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「朱に交われば赤くなる」の意味と使い方や例文!語源由来・類語・対義語・英語表現・注意点

朱に交われば赤くなる

「朱に交われば赤くなる」とは

朱に交われば赤くなる

読み方・意味

  • ことわざ:朱に交われば赤くなる
  • 読み方:しゅにまじわればあかくなる
  • 意味:人は交わる仲間や友人によって、善悪どちらにも感化されるということ。

 

「朱に交われば赤くなる(しゅにまじわればあかくなる)」とは、人は周囲の環境や付き合う相手によって、良くも悪くも影響を受けるという意味のことわざです。

ここでの「朱」は朱色、つまり黄みがかった赤の顔料のことで、「赤くなる」というのは、それと交わることで自分の色まで染まってしまう、つまり感化されるというたとえです。
自分がどんな人と関わるか、どんな環境に身を置くかによって、考え方や行動が大きく変わっていくという人間の特性を表しています。

良い友人と交われば自然と良い影響を受け、悪い人間関係に染まれば悪い影響を受けるという教訓として、学校や会社などでもよく使われる表現です。
付き合う相手を大切に選びなさいという人生の知恵が、この一言に込められています。

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「朱に交われば赤くなる」の語源・由来

「語源・由来」のイラスト

「朱に交われば赤くなる」の語源は、中国の古いことわざ「近墨必緇、近朱必赤(きんぼくひつし、きんしゅひっせき)」に由来しています。
これは「墨に近づけば必ず黒くなり、朱に近づけば必ず赤くなる」という意味で、人は周囲の影響を受けやすく、付き合う相手によって性質や考え方が変わっていくことを示した言葉です。

「朱」は、古代から使われてきた黄みを帯びた赤い顔料のことで、硫化水銀を主成分とした鉱物顔料「辰砂(しんしゃ)」から作られます。
朱色は、神社の鳥居や仏具などにも使われ、魔除けや神聖な色として扱われてきました。
また、習字で先生が添削に使う「朱墨」などもその名残で、ごく少量でも紙に染み広がる性質があり、人の心が環境によって染まりやすい様子になぞらえられています。

もともと中国のことわざでは「朱」と「墨」が対になって使われていましたが、日本に伝わった後は「朱に交われば赤くなる」だけが独立して使われるようになりました。
そのため、「良い人と交われば良くなる」「悪い人と交われば悪くなる」といったように、善悪のどちらの意味でも使える柔軟な教訓として現代にも残っています。

「朱に交われば赤くなる」の使い方

助手ねこ
オラ、最近ちょっとワルいことしてるトラくんたちと遊んでるんだニャー。楽しいけど、先生にしかられちゃったニャ…。
ハナちゃん
うーん、それってちょっと心配かも…。『朱に交われば赤くなる』っていうことわざ、知ってる?
助手ねこ
しゅに…まじわれば…あかくなるニャ? なにそれ!? 赤いペンとお友だちになると赤くなるってことニャ⁉︎
ハナちゃん
ちがうワン〜。まわりの人に影響されて、よくも悪くも変わっちゃうって意味なの。助手ねこくんはいい子なんだから、気をつけてワン!
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「朱に交われば赤くなる」の例文

「例文」のイラスト
  • 彼はもともとまじめな性格だったが、不良グループとつるむようになってから、まるで朱に交われば赤くなるように素行が悪くなってしまった。
  • 優秀な先輩たちと一緒に働くうちに、私の仕事のやり方もどんどん洗練されてきた。まさに朱に交われば赤くなる、だね。
  • 新しいチームに入ってから前向きな性格になってきた気がする。朱に交われば赤くなるって本当だね。
  • いくら注意しても弟は悪友と遊びたがる。朱に交われば赤くなるんだから、心配でたまらない。
  • 社長は「若手には優秀な先輩をつけろ。朱に交われば赤くなるんだからな」とよく言っている。
  • 友達と毎日ランニングを続けていたら、自分もいつの間にか走るのが好きになっていた。朱に交われば赤くなるというのは、良い意味でも使えるんだな。
  • 転校してから成績が急に落ちた息子を見て、母は「朱に交われば赤くなるものね…」とつぶやいた。

文学作品などの用例

そうかえ。それはえらいね。草紙をお見せ。この前の清書の時は竹だったにね。(松若より草紙を受け取り、広げて見る)なるほど、「朱に交われば赤くなる」だね。だいぶしっかりして来たね。も少し字配りをよくしたらなおいいだろう。丹誠(たんせい)してお稽古(けいこ)したおかげだよ。(松若の頭をなでる)(『出家とその弟子』倉田百三)

「朱に交われば赤くなる」の類義語・似たことわざ

「類義語」のイラスト

「朱に交われば赤くなる」の対義語

「対義語」のイラスト

「朱に交われば赤くなる」の完全な対義語はありませんが、考えようによっては反対の意味を表す表現としてご紹介します。

「朱に交われば赤くなる」の注意点

注意点のイラスト
  • 人との関わりによる影響に限定して使う
    → 自分の努力や偶然による変化には使わない。
    (例:✕「毎日コツコツ勉強したら成績が上がった。朱に交われば赤くなるだね」
    → 他人の影響ではなく、自力なので不適切)
  •  正しい言い回しで使う
    →「朱に染まれば赤くなる」などの誤用に注意。
    (例:✕「朱に染まれば赤くなる」→ 誤用。「交われば」が正しい)

「朱に交われば赤くなる」の英語表現

「英語」のイラスト

He that touches pitch shall be defiled.

直訳:タールに触れるものは必ず汚れる。

意味:悪いものやよくない人に関わると、自分まで悪影響を受けてしまうという意味のことわざです。
「朱に交われば赤くなる」や「悪に近づけば悪に染まる」といった日本のことわざと似た教訓を含んでいます。

例文:Stay away from those troublemakers. Remember, he that touches pitch shall be defiled.
(あの問題児たちには近づくな。タールに触れれば汚れるってことを思い出して。)





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