『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』講談社より出版。詳細はコチラ!

【堪忍袋の緒が切れる】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

堪忍袋の緒が切れる

【慣用句】
堪忍袋の緒が切れる

【読み方】
かんにんぶくろのおがきれる

【意味】
もうこれ以上がまんできなくなり、こらえてきた怒りが爆発すること。

ことわざ博士
堪忍袋の緒が切れるは、一時の軽い腹立ちではなく、重なった不満や怒りをこらえ続けた末に限界を迎えることを表すよ。
助手ねこ
人の言動や不公平な扱いなどに長く耐えてきた人が、ついに怒りを表に出す場面で用いるニャン。

【英語】
・lose one’s patience.(我慢できなくなる)
・run out of patience.(忍耐が尽きる)
・the last straw.(我慢の限界を越えさせる最後の出来事)

【類義語】
・腹に据えかねる(はらにすえかねる)
・仏の顔も三度(ほとけのかおもさんど)
・堪忍蔵の戸が開く(かんにんぐらのとがあく)

【対義語】
・成らぬ堪忍するが堪忍(ならぬかんにんするがかんにん)
・堪忍は一生の宝(かんにんはいっしょうのたから)

【スポンサーリンク】

「堪忍袋の緒が切れる」の語源・由来

慣用句を深掘り

「堪忍袋」は、堪忍できる心の広さを袋にたとえた言葉です。「堪忍」は、怒りをおさえて人の過ちを許すことや、苦しさをこらえることを表し、「袋」は、そのこらえる力の入れ物として考えられています。

「緒」は、袋の口などを結ぶひもを指します。そのため、この慣用句では「尾」ではなく「緒」と書き、こらえていた怒りを入れた袋のひもが切れる、というたとえで意味を表します。

この比喩に近い古い表現として、「こらえ袋」があります。『本光国師日記』(1620年・江戸時代前期)には「拙老心中こらへ袋やふれ候」とあり、心の中で怒りをこらえる度量を、袋が破れることにたとえています。

その後、「堪忍袋」という形も使われるようになります。雑俳『削かけ』(1713年・江戸時代中期)には「うっちゃる・かんにんぶくろ切れる縁」とあり、堪忍できる心の広さを袋にたとえる言い方が、江戸時代にはすでに広まっていたことが分かります。

現在の形に近い用例としては、談義本『教訓雑長持』(1752年・江戸時代中期、伊藤単朴著)巻五の例が知られています。そこには「世俗の癖に、最早堪忍袋の緒が断たといふが……」とあり、世間で使われる言い方を取り上げる形で出てきます。

談義本は、江戸時代の宝暦から安永・天明ごろにかけて広まった、滑稽さの中に教訓や風刺をこめた読み物です。その流れの中で、『教訓雑長持』のような作品にも、町人社会で使われた言い回しや生活感のある比喩が取り入れられました。

『教訓雑長持』の用例では、堪忍袋の緒が切れたなら、なぜ早く継ぎ足さないのか、という趣旨の言い方になっています。これは、ただ怒りを爆発させることを描くだけでなく、怒りをこらえる徳を重んじる考え方を背景にもつ表現です。

江戸時代には、堪忍を人生の知恵や徳として重んじる言い方が多くありました。たとえば「堪忍五両」は、腹の立つところをがまんしていれば大きな利益になるという意味で、『二息』(1693年・江戸時代前期)にも「堪忍の五両笑顔は十五両」という用例があります。

また、「成らぬ堪忍するが堪忍」は、がまんできないことをこらえるのが本当の忍耐であるという教えです。こうした言い方と同じ社会的な背景の中で、「堪忍袋の緒が切れる」は、堪忍を重ねた末に限界へ達する場面を表す言葉として定着しました。

江戸後期の諺語辞典『譬喩尽』(天明6年序・江戸時代後期、松葉軒東井編)にも、この慣用句は収められています。『譬喩尽』は、ことわざを中心に、詩歌・童謡・流行語・方言などを広く集めた書物です。

近代以降も、この表現は文学の中で使われました。森鷗外の小説『雁』(1911〜1913年・明治末から大正初期)には、「堪忍袋の緒が切れた」という形の使用例があります。

現在の「堪忍袋の緒が切れる」は、長くこらえてきた怒りが、ある出来事をきっかけにおさえきれなくなることを表します。心の中の袋に怒りをため、その口を結んでいた緒がついに切れる、というたとえが、今の意味にそのままつながっています。

「堪忍袋の緒が切れる」の使い方

健太
今週、係の仕事を三回も同じ友だちに押しつけられたんだ。今日も黒板消しを全部ぼくにやらせようとしてきたよ。
ともこ
それはつらいね。最初にきちんと話し合ったのに、また同じことをされたの?
健太
うん。さすがに堪忍袋の緒が切れるところだったよ!でも、まず先生にも相談してから話すことにした。
ともこ
そのほうがいいね。怒りをぶつける前に、どう分担するか決め直そう。
【スポンサーリンク】

「堪忍袋の緒が切れる」の例文

例文
  • 何度注意しても約束を破る相手に、ついに彼の堪忍袋の緒が切れる
  • 部下の同じ失敗が続き、温厚な上司も堪忍袋の緒が切れる寸前だった。
  • 弟が大切な模型を勝手に壊したため、兄の堪忍袋の緒が切れる
  • 地域の約束を守らない店に対して、住民の堪忍袋の緒が切れる
  • 友人の失礼な言葉を何度も聞かされ、彼女はとうとう堪忍袋の緒が切れる
  • 長時間の待ちぼうけに加えて連絡もなかったので、父の堪忍袋の緒が切れる

主な参考文献

・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『デジタル大辞泉』小学館。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・伊藤単朴『教訓雑長持』1752年。
・松葉軒東井編『譬喩尽』天明6年序、寛政11年頃まで増補。
・森鷗外『雁』1911〜1913年。
・Oxford University Press『Oxford Learner’s Dictionaries.』
・Merriam-Webster, Merriam-Webster.com Dictionary.





『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』(講談社)発売中♪

マンガでわかる ことわざ図鑑

◆試験に出ることわざを網羅
ことわざは小学、中学、高校、大学、さらに就職試験の問題になっています。ことわざの試験対策としてもオススメの一冊。

◆マンガで楽しみながらことわざを知る! 憶える!
本書では、マンガで楽しくわかりやすくことわざを解説し、記憶に定着させます。