【ことわざ】
牛の歩みも千里
【読み方】
うしのあゆみもせんり
【意味】
歩みの遅い牛でも、地道に進めば千里先まで行けることから、たゆまず努めれば成果が現れることのたとえ。


【英語】
・Slow and steady wins the race(ゆっくりでも着実に進む者が最後には勝つ)
【類義語】
・雨垂れ石を穿つ(あまだれいしをうがつ)
・点滴石を穿つ(てんてきいしをうがつ)
【対義語】
・三日坊主(みっかぼうず)
「牛の歩みも千里」の語源・由来
「牛の歩みも千里」は、足の遅い牛でも、一歩一歩進み続ければ、やがて千里という遠い道のりに至る、という見立てから生まれたことわざです。速さよりも、休まず続けることに価値を置いた言い方です。
このことわざの「牛の歩み」は、牛の歩き方そのものを指すだけでなく、進み具合が遅いことのたとえとして用いられてきました。「牛歩(ぎゅうほ)」にも近く、ゆっくりした進行を表します。
「牛の歩み」という言い方は、古くから和歌の表現にも出てきます。藤原定家の家集『拾遺愚草(しゅういぐそう)』(1216年に正編三巻が成立し、1233年まで増補、鎌倉時代)には、「行きなやむ牛のあゆみ」という形があり、牛の遅い歩みを情景として詠んでいます。
この古い用例は、現在のことわざそのものではありません。しかし、牛のゆっくりした歩みを「遅い進み方」のたとえにする発想が、中世の日本語の中にもあったことを示しています。
「千里」は、一里の千倍という意味から、非常に遠い道のりや遠方を表す言葉です。厳密な距離の名であると同時に、ことわざの中では、はるかな目標や大きな成果を思わせる言葉として働いています。
そのため、「牛の歩み」と「千里」が結びつくと、遅い歩みでも長く続ければ大きなところまで届く、という考えがはっきりします。小さな一歩を軽く見ず、積み重ねの力を認めるところに、このことわざの味わいがあります。
似た形の言い方に、「牛も千里、馬も千里」や「早い馬も千里、のろい牛も千里」があります。これらは、速い馬でも遅い牛でも、目指す距離が同じなら、行き着く先は同じであるという考えを表します。
「牛の歩みも千里」は、その中でも特に、遅くても休まず努力を重ねることに重点を置く言い方です。周囲より進みが遅く見えても、続けることによって成果に近づくという励ましの意味をもちます。
現在では、学習や習い事、仕事、健康づくりなど、長い時間をかけて力をつける場面に広く使われます。すぐに結果が出ないときでも、「牛の歩みも千里」は、着実な努力を続ける人を支えることわざです。
「牛の歩みも千里」の使い方




「牛の歩みも千里」の例文
- 毎日一ページずつ読書を続ければ、牛の歩みも千里で、やがて多くの本を読み終えられる。
- ピアノの練習は短い時間でも、牛の歩みも千里と思って続けることが大切だ。
- 新しい仕事に慣れるまで時間はかかるが、牛の歩みも千里で、少しずつできることが増えていく。
- 体力づくりは急に成果が出ないので、牛の歩みも千里の気持ちで毎朝歩くことにした。
- 研究はすぐに答えが出るものではなく、牛の歩みも千里のような地道な積み重ねが必要だ。
- 苦手な英語も、毎日単語を覚えれば、牛の歩みも千里で確かな力になる。
主な参考文献
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・公益財団法人日本漢字能力検定協会『漢字ペディア』。
・藤原定家『拾遺愚草』1216〜1233年ごろ。
・LanGeek『LanGeek English Dictionary』LanGeek。























