【ことわざ】
蛙の面に水
【読み方】
かえるのつらにみず
【意味】
非難されたり叱られたりしても、まったく平気で反応しないことのたとえ。


【英語】
・be like water off a duck’s back.(批判や侮辱などがまったくこたえない)
【類義語】
・馬耳東風(ばじとうふう)
・馬の耳に念仏(うまのみみにねんぶつ)
・糠に釘(ぬかにくぎ)
・石に灸(いしにきゅう)
【対義語】
・骨身に染みる(ほねみにしみる)
「蛙の面に水」の語源・由来
「蛙の面に水」は、水辺にすむ蛙の顔へ水がかかっても、蛙が少しも動じない姿から生まれた言い方です。ここでの「面」は「顔」を表し、「水がかかってもこたえない蛙」の姿を、人の注意や非難が届かない態度に重ねています。
古い形としては、江戸時代前期の『無刊記刊本碧巖鈔(へきがんしょう)』(1620〜1640年ごろ)三に、「蛙の面へ如_{レ}掛_{レ}水なぞと也」という形が出てきます。『碧巖鈔』は『佛果圜悟禪師碧巖録』の注解に関わる書物で、言葉の古い使われ方を知る手がかりになります。
そのくだりでは、「黄河(こうが)を頭下しそそぐとも、ちっとも不_{レ}動者よと也」とあり、大河の水を頭から注がれても少しも動かない者のたとえとして、この言い回しを置いています。現在のように「非難されても平気」という意味にしぼられる前に、外から強いものを受けても動じないありさまを表すたとえとして使われていたことが分かります。
この古い用例では、「蛙の面に水」ではなく、「蛙の面へ水」に当たる形が用いられています。「へ」は水が向かっていく先を示し、「に」は水がかかる対象を示しますが、どちらも「蛙の顔に水をかける」という同じ場面をもとにしています。後に「蛙の面に水」の形でも広く用いられ、非難や罵倒を受けても平気で反応しないことを表す言い方として定着しました。
この表現には、「水」のほかに、さらに卑俗な言い方へ変えた異形もあります。明治期までは「水」の形が用いられ、その後は口語的に強めた形も多く使われましたが、学習用の文章では「蛙の面に水」が穏やかで扱いやすい形です。
現在の「蛙の面に水」は、単に我慢強い人をほめる言葉ではありません。注意されても反省せず、忠告や非難がまったく響かない態度を少し批判していうことが多く、そこにこのことわざの芯があります。
「蛙の面に水」の使い方




「蛙の面に水」の例文
- 何度注意しても約束を破る弟には、蛙の面に水だった。
- 部長の厳しい叱責にも、彼は蛙の面に水で、反省した様子がなかった。
- 友人たちの忠告は蛙の面に水で、彼女は危ない計画を変えなかった。
- 近所から苦情が来ても、店主は蛙の面に水とばかりに騒音を続けた。
- 宿題を忘れたことを先生に注意されても、健太の態度は蛙の面に水だった。
- 何度も説明した改善案を聞き流す相手には、蛙の面に水のようなむなしさを覚えた。
主な参考文献
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・Cambridge University Press『Cambridge Learner’s Dictionary』Cambridge University Press。
・『無刊記刊本碧巖鈔』1620〜1640年ごろ。























