目次
「縁の下の力持ち」とは
読み方・意味
- ことわざ:縁の下の力持ち
- 読み方:えんのしたのちからもち
- 意味:目立たないところで他人を支えたり、陰で重要な役割を果たしている人やものを指す。
「縁の下の力持ち」とは、表立って目立つことはなくても、陰で努力し、人を支える存在を指すことわざです。
現代では、裏方として重要な役割を果たす人を称賛する意味で使われることが一般的です。
例えば、会社やチームでのサポート役、家族を支える存在など、表には出ないものの不可欠な貢献をしている人に対して使われます。
目立つ活躍だけでなく、陰ながら支える努力も大切であることを表す言葉です。
「縁の下の力持ち」の語源・由来
「縁の下の力持ち」の語源や由来は、日本の舞楽に関連しています。
大阪四天王寺の経供養(お経が日本に伝わったことを記念する法要)で催されていた舞楽が、その起源とされています。
この舞楽は一般の人々には公開されず、舞台の下、つまり「椽(えん)の下」で演じられていました。
このことから、「人目につかないところで努力するが報われない存在」という意味で、「椽の下の舞」という言葉が使われるようになりました。
これが「縁の下の力持ち」の元になったと考えられています。
また、近代以前には「力持ち」という言葉が、人前で力自慢を披露する芸人を指していました。
しかし、明治初期にこの芸が廃れたため、「力持ち」は単に腕力がある人を指すようになりました。
さらに、「縁の下の力持ち」は、明治大正の頃までは、他人のために骨を折るばかりで報われないこと(人)をさし、だからそんな仕事はやめたほうがよいという、おおむね否定的な文脈で使われていました。
近代以降はあらゆる分野で組織的な活動が求められ、裏方の重要性が認識されるようになったため、「縁の下の力持ち」も、単なる報われない苦労ではなく、目立たないが大切な役割を果たす人への称賛として使われるようになったのです。
「縁の下の力持ち」の使い方
「縁の下の力持ち」の例文
チームや組織で支える役割のとき
- 「サッカーチームで目立つのは点を取る選手だけど、守備の選手こそ縁の下の力持ちだよね。」
- 「イベントの成功は司会者だけじゃなく、裏方のみんなの努力があってこそ。まさに縁の下の力持ちだね!」
仕事や職場でのサポート役を称えるとき
- 「この会社がうまく回っているのは、清掃スタッフさんの働きがあるからだよ。まさに縁の下の力持ちだね。」
- 「表に出るのは営業チームだけど、資料を準備する人や事務の人たちがいないと成り立たない。彼らは縁の下の力持ちだね!」
学校や部活動での裏方の働きを称えるとき
- 「文化祭で主役はステージの人たちだけど、照明や音響の人たちがいてこそ成り立つんだよ。みんな縁の下の力持ちだね!」
- 「試合に出る人だけじゃなく、応援や道具の準備をする人も大事だよね。縁の下の力持ちってこういうことだね!」
社会全体の支えを考えるとき
- 「道路や電車がちゃんと動いているのは、点検や清掃をしてくれる人たちのおかげ。縁の下の力持ちの大切さを忘れちゃいけないね!」
「縁の下の力持ち」の類語(言い換え表現・似たことわざ)
- 縁の下の掃除番: 人には知られないように、努力、苦心をする人という意味。 仕事などでは、目立つ人ではないが必要とされる人という意味合いで使う。
- 陰の松の奉公: 目立たないところで忠実に仕え、努力を続ける人。(「松の奉公」とは、主人のそばに控えて仕えること)
- 簀の子の下の舞: 陰ながらに誰かの助けになっている人や、知れず他人のためになることを指す言葉です。 簀子は舞台の天井のことで、演者が簀子の下で舞を練習していたことが由来。
- 内助の功: 表舞台ではなく裏方で人を支えることをいう。また、夫を陰ながら支え、出世させたりする妻を指す。
- 闇の独り舞い: 闇の中で一人で舞っても人は見てくれないことから、無駄骨折りをするたとえ。また、目立たない所で独りで力を尽くすたとえ。
- 陰の功労者: 目立たないところで努力し、成果を支える人。
