【ことわざ】
臭い物に蠅たかる
【読み方】
くさいものにはえたかる
【意味】
悪い性質や考えをもつ者のところには、同じような者が集まるというたとえ。


【英語】
・Birds of a feather flock together.(似た者同士は集まる)
【類義語】
・類は友を呼ぶ(るいはともをよぶ)
「臭い物に蠅たかる」の語源・由来
このことわざの出発点は、いやなにおいのする物に蠅が集まるという、暮らしの中の具体的な光景です。悪臭を放つ物のまわりに蠅が寄り集まる様子を、人間の好ましくない交わりに重ねています。
このたとえでは、「臭い物」が、悪事を行う者や、よくない性質をもつ者を表します。そこに集まる「蠅」は、同じような悪い考えをもち、その行いや利益に引き寄せられて仲間となる者を表します。
古い用例として、『譬喩尽(たとえづくし)』(天明6年・1786年序、江戸時代後期、松葉軒東井編)に、このことわざが記されています。『譬喩尽』は全八巻から成り、ことわざをはじめ、詩歌、童謡、流行語、方言などを幅広く集め、いろは順に並べた書物です。
『譬喩尽』は、当時、世間で使われていた言葉を集めた書物です。そのため、このことわざも松葉軒東井が新しく作ったものではなく、遅くとも江戸時代後期には人々の間で用いられていた言い回しを記録したものと考えられます。
後には、京都・上方(かみがた)系のいろはかるたで、「く」の札のことわざとしても知られるようになりました。かるたでは、今回の形と同じく、「臭い物に蠅たかる」という言い方が用いられています。
一方、「臭い物に蠅がたかる」と、「が」を入れる形も広く使われています。「が」の有無によって意味は変わらず、どちらも、悪い者のまわりには同じような者が集まるという意味を表します。
このことわざは、単に気の合う者が集まることを表すものではありません。すでに悪い行いや考えをもつ者たちが、互いに引き寄せられるように集まる場面を、蠅が群がる様子にたとえ、強く非難する言葉です。
したがって、人の外見や評判だけを理由に使う言葉ではありません。不正、悪だくみ、人を傷つける行為など、好ましくない行いをする者が仲間を増やしていることを批判する場面で用いるのが、このことわざの意味に合っています。
「臭い物に蠅たかる」の使い方




「臭い物に蠅たかる」の例文
- いたずらを面白がる子たちが次々に集まり、臭い物に蠅たかるとはこのことだと思った。
- 人をだます計画に同じ考えの者が加わる様子は、まさに臭い物に蠅たかるだった。
- 反則を勧める選手の周りに同じような仲間が集まり、臭い物に蠅たかるという言葉が当てはまった。
- 会社の数字をごまかしていた部長に不正を手伝う社員が集まり、臭い物に蠅たかるの有様となった。
- 匿名で悪口を書く集団が仲間を増やすのを見て、彼女は臭い物に蠅たかると顔を曇らせた。
- 詐欺を企てる男のもとへ協力者が集まる姿は、臭い物に蠅たかるそのものだった。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・松葉軒東井編、宗政五十緒校訂『たとへづくし―譬喩尽』同朋舎出版、1981年。























