【ことわざ】
雨の降る日は天気が悪い
【読み方】
あめのふるひはてんきがわるい
【意味】
ごく当たり前であること、当然であることのたとえ。わかりきったことを、改めて言うような場合に用いる。


【英語】
・It goes without saying(言うまでもない)
【類義語】
・犬が西向きゃ尾は東(いぬがにしむきゃおはひがし)
「雨の降る日は天気が悪い」の語源・由来
「雨の降る日は天気が悪い」は、特定の人物や事件をもとにした故事ではなく、日常の中でだれもが分かる事実をそのまま言い表したことわざです。雨が降っている日を「天気が悪い」と言うのは、ごく普通の受け止め方であり、そこに新しい情報はほとんどありません。そのため、この表現は、内容が明らかすぎること、言わなくても分かることを示すたとえとして使われるようになりました。
このことわざの面白さは、「雨が降る」と「天気が悪い」が、ほぼ同じ状況を指しているところにあります。前半で雨の日だと分かった時点で、後半の「天気が悪い」は当然の説明になります。つまり、同じ内容を別の言い方で重ねることで、「それは言うまでもない」という意味を生み出しています。
古い中国の物語や漢籍に由来する表現ではなく、日本語の近代以降の言い回しとして受け取るのがふさわしいことわざです。明治以前まで深くさかのぼる表現ではなく、明治以降に定着した言い方と考えられます。ここでは、長い歴史をもつ古典由来のことわざというより、近代の文章感覚や会話の中で、当たり前すぎることを少しおどけて言う表現として広まったといえます。
この言い回しは、昭和期の文学作品の題名としても目に入ります。土井晩翠の随筆集『雨の降る日は天気が悪い』(1934年・昭和9年、土井晩翠著)は、もとの表記では『雨の降る日は天氣が惡い』とも示されています。書名そのものが、わかりきったことをあえて並べるような調子を持っており、この表現が当たり前さを逆におかしみへ変える言い方であることをよく示しています。
また、同じ作品の序には、表題が昭和2年の正月以降、月刊誌『隨筆』に寄せた随筆の題から来ていることが書かれています。その冒頭では「分かり切ってる事を並べ立てる」と述べており、この表現が、まさに「分かりきったことを言う」という意味と結びついていたことが分かります。
現在では、「雨の降る日は天気が悪い」は、単に雨の日の様子を述べる言葉ではありません。むしろ、だれでも分かることを、わざわざ得意そうに言う場面に対して使うことわざです。雨の日の説明から生まれた素朴な言い方が、当たり前すぎる発言を指すたとえとして定着した表現だといえます。
「雨の降る日は天気が悪い」の使い方




「雨の降る日は天気が悪い」の例文
- 宿題をしなければ終わらないと力説するのは、雨の降る日は天気が悪いと言うようなものだ。
- 試合に負けた理由を相手より点が少なかったからとだけ説明しても、雨の降る日は天気が悪いにすぎない。
- 会議で費用を使えば残金が減ると得意げに述べるのは、雨の降る日は天気が悪いに近い。
- 朝から土砂降りなのに外がぬれるとだけ注意するのは、雨の降る日は天気が悪いのたとえに当たる。
- 計画が進まない理由を作業していないからとだけ言うなら、雨の降る日は天気が悪いと変わらない。
- 料理を焦がした原因を火が強すぎたからとだけ言っても、雨の降る日は天気が悪いほど当たり前の説明だ。
主な参考文献
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・土井晩翠『雨の降る日は天気が悪い』大雄閣、1934年。
・Cambridge University Press『Cambridge Dictionary』.























