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「触らぬ神に祟りなし」の意味(語源由来・類義語・対義語)
【ことわざ】
触らぬ神に祟りなし
【読み方】
さわらぬかみにたたりなし
【意味】
よけいな物事に関係しなければ、わざわざ禍を招くこともないということ。
わざわざ火薬庫に火をつけに行くようなものやし、災いを自分から招き込むのも嫌やしな。
【語源由来】
神と関係さえしなければ、祟りをこうむるはずもないという意から、よけいなことに手出しすることを戒めることば。
【類義語】
・君子危うきに近寄らず
・近づく神に罰当たる
・参らぬ仏に罰は当たらぬ
・七日通る漆も手に取らねばかぶれぬ
【対義語】
・寝た子を起こす
・藪をつついて蛇を出す
・義を見てせざるは勇無きなり
「触らぬ神に祟りなし」の解説
「触らぬ神に祟りなし」っていうことわざはね、日本の愛知県西部の地方で使われる「尾張いろはかるた」っていうかるたの中に出てくるんだよ。日本にはいろんな地方ごとのいろはかるたがあって、その一つが「尾張いろはかるた」なんだ。
このことわざの背景には、「祟り神(たたりがみ)」という考え方があるんだ。祟り神とは、強い不満を抱いて死んだ人や、なんらかの理由で不本意に命を失った人の霊を指すんだ。そして、この祟り神が生きている人たちに災いをもたらすと考えられていたんだよ。
だから、この祟り神を恐れ、災いを鎮めるための信仰が盛んに行われていたんだ。それが「御霊信仰(ごりょうしんこう)」や「怨霊信仰(おんりょうしんこう)」っていうものなんだよ。
その中で、「触らぬ神に祟りなし」っていうことわざが生まれたんだね。つまり、「神や霊と関わりを持たなければ、災いも起こらない」という意味が込められているんだよ。これは、不必要に神や霊の力を借りようとせず、自分の力で生きていくことの大切さを教えてくれるんだね。
「触らぬ神に祟りなし」の使い方
「触らぬ神に祟りなし」の例文
- 今、母はとても怒っているようだ。触らぬ神に祟りなしというから、近寄らないようにしておこう。
- 触らぬ神に祟りなしということわざがあるように、余計な手出しをしなければ、めんどうなことにまきこまれることはない。
- 父の機嫌が悪いみたいだ。触らぬ神に祟りなしだから、話しかけるのはやめておこう。
- 試合に負けた後のキャプテンは、触らぬ神に祟りなしだ。
- さっき電話をしていた部長が、ものすごく怒っていたから触らぬ神に祟りなしというように、自分の仕事を進めておこう。
- 触らぬ神に祟りなしといったのに、余計なことをするから巻き込まれてしまうんだよ。
- 姉と妹がケンカをしていたけれど、触らぬ神に祟りなしというから、僕は静かに本を読んでいよう。
「触らぬ神に祟りなし」を英語で言うと?
「触らぬ神に祟りなし」の英語表現をご紹介します。
※英語の声:音読さん
Let sleeping dogs lie.
- 直訳:寝ている犬は寝かせておけ。
- 意味:面倒になりそうなことはそっとしておいた方が良い。
If it ain’t broke, don’t fix it.
- 直訳:壊れていないものを直すな。
- 意味:満足できる状態にあるものには手を加えるべきではない。
Far from Jupiter, far from his thunder.
- 直訳:ジュピターから遠ければ、雷からも遠い。
- 意味:その物事に関わりさえ持たなければ災いを招くことはない。
Don’t ask for trouble.
- 直訳:厄介を求めるな。
- 意味:自分からトラブルを招くような行動をしてはいけない。
「触らぬ神に祟りなし」の文学作品などの用例
自分のように人間をおそれ、避け、ごまかしているのは、れいの俗諺の「さわらぬ神にたたりなし」とかいう怜悧狡猾の処生訓を遵奉しているのと、同じ形だ、という事になるのでしょうか。(太宰治の人間失格より)
要するに、無用に面倒な事柄に手を出すな、と助言しているんだ。