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【衣は帛を重ねず】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語)

衣は帛を重ねず

【故事成語】
衣は帛を重ねず

【読み方】
いははくをかさねず

【意味】
ぜいたくを避け、衣服や暮らしを質素にすること。

ことわざ博士
「衣は帛を重ねず」は、高価な絹織物の着物を重ねて着ないという姿によって、慎ましい生活態度を表しているよ。
助手ねこ
身分や財力があっても華美に流れず、節倹を重んじる人物や暮らしぶりを述べる場面に用いるニャン。

【類義語】
・衣は采を重ねず(いはさいをかさねず)

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「衣は帛を重ねず」の故事

故事成語を深掘り

「帛(はく)」は、きぬ、または絹織物の総称を指す言葉です。古代中国では、絹の衣服は美しく価値の高いものでしたから、それを幾重にも着ることは、豊かさやぜいたくを表す姿でもありました。「衣は帛を重ねず」は、絹の衣を重ねて着ないという具体的な行いをもとに、華美を避けて質素に暮らすことを表します。

この表現のもとになった「衣不重帛」は、『尹文子(いんぶんし)』「大道上」に出てきます。現在伝わる『尹文子』は、「大道上」「大道下」の二篇から成り、戦国時代の尹文の名を冠する書物として伝わっていますが、成立や伝来については議論があります。

「大道上」では、人々の好みや暮らし方は、上に立つ者の行いから大きな影響を受けるという考えが述べられています。その例として、斉の桓公が紫の衣を好むと国じゅうで紫の衣が重んじられ、楚の荘王が細い腰を好むと、国じゅうに飢えたような姿の人が増えたという話が挙げられます。

その流れの中で、晋(しん)の国がぜいたくな風潮に苦しんでいたため、文公(ぶんこう)が自ら倹約を示して、これを改めようとしたと語られます。文公は、中国の春秋時代に晋を治めた君主で、在位は紀元前636年から紀元前628年です。

原文には、「昔晉國苦奢,文公以儉矯之,乃衣不重帛,食不兼肉」とあります。これは、昔、晋の国がぜいたくな風潮に苦しんでいたため、文公は倹約によってその風潮を正そうとし、絹の衣を重ねて着ず、食事にも何種類もの肉を並べなかったという意味です。

続いて、「無幾時,人皆大布之衣,脫粟之飯」とあります。文公が自ら質素な衣食を実行すると、ほどなく人々も、粗い布の衣を着て、精白していない穀物の飯を食べるようになったというのです。ここでの「衣不重帛」は、貧しくて絹を着られないという意味ではなく、国のぜいたくを改めるために、君主が進んで華美を控えた姿を表しています。

この故事で大切なのは、文公が言葉だけで倹約を命じたのではなく、自分の衣食を慎ましくすることで、人々の暮らし方を変えた点です。そのため、「衣は帛を重ねず」は、単に服装が地味であることではなく、ぜいたくを戒め、質素な行いによって周囲にもよい影響を及ぼす姿に結び付く表現となりました。

後の時代にも、「衣不重帛」は、質素な人物をたたえる言葉として使われました。唐代の646年に成立した『晋書(しんじょ)』の「劉超伝」には、劉超が身を慎ましく保ち、「衣不重帛,家無儋石之儲」、すなわち、絹の衣を重ねて着ず、家にはわずかな蓄えさえなかったと記されています。

同じ『晋書』の「王導伝」にも、王導は「簡素寡欲」で、蔵に蓄えた穀物がなく、「衣不重帛」であったとあります。王導は、高い地位にありながら、衣服を華美にせず暮らした人物として描かれており、この言い方が、権力や名声をもつ人の節倹を表す言葉として受け継がれたことが分かります。

日本語では、漢文の「衣不重帛」を「衣は帛を重ねず」と読み下して用います。絹の着物を重ねないという晋の文公の行いを土台に、豊かであってもぜいたくを慎み、つつましい暮らしを守ることの尊さを伝える故事成語です。

「衣は帛を重ねず」の使い方

健太
おじいちゃん、町の会社の社長なのに、毎日同じ作業着をきれいに直して着ているんだ。
ともこ
新しい高い服をたくさん買うより、まだ使える物を大切にしているんだね。
健太
うん。おばあちゃんが、ああいう暮らしを衣は帛を重ねずというんだよって教えてくれたよ。
ともこ
すてきだね! わたしも、必要のない物を欲しがる前に、今ある物を大事にするよ。
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「衣は帛を重ねず」の例文

例文
  • 村長は裕福になってからも衣は帛を重ねずを守り、質素な身なりで人々に接した。
  • 父は衣は帛を重ねずを信条とし、見栄のために高価な服を買うことを避けた。
  • その経営者は衣は帛を重ねずの暮らしを続け、余った財を地域の学びの場に役立てた。
  • 祖母は衣は帛を重ねずと語り、晴れの日にも華美に過ぎない装いを選んだ。
  • 国が苦しい時期に、王は衣は帛を重ねずを自ら実践し、人々にも節倹を促した。
  • 高い地位に就いても衣は帛を重ねずを貫いた彼の姿勢は、多くの部下の信頼を集めた。

主な参考文献
・教育部『重編國語辭典修訂本』臺灣學術網路第六版、2021年。
・『尹文子』「大道上」。
・房玄齢・李延寿等撰『晋書』646年。





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