1. 文殊菩薩とは?
文殊菩薩は、仏教において「知恵の菩薩」として知られています。
仏教では、仏の悟りを助ける存在(菩薩)がいくつかあり、その中で文殊菩薩は智慧(ちえ)を司る菩薩とされています。
特に、釈迦如来(しゃかにょらい=お釈迦様)の脇侍(きょうじ:そばで仕える者)として、普賢菩薩(ふげんぼさつ)と並んで重要な役割を担っています。
文殊菩薩は、鋭い知恵と深い学識を持ち、人々に正しい道を示す存在とされているため、「文殊の知恵」という言葉が生まれました。
2. ことわざの歴史
このことわざの初出は、江戸時代(1656年)に書かれた『俳諧・世話尽(はいかい・せわづくし)』 という文献とされています。
その後、日本のことわざとして広まり、現在でも日常的に使われています。
「三人寄れば文殊の知恵」の使い方
「三人寄れば文殊の知恵」の例文
- 旅行の計画を立てていたが、なかなか行き先が決まらなかった。そこで友人三人で話し合ったところ、誰も考えつかなかった絶好の旅行先が見つかった。三人寄れば文殊の知恵とはこのことだ。
- 文化祭の出し物を決める際、意見がまとまらずに困っていた。だが、三人でアイデアを出し合った結果、誰もが納得する最高の企画が決まった。三人寄れば文殊の知恵とは本当だな。
- 難しい数学の問題を解くのに一人では苦戦していたが、友達と三人で考えたらあっという間に解決した。やっぱり三人寄れば文殊の知恵だね。
- 新しい商品のネーミングを考えていたが、なかなか良い案が浮かばなかった。三人で話し合ったら、互いにアイデアを出し合い、最適な名前が決まった。まさに三人寄れば文殊の知恵だ。
- 家庭の問題を一人で悩んでいたが、家族三人で話し合ったら、思いもよらない解決策が見つかった。やはり、三人寄れば文殊の知恵というのは本当だ。
- 登山中に道に迷ってしまったが、三人で地図を見ながら相談したら、正しいルートを見つけることができた。三人寄れば文殊の知恵とは、まさにこういう場面で役立つ言葉だ。
文学作品などの用例
重喜(しげよし)が居城へ帰ってから無人になっている安治川屋敷は、大寺のように寂(じゃく)としていた。白髪(しらが)のお留守居とお長屋の小者が、蜘蛛(くも)の巣ばかり取って歩いている。
で、誰にも遠慮のいらないここの侍さむらい部屋は、目下、天堂やお十夜や周馬にとって、またなきねぐらとなっている。
三人よれば文殊の智慧というけれど、この三人、寄るとさわると酒なので、智慧の出るひまもなさそうだ。(『鳴門秘帖』吉川英治)
「三人寄れば文殊の知恵」の類義語・似たことわざ
「三人寄れば文殊の知恵」の対義語
「三人寄れば文殊の知恵」の完全な対義語はありませんが、考えようによっては反対の意味を表す表現としてご紹介します。
「三人寄れば文殊の知恵」の注意点
- 目上の人に使うのは避ける
→ 「平凡な人でも知恵が出る」というニュアンスがあるため、目上の人に対して使うと失礼になることがある。
(例:✕「社長も含めて三人で話し合えばいいですね!三人寄れば文殊の知恵ですから!」→ 目上の人に対して失礼に聞こえる可能性がある) - 必ずしも良い知恵が出るとは限らない
→ 人が集まっても意見が対立したり、混乱する場合には適さない。
(例:✕「三人で話し合ったけど、結局まとまらなかった。三人寄れば文殊の知恵だね」→ 何も解決していないため不適切)
「三人寄れば文殊の知恵」の英語表現
Two heads are better than one.
直訳: 二つの頭は一つにまさる。
意味: 一人で考えるよりも、二人で協力することでより良いアイデアや解決策が生まれる、という意味のことわざ。
例文: Even if you think you can solve the problem alone, don’t hesitate to ask for help. Two heads are better than one.
(自分一人で解決できると思っても、ためらわずに助けを求めてね。二つの頭は一つにまさるから。)