- 裏方: 舞台やイベントの成功を支える、表に出ない人々。
- 黒衣: 表舞台には出ないが、陰で大きな役割を果たす人。(もともとは歌舞伎で役者を支える裏方のこと)
- 支える人: 目立たないが、周囲を助けている人。
「縁の下の力持ち」の対義語
- 表舞台に立つ人: 注目を浴びるような、目立つ立場で活躍している人。
- 花形: 注目を集める、中心的な役割の人。
- 前面に出る人: 表立って、積極的に物事を進める人。
- スター: その分野で目立つ存在として活躍する人。
- 主役: 物語や出来事の中心となる人。
使用上の注意点
「縁の下の力持ち」を使う際の注意点として、目上の人に対して使わないことが挙げられます。
このことわざは、目立たない場所で努力し、支えてくれる人を称賛する言葉ですが、相手を評価する表現でもあるため、目上の人や上司に対して使うのは失礼に当たることがあります。
基本的に、部下や後輩が上司や先輩を直接評価することは避けるべきだからです。
例えば、上司や先生に「○○さんは縁の下の力持ちですね!」と言うと、無意識のうちに「陰で支える立場」という評価を下してしまい、失礼に感じられることがあります。
そのため、目上の人を称賛したい場合は、「いつも支えていただきありがとうございます」や「おかげでとても助かっています」といった感謝の言葉を使うのが適切です。
つまり、「縁の下の力持ち」はあくまで同僚や後輩、チームメンバー、裏方のスタッフなど、適切な対象に使うようにしましょう。
「縁の下の力持ち」の英語表現
Unsung hero
- 直訳: 称賛されない英雄
- 意味: 目立たないが、重要な役割を果たしている人を指す。努力や貢献があまり知られていないが、大切な存在であることを表す言葉。
- 例文:Even though she doesn’t get much recognition, she works hard every day to support the team. She’s truly an unsung hero.(あまり評価されることはないけれど、彼女は毎日チームを支えるために頑張っている。本当に縁の下の力持ちだよ。)
Behind-the-scenes player
- 直訳: 舞台裏のプレイヤー
- 意味: 表には出ず、陰で重要な役割を果たす人。裏方として活躍し、成功を支えている人を指す
- 例文:He never stands in the spotlight, but as a behind-the-scenes player, he makes sure everything runs smoothly.(彼は決して表舞台に立たないけれど、舞台裏で全てがうまく進むようにしている。)
Unsung champion
- 直訳: 称賛されないチャンピオン
- 意味: 本来ならもっと評価されるべきなのに、あまり目立たない存在の勝者や成功者。縁の下で支えているが、賞賛されにくい人を指す。
- 例文:She’s the unsung champion of the company—without her, we couldn’t function(彼女こそ会社の縁の下の力持ちだ。彼女なしでは成り立たないよ。)
「縁の下の力持ち」のクイズ問題!理解度チェック
Q1
次の画像に表示される4択問題に答えよ。
Q2
「縁の下の力持ち」の語源は?
- 四天王寺の舞楽に由来する
- 昔の力士が縁の下で鍛えたことに由来する
- 侍が戦の準備をする姿から生まれた
- 大工が家を支える様子から生まれた
Q3
次のうち、「縁の下の力持ち」を適切に使える場面はどれ?
- 一人で何もせずに過ごしている人を表すとき
- 文化祭で音響や照明を担当した人を称えるとき
- 目立つ司会者をほめるとき
Q4
「縁の下の力持ち」と同じような意味のことわざは?
- 棚からぼた餅
- 一石二鳥
- 内助の功
Q5
「縁の下の力持ち」の対義語は?
- 花形
- 影武者
- 水面下の努力