【故事成語】
一年の計は元旦にあり
【読み方】
いちねんのけいはがんたんにあり
【意味】
一年の計画は、年の初めの元日に立てて行うべきであるということ。物事は最初が大切で、しっかりした計画を立ててから着実に行うべきだという教え。


【英語】
・A good beginning makes a good ending(よい始まりはよい終わりにつながる)
【類義語】
・一日の計は朝にあり(いちにちのけいはあさにあり)
・始めが大事(はじめがだいじ)
・始めよければ終わりよし(はじめよければおわりよし)
【対義語】
・終わり良ければすべて良し(おわりよければすべてよし)
「一年の計は元旦にあり」の故事
「一年の計は元旦にあり」は、年の初めに一年の計画を立てることの大切さを説く表現です。ここでいう「計」は、ただの思いつきではなく、目標や予定を考え、物事をどう進めるかを定めることを指します。元旦は本来、元日の朝を意味しますが、元日そのものを指して使われることもあります。
この故事成語のもとには、中国で古くから言われてきた「一日の計は晨に在り、一年の計は春に在り」という考え方があります。「晨(あした)」は朝、「春」は新しい年の初めを表し、一日のことは朝に、一年のことは春に考えるべきだという意味です。
中国の明代に馮應京がまとめた『月令広義(げつれいこうぎ)』には、「一日之計在晨、一年之計在春、一生之計在勤、一家之計在身」という形が伝わります。これは、一日の計画は朝に、一年の計画は春に、一生の大事は勤めに、一家の大事は身を修めることにある、というように、人生を整えるための節目を並べた表現です。
このもとの形では、「元旦」ではなく「春」とあります。中国の暦では、春が年の初めと深く結びついていたため、「一年の計は春にあり」という言い方が、一年の出発点で計画を立てるという意味を担いました。日本語では、年の初めをよりはっきりと示す言い方として、「元日」「元旦」「正月」などを用いる形が広まりました。
日本では、現在の言い方に近い形が、江戸時代のことわざ集にも記録されています。『譬喩尽(たとえづくし)』(1786年序、松葉軒東井編)には、「一年の計は元日・元旦・正月にあり」と同じ意味の形が古い用例として伝わり、物事は最初が大切であり、まず計画を立ててから取りかかるべきだという意味で用いられています。
また、「一日の計は朝にあり、一年の計は元旦にあり」という長い形も使われます。これは、一日の始まりである朝と、一年の始まりである元旦を対応させ、物事は初めからしっかりと考えて進めるべきだという教えを、分かりやすく示したものです。
この表現で大切なのは、「元旦に計画を立てなければ手遅れ」という厳しい決まりではありません。年の初めという区切りをきっかけに、これから何を大切にし、どのように行動するかを考えることに意味があります。年頭に目標を定め、決意を新たにすることが大切だという考えが、この故事成語の根底にあります。
現在では、学校の学習計画、仕事の目標、家庭での生活習慣など、さまざまな場面で使われます。新しい一年をただ迎えるのではなく、初めに考え、準備し、着実に進むことが、その後の成果につながるという教えを伝える故事成語です。
「一年の計は元旦にあり」の使い方




「一年の計は元旦にあり」の例文
- 一年の計は元旦にありという言葉を思い出し、正月に一年分の読書目標を立てた。
- 父は一年の計は元旦にありと言って、家族で今年やりたいことを紙に書き出した。
- 会社では一年の計は元旦にありにならい、年始に新しい事業計画を確認した。
- 一年の計は元旦にありを大切にして、今年は毎朝十五分だけ英語を勉強すると決めた。
- 大会で勝つために、一年の計は元旦にありの気持ちで練習日程を組んだ。
- 一年の計は元旦にありとはいえ、計画を立てるだけでなく実行し続けることが大切だ。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・円満字二郎編『故事成語を知る辞典』小学館、2018年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・松葉軒東井編『譬喩尽』1786年序。
・馮應京『月令広義』明代。























