【有卦に入る】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

有卦に入る

【慣用句】
有卦に入る

【読み方】
うけにいる

【意味】
幸運にめぐりあって、よいことが続くこと。特に、運が向いて調子のよい状態になること。

ことわざ博士
「有卦に入る」は、もとは有卦という吉運の年回りに入ることを表すよ。
助手ねこ
商売が当たる、試合で勝ち続ける、思いがけない幸運が重なるなど、運勢がよい方へ向いている場面で用いるニャン。

【英語】
・be on a roll(好調が続いている)

【類義語】
・有卦入(うけいり)
・付きが回る(つきがまわる)

【対義語】
・無卦に入る(むけにいる)

「有卦に入る」の語源・由来

慣用句を深掘り

「有卦に入る」の「有卦」は、陰陽道(おんようどう)で、干支(えと)にもとづく吉運の年回りを指す言葉です。有卦に当たる年は七年続き、そのあとに無卦(むけ)という凶年が五年続くと考えられていました。

「卦」は、もともと占いで運勢や物事の成り行きを示すしるしを表す漢字です。「有卦」は、運が有る卦、つまり吉のめぐり合わせを表す言い方として用いられました。

この考え方では、人の年回りを生年と五行(ごぎょう)、十二運(じゅうにうん)の関係から吉と凶に分けました。胎・養・長・沐・冠・臨・帝の七つに当たる年を有卦とし、衰・病・死・墓・絶の五つに当たる年を無卦としました。

「有卦・無卦」は、もとは一年十二か月に配したものとされ、唐のころから七年と五年に分ける形になり、日本にも早く伝わったと考えられています。日本の暦に書きのせられるようになったのは、貞享(じょうきょう)年間、1684〜1688年ごろからとされています。

古い用例としては、『運歩色葉』(1548年・室町時代後期)に「有卦」という言葉が出てきます。この段階では、する事なす事がよい方へ向かう、縁起のよい年回りを指す言葉として使われています。

「有卦に入る」という形では、俳諧『玉海集』(1656年・江戸時代前期)に「藤本恵佐有気に入たる祝ひすとて」という用例が出てきます。ここでは、実際に有卦の年回りに入ったことを祝う場面として表しています。

同じ1656年の俳諧『ゆめみ草』には、「釣り取るやうけに入たる桜鯛」という句が見られます。ここでは、年回りそのものだけでなく、よい運命にめぐり合い、幸運をつかむ意味へ広がっていることが分かります。

江戸時代には、有卦に入ったことを祝う習俗も広まりました。有卦の年回りになると、「ふ」の字の付くものを七つ集めて祝い事をする「有卦振る舞い」が行われ、宮中でも有卦入りを祝うことがあったといいます。

「有卦振舞」という言葉は、仮名草子『尤双紙』(1632年・江戸時代前期)にも出てきます。そこには「うけ振舞(ブルマヒ)」とあり、幸運にめぐり合ったのを祝って人をもてなす意味で使われています。

また、「有卦入」という名詞形も用いられました。浄瑠璃『仏御前扇車』(1722年・江戸時代中期)には、「そなたばかりか一門一家の有卦入(ウケイリ)」とあり、個人だけでなく家全体に幸運がめぐることを表しています。

江戸から明治にかけては、有卦に入った人が「有卦絵(うけえ)」を飾ったり贈られたりして、幸せを願う習慣もありました。錦絵には、福に通じる「ふ」の字が付くものが描かれ、縁起をかつぐ遊び心も加わっていました。

こうして「有卦に入る」は、もとの占いの年回りを指す言い方から、広く「幸運が続く」「運が向いて調子がよい」という意味へ移りました。現在では、年回りそのものを知らなくても、商売、試験、勝負、仕事などでよいことが続く場面に使われる慣用句になっています。

「有卦に入る」の使い方

健太
商店街のくじ引きで、ぼくの家が旅行券とお米を続けて当てたんだ。
ともこ
すごいね!この前はお父さんのお店もテレビで紹介されていたよね。
健太
うん。お母さんが、最近うちは有卦に入るみたいにいいことが続くねって言っていたよ。
ともこ
いい運が来ている時こそ、感謝して大事にしたいね!

「有卦に入る」の例文

例文
  • 新しく始めた店が評判を呼び、店主は有卦に入る勢いで売り上げを伸ばした。
  • 彼は大会で連勝し、さらに推薦も決まって、有卦に入るような一年を過ごした。
  • 会社の新商品が次々と当たり、経営陣は有卦に入る状態に油断しないよう気を引きしめた。
  • 抽選に当たり、試験にも合格し、姉は有卦に入るとはこのことだと喜んだ。
  • チームはけが人の復帰から流れが変わり、有卦に入るように勝ち星を重ねた。
  • 父は有卦に入る時ほど周りへの感謝を忘れてはいけないと話した。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2006年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・現代言語研究会著『故事ことわざの辞典』あすとろ出版、2007年。
・井原西鶴『好色一代男』1682年。
・『玉海集』1656年。
・『ゆめみ草』1656年。
・『尤双紙』1632年。




講談社刊行・全3冊

運営者・北澤篤史の著書

ことわざ・四字熟語・漢字熟語を、マンガで楽しく学べる図鑑シリーズです。

※Amazon・楽天の購入先にはアフィリエイトリンクが含まれます。

マンガでわかる すごい!ことわざ図鑑〈試験に出る〉の表紙
ことわざ

マンガでわかる すごい!ことわざ図鑑〈試験に出る〉

試験によく出ることわざを、マンガと解説で楽しく学べる一冊。

マンガでわかる おもしろ四字熟語図鑑〈試験に出る〉の表紙
四字熟語

マンガでわかる おもしろ四字熟語図鑑〈試験に出る〉

四字熟語をマンガで理解し、意味・漢字・使い方を覚えたい人へ。

マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑の表紙
漢字熟語

マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑

似た意味・同じ読みの漢字熟語の違いを、マンガと用例で学べる一冊。