【故事成語】
円石を千仞の山に転ず
【読み方】
えんせきをせんじんのやまにてんず
【意味】
勢いが盛んで、抑え止めることができないことのたとえ。高い山から丸い石を転がすように、いったん勢いがつくと止めにくいことを表す。


【英語】
・irresistible force(抑えられない力)
・unstoppable momentum(止められない勢い)
【類義語】
・破竹の勢い(はちくのいきおい)
・燎原の火(りょうげんのひ)
「円石を千仞の山に転ず」の故事
「円石を千仞の山に転ず」は、中国の兵法書『孫子(そんし)』「兵勢」に由来する故事成語です。『孫子』は、中国の戦国時代の兵法書で、全十三編から成り、呉の孫武の著といわれます。
「兵勢」は、戦いにおける「勢い」の作り方を説く篇です。ここでいう「勢」は、単なる元気や気分ではなく、人や物が一定の条件のもとで大きな力を発揮する流れを指します。
『孫子』には、戦いに巧みな者は、勝利を兵士一人ひとりの力だけに求めず、全体の勢いに求める、と述べられています。人をよく選び、その人々を勢いに乗せることが大切だという考えです。
その説明の中に、木や石を転がすたとえが出てきます。木や石は、平らな場所にあれば静かに止まり、傾いた場所に置かれれば動きます。四角ければ止まりやすく、丸ければ転がりやすい、という性質をもっています。
そのあとに、「善く人を戦わしむるの勢い、円石を千仞の山に転ずるが如きは、勢なり」という趣旨の言葉が続きます。つまり、上手な指揮によって生まれる勢いは、非常に高い山から丸い石を転がすようなものだ、という意味です。
「円石」は、丸くて転がりやすい石です。「千仞」は、非常に高いことを表す言い方で、ここではけわしい高山を思わせます。丸い石が高い山から落ちれば、自然に速く、強く転がり、途中で止めることは大変難しくなります。
このたとえは、力まかせに押し通すことだけをすすめるものではありません。『孫子』では、勢いを生む場所や条件を整えれば、人の力は無理に責め立てなくても大きく動く、という考えを表しています。
原典では、軍を動かす場面のたとえですが、後には戦いに限らず、勢いが激しくて止めにくい物事にも用いられるようになりました。大きな流行、勝ち続ける勢い、急速に広がる動きなどを表すときにも、この故事成語の意味が当てはまります。
現在の「円石を千仞の山に転ず」は、丸い石が高山から一気に転がり落ちる姿を思い浮かべると分かりやすい言葉です。勢いがつく前の準備や条件がそろうと、物事は止められないほど強く進む、ということを表しています。
「円石を千仞の山に転ず」の使い方




「円石を千仞の山に転ず」の例文
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主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『デジタル大辞泉』小学館。
・円満字二郎編『小学館 故事成語を知る辞典』小学館、2018年。
・『孫子』戦国時代。























