【ことわざ】
枝を伐って根を枯らす
【読み方】
えだをきってねをからす
【意味】
まず手をつけやすい末端を処理し、それから順に根本を取り除くこと。大きな問題を、扱いやすいところから段階的に始末するたとえ。


【英語】
・step by step(段階を追って、一歩ずつ)
【類義語】
・根を断ちて葉を枯らす(ねをたちてはをからす)
「枝を伐って根を枯らす」の語源・由来
「枝を伐って根を枯らす」は、木を取り除くとき、いきなり根本から始めるのではなく、まず切りやすい枝から手をつけ、順に根本へ近づいていく様子にもとづくことわざです。「枝を伐り根を枯らす」という形でも用いられます。
「伐」という字には、刃物で木などを切る意味があります。そのため、このことわざの「伐って」は、木の枝を切り落とす具体的な動作を表しています。
木の根は地面の中にあり、簡単には取り除けません。そこで、先に枝のような手をつけやすい部分を始末し、全体を弱らせながら、最後に根本へ及ぶという考え方になります。
この比喩でいう「枝」は、物事の末端や周辺の部分を表します。一方、「根」は、物事を成り立たせている大もとや原因を表します。
したがって、このことわざは、ただ小さいことから始めればよい、というだけの言葉ではありません。手近な部分を順に片付けながら、最後には根本の問題まで取り除く、という進め方を表します。
「根本」という言葉には、草木の根の意味だけでなく、物事のおこり、大もとの原因、物事を成り立たせている大もとのことがらという意味があります。このため、木の根を枯らすという言い方は、問題の中心を取り除くことに自然につながります。
近い発想をもつ表現に、「根を断ちて葉を枯らす」があります。こちらは、わざわいのもとを残りなく取り除くという意味で、根を断てば葉も枯れるという、根本から全体へ及ぶ考え方を表します。
「根を断ちて葉を枯らす」の古い用例は、『身の鏡』(1659年・江戸時代前期、江島為信作)に出てきます。そこには「一門郎従根(ネ)をたち、葉(ハ)をからし、天下平均に治りけり」とあり、一門や郎従まで残さず取り除く文脈で使われています。
「根を断ちて葉を枯らす」が根本から末端へ及ぶ考え方を表すのに対し、「枝を伐って根を枯らす」は、末端から根本へ進む順序を強く表します。どちらも木の枝・葉・根を用い、物事の末端と根本を分かりやすくたとえています。
このことわざは、遠回りをすすめる言葉ではありません。根本にすぐ届かないときでも、扱いやすい部分から順に進めれば、やがて大もとに手が届くという、現実的な知恵を表す言葉です。
「枝を伐って根を枯らす」の使い方




「枝を伐って根を枯らす」の例文
- 町内のごみ問題は、まず出し方の分かりにくい点を直し、枝を伐って根を枯らすように解決を進める必要がある。
- 大きな仕事を前にして、彼は枝を伐って根を枯らす考えで、簡単な資料整理から始めた。
- 学級のけんかをなくすには、枝を伐って根を枯らすように、小さな不満を一つずつ聞き取ることが大切だ。
- 古い倉庫の片付けは、枝を伐って根を枯らすつもりで、手前の箱から順に整理した。
- 会社の無駄を減らすには、枝を伐って根を枯らすように、日々の小さな手順から見直すべきだ。
- 難しい研究課題でも、枝を伐って根を枯らす方法で、周辺の資料から順に読み解いていけば道が開ける。
主な参考文献
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・江島為信『身の鏡』1659年。
・Cambridge University Press『Cambridge English Dictionary』。























