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【艱難汝を玉にす】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

艱難汝を玉にす

【ことわざ】
艱難汝を玉にす

【読み方】
かんなんなんじをたまにす

【意味】
多くの苦しみや困難を経て、人は初めて立派な人物になるということ。

ことわざ博士
艱難汝を玉にすは、困難そのものをほめる言葉ではなく、困難を乗り越える経験が人を成長させるという教えなんだよ。
助手ねこ
苦しい状況にいる人を励ましたり、努力を続ける意味を伝えたりする場面で用いるニャン。

【英語】
・Adversity makes a man wise.(逆境は人を賢くする)

【類義語】
・玉磨かざれば光なし(たまみがかざればひかりなし)
・若い時の苦労は買ってもせよ(わかいときのくろうはかってもせよ)
・可愛い子には旅をさせよ(かわいいこにはたびをさせよ)

【対義語】
・温室育ち(おんしつそだち)

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「艱難汝を玉にす」の語源・由来

ことわざを深掘り

「艱難汝を玉にす」の「艱難」は、困難に出あって苦しみ悩むことを表します。「汝」は相手を指す古風な言葉で、「玉」は美しい宝石や、磨かれて立派になったものを思わせる言葉です。

「艱難」という言葉自体は古く、『万葉集』(8世紀後半・奈良時代)にも用例があります。また、仮名草子『智恵鑑』(1660年・江戸時代前期)には「艱難をしのぎて後、大功をあらはし」という用例があり、苦しい経験を越えたあとの成就を述べる文脈で使われています。

このことわざは全体として、漢文の読み下しのような形をしています。しかし、中国の古典にそのままの出典をもつ表現ではなく、英語の “Adversity makes a man wise.”、または同じ意味をもつフランス語のことわざを翻訳したものと考えられます。

日本語の古い用例としては、『小学読本(しょうがくとくほん)』巻四(1874年・明治7年、那珂通高・稲垣千頴撰)に見える「されば艱難汝を玉にすとも又人の徳慧術智あるもの恒に疢疾に存すともいへり」が知られています。明治初期の教科書の中で、西洋のことわざが漢文調の日本語として受け入れられていたことが分かります。

この用例では、「艱難汝を玉にす」に続けて、『孟子(もうし)』尽心上の「人之有德慧術知者,恒存乎疢疾」という言葉が添えられています。これは、徳や知恵をもつ人は、しばしば苦しみや患いの中に身を置く、という趣旨の一節です。

そのため、このことわざは、単に「苦労すればよい」という乱暴な意味ではなく、苦しみや困難の中で考え、耐え、工夫することが、人を深く育てるという意味で受け取られてきました。石が磨かれて美しい玉になるように、人も試練を通して人格や知恵を磨く、というたとえです。

明治以後、この表現は学校教育の中でも広まりました。『尋常小学修身書 第三学年 児童用』(1904年・明治37年、文部省著)には「カンナンハ、人ヲタマニス」とあり、のちの版には「カンナン、ナンヂヲタマニス」という形も見られます。

修身教科書では、二宮金次郎や渡辺登、すなわち渡辺崋山の少年期の話とともに、この考えが教えられました。そのため、「人は多くの艱難を経て、はじめて人格を向上させることができる」という、日本の近代教育に合った受け取り方も広まりました。

大正期には、芥川龍之介の『侏儒の言葉(しゅじゅのことば)』(1923〜1927年)にも「艱難汝を玉にす」が使われています。ここでは有名な教訓として取り上げられており、当時すでに広く知られた表現であったことがうかがえます。

現在の「艱難汝を玉にす」は、苦労を美化するための言葉ではありません。つらい経験を通して考える力や忍耐、思いやりが磨かれ、人として成長していくという、励ましの意味をもつことわざです。

「艱難汝を玉にす」の使い方

健太
夏休みの自由研究、実験が何度も失敗して、もうやめたくなってきたよ。
ともこ
でも、原因を調べ直しているところがすごいよ。失敗からちゃんと学んでいるんじゃない?
健太
先生にも、艱難汝を玉にすって言われた。苦しいけど、前より実験のことが分かってきた!
ともこ
発表の日には、その苦労もきっと力になっているよ。もう少し一緒に記録を整理しよう。
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「艱難汝を玉にす」の例文

例文
  • 何度も失敗した経験が、艱難汝を玉にすの言葉どおり、彼を粘り強い人間にした。
  • けがで試合に出られなかった一年を、彼女は艱難汝を玉にすと考えて基礎練習に励んだ。
  • 新しい仕事で苦労は多かったが、艱難汝を玉にすという思いが心の支えになった。
  • 家族を支えながら学び続けた日々は、まさに艱難汝を玉にすの時間だった。
  • 友人は受験の失敗を乗り越え、艱難汝を玉にすを実感するほどたくましくなった。
  • 艱難汝を玉にすという言葉を胸に、彼は苦手な発表練習から逃げなかった。

主な参考文献

・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・那珂通高・稲垣千頴撰『小学読本 巻四』文部省、1874年。
・文部省『尋常小学修身書 第三学年 児童用』教育図書、1904年。
・『孟子』。
・芥川龍之介『侏儒の言葉』1923〜1927年。





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