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【茨垣を裸身で潜る】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語)

茨垣を裸身で潜る

【ことわざ】
茨垣を裸身で潜る

【読み方】
いばらがきをはだかみでくぐる

【意味】
極めて苦痛なことのたとえ。

ことわざ博士
「茨垣を裸身で潜る」は、とげのある生け垣を裸のままくぐるように、痛みをまともに受けるほどの苦しさを表しているよ。
助手ねこ
心身に強いつらさが続く経験や、逃げ場の少ない苦境を述べる場面に用いるニャン。

【類義語】
・裸で茨を背負う(はだかでいばらをせおう)

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「茨垣を裸身で潜る」の語源・由来

ことわざを深掘り

「茨(いばら)」は、バラやカラタチなど、とげのある低木の総称であり、植物のとげそのものも指します。「茨垣(いばらがき)」は、そのようなとげの多い木を植え並べて作った生け垣です。「茨垣を裸身で潜る」は、衣服で身を守ることもできないまま、鋭いとげのある垣根をくぐる姿をもとに、耐えがたいほどの苦痛を表した言い方です。

「茨」に当たる植物の名は、古くから日本語の中に現れています。『万葉集』(8世紀後半成立、奈良時代)には、「棘原(うばら)」の形で、とげのある植物を指す用例があります。また、平安時代前期ごろの『伊勢物語』には、「むばらからたち」とあり、とげのある木に触れて傷つく場面で使われています。現在の「いばら」と同じく、人が近づけば刺されかねない植物として、古くから捉えられていたことが分かります。

時代が下ると、「いばら」という形も明確に記されます。『文明本節用集』(室町時代中期成立)では、とげのある低木類を指す言葉として「いばら」が載り、『日葡辞書』(1603〜1604年成立、江戸時代初期)では、植物のとげ、はりを表す言葉として記されています。さらに、「茨」は、具体的な植物やとげだけでなく、身に受ける苦難や苦痛をたとえる言葉としても用いられるようになりました。

ことわざの情景を形作る「茨垣」という言葉は、『鑓の権三重帷子(やりのごんざかさねかたびら)』(1717年・江戸時代中期、近松門左衛門作)に出てきます。この作品には、「三方は高塀北は茨がき、犬猫もくぐらぬに」とあり、茨垣は、犬や猫でさえ通り抜けにくい、とげのある厳しい囲いとして描かれています。ここではまだ、ことわざ全体の形ではありませんが、「茨垣」が人の行く手を阻み、身を傷つけかねないものとして受け取られていたことが伝わります。

もう一つの要となる「裸身」は、このことわざでは「はだかみ」と読み、裸の体、裸体を意味します。『和玉篇』(15世紀後半成立、室町時代後期)には、「はだかみ」の用例があります。茨垣を通るだけでも痛いところに、体を覆うもののない「裸身」が加わることで、痛みを避けるすべのない、いっそう激しい苦しさが表されます。

「潜る」は、この表現では「くぐる」と読みます。茨垣の外から眺めるのではなく、その下や間を身一つで通り抜けることを表すため、単に苦しいというだけでなく、傷つきながらその苦痛の中を進まなければならない様子まで伝わります。今日伝わる「茨垣を裸身で潜る」は、この強い比喩によって、極めて苦痛なことを言い表すことわざです。

よく似た言い方に、「裸で茨を背負う」があります。こちらも、裸の身にとげのある木が触れる姿から、苦しみの多い生活、とりわけ激しい労働のつらさを表します。それに対して、「茨垣を裸身で潜る」は、とげのある障害の中を、守りのない身でくぐり抜ける姿を表し、ある経験や境遇がひどく苦痛であることを、鋭く印象づける言い方となっています。

「茨垣を裸身で潜る」の使い方

ともこ
合唱の指揮を任されたけれど、みんなの前に立つたびに胸が苦しくなるの。練習の日が来るのもつらいよ……。
健太
そんなに苦しかったの? 一人で我慢して続けなくても、先生に話していいと思うよ。
ともこ
うん。今のわたしには、茨垣を裸身で潜るようなつらさなんだ。
健太
それなら一緒に先生のところへ行こう! 役目をどうするか、落ち着いて相談しよう。
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「茨垣を裸身で潜る」の例文

例文
  • 痛みの強い治療を何度も受ける日々は、彼にとって茨垣を裸身で潜るような苦しさだった。
  • 借金を返すために休みなく働き続けた生活を、父は茨垣を裸身で潜る思いで耐え抜いた。
  • 理不尽な非難を浴びながら弁明の機会も与えられない状況は、茨垣を裸身で潜るに等しかった。
  • 重いけがを抱えたまま長い避難生活を送ることは、家族にとって茨垣を裸身で潜るような経験だった。
  • 孤立した職場で厳しい扱いに耐え続けた年月は、まさに茨垣を裸身で潜る毎日であった。
  • 大切な人を失った悲しみの中で手続きを進めることは、彼女には茨垣を裸身で潜るほど苦痛なことだった。

主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』全3巻、小学館、2005〜2006年。
・集英社辞典編集部編『会話で使えることわざ辞典』集英社、1989年。
・近松門左衛門『鑓の権三重帷子』1717年。





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