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【一芸は道に通ずる】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

一芸は道に通ずる

【ことわざ】
一芸は道に通ずる

【読み方】
いちげいはみちにつうずる

【意味】
一つの技芸を深くきわめた人は、ほかの分野にも通じる道理や応用力を身につけるということ。

ことわざ博士
「一芸は道に通ずる」は、一つのことを徹底して学ぶことで、ものごとの根本に通じる力が育つという考えを表しているよ。
助手ねこ
芸能、武道、学問、仕事などで、専門を深めた経験が別の場面にも生きるときに用いるニャン。

【英語】
・Master one art, and you gain insight into many others(一つの技芸をきわめれば、ほかの多くの分野にも通じる見識を得る)

【類義語】
・一芸は百芸に通ず(いちげいはひゃくげいにつうず)
・一芸に達する者は諸芸に達する(いちげいにたっするものはしょげいにたっする)

【対義語】
・多芸は無芸(たげいはむげい)
・器用貧乏(きようびんぼう)

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「一芸は道に通ずる」の語源・由来

ことわざを深掘り

「一芸は道に通ずる」は、中国の古い人物や事件にもとづく故事成語ではなく、日本の芸道(げいどう)の考え方に根をもつことわざです。ここでいう「道」は、単なる道路ではなく、芸能・武芸・学問・仕事などを深く修めていく筋道や、心の修行を含む考え方を指します。芸道は、日本の伝統的な武芸、芸能、芸術の世界で、技術だけでなく、精神性も重んじる「芸の道」を表す言葉です。

このことわざの中心には、「一つの芸を深く学ぶと、表面的な技術をこえて、広く応用できる道理に近づく」という考えがあります。「一芸」は、一つの芸事・芸能・技芸を指します。「通ずる」は、ある道理を理解し、ほかの物事にもつながる力を持つことを表します。したがって、このことわざは、ただ「得意なことが一つある」というだけでなく、その一つを深く磨くことによって、考え方や学び方まで身につくという意味を含んでいます。

古い芸道論の中にも、このことわざと響き合う考えが出てきます。世阿弥(ぜあみ)の『風姿花伝』(15世紀初めごろ成立、室町時代)は、能を学ぶ者に向けた伝書で、応永年間に七篇がしだいに成立しました。そこでは、能の芸と工夫を極めた上手であれば、さまざまな芸の向きにも応じられるという趣旨が述べられています。これは、「一つの芸を本当に深く修めると、ほかの芸の理解にも通じる」という考えに近いものです。

『風姿花伝』の「問答条々」では、下手な役者にもよい所があり、上手であっても、そこから学ぶべきだという教えが述べられます。さらに、能と工夫を極めた者は、どの向きにも応じられるという考えが示されます。これは、一つの芸を狭く閉じた技として見るのではなく、観察、工夫、稽古、反省を重ねる道としてとらえる姿勢です。現在の「一芸は道に通ずる」も、まさにこのように、一つの専門を深めることで広い道理を学ぶという意味につながります。

江戸時代には、宮本武蔵の『五輪書』(1645年ごろ成立、江戸時代前期)にも、近い考えが出てきます。『五輪書』には、兵法の理をもってすれば、諸芸諸能もみな、一つの道として通じないものはない、という趣旨の一節があります。これは、剣術の道理を深く会得すれば、他の芸や能力にもつながるという考えを示すものです。

また、「芸」と「道」を結びつける近いことわざとして、「芸は道によって賢し」があります。このことわざは、専門の事柄はその道の人がよく知っているという意味で、江戸時代中期の雑俳『露丸評万句合』(1763年)に、「けいわ道によってかちこち大工の子」という古い用例が出てきます。「一芸は道に通ずる」と意味は同じではありませんが、「芸」や「道」を、その人が深く通じる専門の筋としてとらえる発想をよく示しています。

このように、「一芸は道に通ずる」は、一つの芸だけを機械的にくり返せばよいという意味ではありません。大切なのは、その芸を通して、工夫する力、失敗から学ぶ力、ものごとの根本を見ぬく力を養うことです。だからこそ、このことわざは、芸能や武道だけでなく、勉強、スポーツ、仕事、研究にも広く用いることができます。

反対に、あれこれと多くのことに手を出しても、一つの芸に深く通じなければ、結局は何も身につかないという考えを表すことわざに、「多芸は無芸」があります。「一芸は道に通ずる」は、その反対側にある発想として、一つの道を深く掘り下げることの価値を教えることわざです。

「一芸は道に通ずる」の使い方

健太
けん玉の練習を毎日続けていたら、算数の難しい問題でも、あきらめずに順番を考えられるようになったよ。
ともこ
それは一芸は道に通ずるだね!一つのことを深く続けると、別の勉強にも生きる考え方が身につくんだね。
健太
ただ技がうまくなっただけじゃなくて、失敗したときの直し方も少し分かってきた気がする。
ともこ
その学び方を大切にしたら、発表の準備や読書感想文にも役立ちそうだね。
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「一芸は道に通ずる」の例文

例文
  • 一芸は道に通ずるというように、書道を長く続けた経験が、集中して勉強する姿勢にも生きた。
  • 将棋を深く学んだ兄は、先を読む力を仕事にも生かしており、一芸は道に通ずると感じる。
  • 一芸は道に通ずるとは、ただ器用になることではなく、一つの分野を通してものごとの根本を学ぶことをいう。
  • 合唱をきわめようとした努力が、人の声をよく聞く習慣につながり、一芸は道に通ずるの意味が分かった。
  • 料理を何年も研究した母は、段取りのよさを家事全体に生かしていて、一芸は道に通ずるを体現している。
  • 一芸は道に通ずると信じ、彼はロボット製作を通して、理科だけでなく発表や記録の力も伸ばした。

主な参考文献
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・世阿弥著、野上豊一郎・西尾実校訂『風姿花伝』岩波書店、1958年。
・宮本武蔵著、渡辺一郎校注『五輪書』岩波書店、1985年。





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