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【磯際で船を破る】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

磯際で船を破る

【ことわざ】
磯際で船を破る

【読み方】
いそぎわでふねをわる(いそぎわでふねをやぶるとも読む)

【意味】
物事がもう一歩で成就しようとするところで失敗することのたとえ。船が港の近くまで来たところで難破することからいう。

ことわざ博士
「磯際で船を破る」は、成功や完成が目前にあるのに、最後の段階でしくじることを表すことわざなんだよ。
助手ねこ
長く努力してきた計画、試験、仕事、制作物などが、仕上げの失敗でだめになる場面で用いるニャン。

【英語】
・to fall at the final hurdle(最後の段階で失敗する)
・There is many a slip twixt cup and lip(完成するまでに思わぬ失敗が起こりうる)

【類義語】
・港口で難船(みなとぐちでなんせん)
・川口で船を破る(かわぐちでふねをわる)
・九仞の功を一簣に虧く(きゅうじんのこうをいっきにかく)

【対義語】
・有終の美を飾る(ゆうしゅうのびをかざる)
・大願成就(たいがんじょうじゅ)

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「磯際で船を破る」の語源・由来

ことわざを深掘り

「磯際で船を破る」は、船が長い航行を終え、港や岸に近づいたところで難破してしまう情景をもとにしたことわざです。あと少しで目的地に着くはずだったのに、最後の最後で船を損なうところから、物事が成就する直前の失敗を表すようになりました。

「磯際(いそぎわ)」は、波打ち際、海岸べり、磯辺を表す言葉です。古い用例では、『土佐風土記逸文(とさふどきいつぶん)』(『釈日本紀(しゃくにほんぎ)』所載、1274〜1301年ごろ)に、島に下りた皇后が礒際で休む場面が出てきます。

「磯」は、海や湖などの波打ち際を表し、とくに石の多い海岸を指します。また、波をかぶったり流れに洗われたりする岩石も「磯」と呼ばれます。したがって「磯際で船を破る」は、単なる岸辺ではなく、船にとって危険を含む水際の印象をもつ表現です。

このことわざでは、「破る」を「わる」と読む形が示されています。一方で、「いそぎわでふねをやぶる」という読みも用いられ、「磯際」は「磯端(いそばた)」ともいうと説明されています。

「船を破る」は、船を壊す、船を損なうという意味に近い表現です。無事に港へ入る目前で船を損なうという場面は、それまでの長い努力が一瞬で失われることを強く印象づけます。

同じ発想をもつ言い方に、「港口で難船」があります。港に入ろうとした船が難破することから、完成まであと一歩というところで物事がくずれることを表します。

また、「川口で船を破る」も近い表現です。長い航海を終え、港付近の川口まで来たところで船を損なうことから、成功の直前で失敗することを表します。

「川口で船を破る」には、近世の浄瑠璃『七小町(ななこまち)』(1727年・江戸時代中期)に「今宵一夜が手詰の瀬戸、川口で舟破(ワル)な」という用例があります。この用例では、もう少しという大事な局面で失敗してはならないという切迫した意味合いが伝わります。

さらに、『譬喩尽(たとえづくし)』(1786年序・江戸時代後期、松葉軒東井編)にも、船を損なう比喩と近い発想のことわざが収められています。この書物は、ことわざを中心に、詩歌、童謡、流行語、方言などを広く集めたいろは順の諺語辞典です。

これらの言い方は、海路や港が身近だった時代の生活感覚から生まれたものです。船旅では、沖を越えても、港へ入る直前の浅瀬、岩場、川口、港口で事故が起こり得るため、「到着目前」こそ油断できないという感覚が、ことわざとして形になりました。

「磯際で船を破る」は、その中でも、磯という岩の多い水際を用いて、最後の危うさを表しています。目標に近づいたときほど、安心しきってしまいやすい人間の弱さを、船の難破という分かりやすい比喩で戒める表現です。

現在では、船や港に関係する場面に限らず、受験、試合、発表、契約、作品づくりなど、成功の目前で失敗する場面に広く用いられます。努力を重ねてきた物事ほど、最後の確認や仕上げをおろそかにしてはならないという教えが、このことわざの中心にあります。

「磯際で船を破る」の使い方

健太
図工展に出す船の模型が、あと帆をつけるだけで完成するんだ。早く終わらせたくて、接着剤をたっぷりつけたよ!
ともこ
ちょっと待って!帆が曲がったまま固まったら、磯際で船を破ることになるよ。
健太
本当だ、船体はきれいにできていたのに、最後の帆で台なしにするところだった。先に位置を確かめるよ。
ともこ
うん、完成の直前ほど落ち着こう。ここまでがんばった模型を、最後まで大事に仕上げようね。
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「磯際で船を破る」の例文

例文
  • 決勝戦の終了間際に反則をして負けたのは、まさに磯際で船を破る結果となった。
  • 卒業文集の原稿を仕上げたのに、保存せずに消してしまい、磯際で船を破ることになった。
  • 契約書の最後の金額を打ち間違えれば、磯際で船を破るおそれがある。
  • 入試の答案を書き終えたあと、名前を書き忘れたことに気づかず、磯際で船を破る形になった。
  • 文化祭の準備は順調だったが、当日の連絡不足で混乱し、磯際で船を破るような失敗を招いた。
  • 完成目前の研究発表こそ、磯際で船を破ることのないよう、資料と発表時間を丁寧に確認する必要がある。

主な参考文献
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2000〜2002年。
・公益財団法人日本漢字能力検定協会編『漢検 漢字辞典 第二版』日本漢字能力検定協会、2014年。
・松葉軒東井編、宗政五十緒校訂『たとへづくし:譬喩尽』同朋舎出版、1979〜1981年。
・『七小町』1727年。
・Oxford University Press『Oxford Advanced Learner’s Dictionary』Oxford University Press。
・HarperCollins Publishers『Collins Easy Learning Idioms Dictionary』HarperCollins Publishers。





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