【ことわざ】
縁は異なもの味なもの
【読み方】
えんはいなものあじなもの
【意味】
男女の縁は、どこでどう結ばれるかわからず、理屈では説明しきれない不思議でおもしろいものだということ。


【英語】
・Marriages are made in heaven(結婚の縁は天で決められている)
・a marriage made in heaven(とてもよい結婚・理想的な結びつき)
【類義語】
・合縁奇縁(あいえんきえん)
・袖振り合うも多生の縁(そでふりあうもたしょうのえん)
【対義語】
・縁もゆかりもない(えんもゆかりもない)
「縁は異なもの味なもの」の語源・由来
「縁は異なもの味なもの」は、男女の縁が、思いもよらない形で結ばれる不思議さを表すことわざです。「縁」は、人と人とのつながり、また婚姻によって生じる関係を表し、仏教では、ある結果を生じさせる間接的な原因や条件という意味もあります。
「異な」は「いな」と読み、普通と変わった、変な、妙なという意味を表します。このことわざでは、男女の縁が理屈どおりには進まず、思いがけない形で結ばれることを「異なもの」と言っています。
「味なもの」の「味」は、食べ物の味だけでなく、物事から感じ取るおもしろみや味わいも表します。そのため「味なもの」は、ただ不思議なだけでなく、そこにおもしろさや趣があるという意味を添えています。
古い用例としては、浮世草子『好色産毛(こうしょくうぶげ)』(1695年ごろ・江戸時代前期、雲風子林鴻作)に、「仮初ながらの思ひざし、縁はいなものあぢな物」という形が出てきます。ここでは、男女の一時の思いから生じる関係について、縁の不思議さを述べる表現として用いられています。
『好色産毛』は、井原西鶴以後に広まった浮世草子の一つです。浮世草子は、江戸時代の上方を中心に栄え、町人の暮らしや恋愛、人情を題材にした近世小説の一群で、このことわざも、そうした風俗文学の中で男女の縁を語る言葉として姿を現しました。
また、浄瑠璃『丹波与作待夜の小室節(たんばよさくまつよのこむろぶし)』(1707年・江戸時代中期、近松門左衛門作)も、このことわざと関わりの深い作品として伝わります。この作品は、与作と関の小万の恋、滋野井と三吉の子別れを扱った世話物の浄瑠璃です。
『丹波与作待夜の小室節』では、恋、親子、別れ、再会が複雑にからみ合います。人の思いどおりにならない結びつきや、思いがけない巡り合わせが物語を動かすため、「縁は異なもの味なもの」という言い方にふさわしい世界が描かれています。
このことわざは、後に「縁は異なもの」と短く言う形でも広まりました。「縁は異なもの」は、人の縁は理屈では説明できない不可思議なもので、男女の縁について言うことが多く、「味なもの」と続けることもあります。
江戸いろはかるたにも「縁は異なもの」として収められ、広く知られる表現になりました。かるたに入ったことで、日常のことわざとして覚えられ、恋愛や結婚の意外な成り行きを言い表す言葉として定着していきました。
現在では、主に男女の縁について、思いがけない二人が結ばれる場面で使います。ただし、人と人との出会い全般にも使える場合があり、偶然に見えた出会いの背後に、不思議な縁を感じるときにも用いられます。
つまり「縁は異なもの味なもの」は、縁の不思議さとおもしろさを一つに重ねたことわざです。予想もしなかった出会いが、やがて大切な関係へ進んでいくことを、やわらかく、しみじみと表す言葉です。
「縁は異なもの味なもの」の使い方




「縁は異なもの味なもの」の例文
- 小学校では口もきかなかった二人が大人になって結婚するとは、縁は異なもの味なものだ。
- 旅先で偶然出会った相手と長く付き合うようになり、縁は異なもの味なものだと感じた。
- 第一印象はよくなかった二人が、同じ仕事を通じて支え合う仲になったのだから、縁は異なもの味なものだ。
- 祖父母は見合いの日に道に迷ったことがきっかけで話がはずんだというから、縁は異なもの味なものだ。
- 友人の紹介で何気なく会った人が将来の伴侶になるとは、縁は異なもの味なものというほかない。
- 長い年月を経て再会した二人が夫婦になった話を聞き、縁は異なもの味なものだと思った。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・雲風子林鴻『好色産毛』1692〜1696年。
・近松門左衛門『丹波与作待夜の小室節』1707年。
・Merriam-Webster『Merriam-Webster.com Dictionary』Merriam-Webster、2026年。























