【ことわざ】
嘘と坊主の頭は結ったことがない
【読み方】
うそとぼうずのあたまはゆったことがない
【意味】
これまで一度も嘘をついたことがないということ。


【英語】
・I have never told a lie(私は一度も嘘をついたことがない)
【類義語】
・嘘と虎の尻尾は引っ張ったことがない(うそととらのしっぽはひっぱったことがない)
・嘘と牡丹餅ついたことない(うそとぼたもちついたことない)
【対義語】
・嘘も方便(うそもほうべん)
「嘘と坊主の頭は結ったことがない」の語源・由来
このことわざは、「嘘を言う」と「頭を結う」の音を掛けた洒落から成る言い方です。「嘘を言ったことがない」ことを、坊主の頭を結ったことがないという言い回しで表します。
「結う」は、糸やひもなどでくくる意味をもち、髪については、乱れた髪の毛を束ねて整えることを指します。『万葉集』(8世紀後半成立、奈良時代)にも、髪を「結へる」と表す用例があります。
日本では、頭髪を束ねて整えることは、長く日常や身分、年齢、儀式と結びついていました。明治初頭の断髪令以前には、男女の頭髪が何らかの結束を伴うことも多く、「結髪」は髪型と近い意味でも用いられました。
一方、「坊主」は、もとは寺院の僧房の主を指す言葉でしたが、のちに僧侶一般の呼び名となり、さらに、髪を剃っている頭やその人を指す意味にも広がりました。
「坊主頭」という言い方は、坊主のように髪を剃ったり短く刈ったりした頭を指します。古い例として、『昨日は今日の物語(きのうはきょうのものがたり)』(1615年ころ・江戸時代初期、作者不明)の「ばうずあたまを剃りつけて」という表現が知られています。
そのため、「坊主の頭を結う」という行為は、髪がない、または短く刈られている頭には成り立ちにくいものとして受け取られます。このありえない行為を持ち出して、「それと同じように、自分は嘘を言ったことがない」と言うところに、このことわざの面白さがあります。
このことわざでは、「言う」と「結う」の響きが重なっています。耳で聞くと似た音になるため、「嘘を言ったことがない」というまじめな主張が、「坊主の頭を結ったことがない」というおかしみのある表現に置き換わります。
表記や形には、「嘘と坊主の頭はゆったことがない」のほか、「嘘と坊主は頭を結ったことがない」という形もあります。どちらも、嘘を「言う」と頭を「結う」を掛ける仕組みは同じです。
同じ型の言葉遊びとして、「嘘と虎の尻尾は引っ張ったことがない」や「嘘と牡丹餅ついたことない」もあります。どれも、実際にはしにくい、またはしない行為を並べて、嘘をついたことがないと述べる洒落です。
このことわざは、重々しい教訓というよりも、疑われたときに少し強く、冗談めかして言い返す言葉として使われます。そのため、まじめな場面で正直さを証明する言葉というより、会話の中で調子よく受け答えする表現といえます。
現在の意味も、語源のしくみとよくつながっています。坊主の頭を結ったことがないのは当然である、という分かりやすい例を借りて、自分は嘘をついたことがないと言い張るところに、このことわざらしい軽みがあります。
「嘘と坊主の頭は結ったことがない」の使い方




「嘘と坊主の頭は結ったことがない」の例文
- 彼は疑われると、嘘と坊主の頭は結ったことがないと胸を張った。
- 忘れ物をした理由を聞かれ、弟は嘘と坊主の頭は結ったことがないと言い返した。
- 友人は笑いながら、嘘と坊主の頭は結ったことがないと弁解した。
- 店員は数え間違いではないと、嘘と坊主の頭は結ったことがないという調子で答えた。
- 健太は宿題を写していないと、嘘と坊主の頭は結ったことがないと言い張った。
- あまり大げさに嘘と坊主の頭は結ったことがないと言うと、かえって疑われることもある。
主な参考文献
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・平凡社編『改訂新版 世界大百科事典』平凡社、2007年。
・集英社『会話で使えることわざ辞典』。
・Cambridge University Press『Cambridge Dictionary』。























