「江戸の敵を長崎で討つ」の意味(語源由来・類義語)
【ことわざ】
江戸の敵を長崎で討つ
【読み方】
えどのかたきをながさきでうつ
【意味】
意外なところで、または筋違いのことで、昔の恨みの仕返しをすることのたとえ。
例えばな、今までにどっかでトラブル起こして仲悪くなった人に、思いがけへんところで再会して、そこで一矢報いるみたいなことやな。
一説に、大阪の見世物師が江戸で江戸の見世物師が大阪でそれ以上の大成功をおさめたことを「江戸の敵を長崎が討つ」と言ったことから出たことばという。
【類義語】
江戸の仇を駿河で取る
「江戸の敵を長崎で討つ」の解説
このことわざは、見世物師(みせものし)という、昔のエンターテイナーたちの話から出てきたんだよ。
昔、大阪から来た見世物師が江戸で竹細工のショーをやって、すごく人気を集めて大成功したんだ。でも同じ頃、大阪では長崎から来た見世物師がオランダ船の模型やギヤマン細工(特殊なガラス工芸)のショーで大人気になって、大阪の見世物師たちを圧倒してしまったんだよ。
つまり、大阪の見世物師は江戸ではすごく成功したけど、自分の故郷である大阪では長崎の見世物師に負けちゃった、というわけ。だから、「江戸の敵を長崎で討つ」という言葉が生まれたんだ。
このことわざの意味は、「遠くの敵を倒すことができても、近くの敵には負けてしまう」ってこと。つまり、遠くで成功しても、自分の故郷や近くでの評価は必ずしも高くないということを教えてくれる言葉なんだよ。だから、どこで何をするにも全力を尽くすことが大切だね。
「江戸の敵を長崎で討つ」の使い方
「江戸の敵を長崎で討つ」の例文
- 僕の方が難しい大学に合格したけれど、彼女はあいつに取られちゃった。江戸の敵を長崎で討たれた。
- 製品でも販売数でも負けてないのに、江戸の敵を長崎で討つか。ライバルが力を入れて活動してデザイン賞を受賞した。
- 元の会社系株主グループが事業見直しで負けたことから、江戸の敵を長崎で討つことを狙って人事について疑義(ぎぎ)を申し立ててきた。
- 江戸の敵を長崎で討つ、まさかこんなことでお返しができるとは思ってもみなかった。
まとめ
江戸の見世物が大坂(明治までは「坂」)の見世物に負けて、その大坂の見世物が長崎の見世物に負けたことから、江戸側が溜飲(りゅういん)を下げたことがこのことわざのはじまりという説があります。意外な場所や筋違いのことで自負心(じふしん)を満足させてもあまり気持ちのよいものではないでしょう。別の見方をしてみましょう。テレビ番組では、どうしようもなく強くて理不尽な相手に負けるべくして負けてしまって、その相手の悪事がばれて正義の味方に成敗(せいばい)されたりや警察に逮捕されたりしてハッピーエンドで視聴者がすっきりするというシナリオ=江戸の敵を長崎で討つ型シナリオは、いつの時代でも一定の視聴率を確保できる黄金のシナリオです。