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【怒りには則ち理を思い、危うきには義を忘れず】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

怒りには則ち理を思い、危うきには義を忘れず

【ことわざ】
怒りには則ち理を思い、危うきには義を忘れず

【読み方】
いかりにはすなわちりをおもい、あやうきにはぎをわすれず

【意味】
腹が立ったときには道理を考え、危ない場面や苦しい場面でも人としての正しい道を忘れてはならないという教え。

ことわざ博士
このことわざは、強い感情や苦しい立場にのまれず、常に筋道と正しさを守るべきだと戒めているんだよ。
助手ねこ
口論、失敗、損得の迷い、身の危険を感じる場面などで、とっさの感情や利害に流されそうなときに用いるニャン。

【英語】
・When angry, remember reason; in danger, do not forget what is right(怒ったときは道理を思い、危ないときは正しさを忘れない)
・Keep your head in anger and your principles in danger(怒りの中でも冷静さを、危機の中でも信念を失わない)
・Do not let anger or danger make you abandon what is right(怒りや危険のために正しい道を捨てない)

【類義語】
・見利思義(けんりしぎ)
・義を見てせざるは勇無きなり(ぎをみてせざるはゆうなきなり)
・短気は損気(たんきはそんき)

【対義語】
・売り言葉に買い言葉(うりことばにかいことば)
・義を捨てて利を取る(ぎをすててりをとる)
・短慮軽率(たんりょけいそつ)

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「怒りには則ち理を思い、危うきには義を忘れず」の語源・由来

ことわざを深掘り

このことわざは、怒りと危機という、人が最も心を乱しやすい二つの場面を並べて教えた言い方です。前半の「理」は道理や筋道を指し、後半の「義」は人として守るべき正しさを指しています。

言葉そのものは和文の形ですが、考え方の土台には、中国の儒教で重んじられた教えがあります。ただ怒りをこらえよと言うだけではなく、怒ったときこそ物事の筋道を考えよ、と一歩深く戒めているところに特色があります。

この考えに近い教えとして、古い中国の書物『論語』には、感情が高ぶったときのあり方を説く言葉が伝わっています。そこでは、腹が立ったときには、その先に起こる困りごとを考えるべきだという趣旨が語られています。

つまり、怒りにまかせてすぐ動くのではなく、その一歩先まで見なさい、ということです。このことわざの前半にある「理を思い」は、その教えを日本語として分かりやすく言い表したものと考えられます。

後半の「危うきには義を忘れず」にも、同じく儒教の大切な考え方が通っています。『論語』には、利益を目の前にしたときには義を思い、危ない場面では命をさし出しても正しい道を守るという教えが出てきます。

ここで言う「危うき」は、命の危険だけに限りません。立場が苦しいとき、損をしそうなとき、責められそうなときのように、人が正しさを手放したくなる場面まで含んでいます。そういうときでも義を忘れない、というのが後半の心です。

このように見ると、このことわざは、ばらばらの教えを無理につないだものではありません。怒りのときには理、危機のときには義という二つの柱で、人の心の乱れを正すように作られた、よくまとまった教訓だと分かります。

江戸時代には、儒学の学びが広がり、日々のふるまいを正す教えが広く重んじられました。その流れの中で、怒りに流されないこと、損得より先に正しさを考えることは、武士だけでなく町人や子どもの教育でも大切な心得とされました。

そのため、このことわざも、学問の場だけの難しい言葉ではなく、ふだんの行いを正すための言い方として受けとめられてきました。口げんか、失敗の言い逃れ、損を避けたい場面など、日常の小さな出来事にもそのまま当てはめやすいからです。

今でもこのことわざは、感情と正義の両方を見失わないための言葉として読み継がれます。怒りで筋道をなくさず、苦しい場面でも正しい道を外れないようにという教えは、時代が変わっても古びません。

つまり、「怒りには則ち理を思い、危うきには義を忘れず」は、人の心が乱れやすい瞬間にこそ、本当の人柄があらわれることを教えることわざです。感情をしずめることと、正しさを守ることを、短い一続きの言葉で深く伝えているのです。

「怒りには則ち理を思い、危うきには義を忘れず」の使い方

健太
休み時間のサッカーで、花だんに相手がけったボールが入ったのに、ぼくがけったことにされちゃったんだ。くやしくて、相手のいやがることを言い返したくなったよ。
ともこ
でも、ここで言い返し方をまちがえると、本当のことまで見えにくくなるね。怒りには則ち理を思い、危うきには義を忘れずっていう気持ちで、まず順番に話したほうがよさそう。
健太
うん、だれが最後にボールをけったかを落ち着いて先生に話すよ。腹は立っているけど、相手を困らせるためのうそは言わないことにする。
ともこ
そのほうが安心だね! くやしいときでも筋道をたしかめておけば、あとで自分がはずかしい思いをしないですむもの。
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「怒りには則ち理を思い、危うきには義を忘れず」の例文

例文
  1. 先生は、口論になったときほど怒りには則ち理を思い、危うきには義を忘れずという教えを思い出しなさいと言った。
  2. 兄は、店の失敗を人のせいにしたくなったとき、怒りには則ち理を思い、危うきには義を忘れずと自分に言い聞かせた。
  3. 友だちに強く責められても、怒りには則ち理を思い、危うきには義を忘れずの気持ちで言い返し方を選んだ。
  4. 試合で不利な判定を受けた場面こそ、怒りには則ち理を思い、危うきには義を忘れずが大切になる。
  5. 仕事で責任を問われそうなときに言い逃れをしないのは、怒りには則ち理を思い、危うきには義を忘れずを守る態度である。
  6. 社会の混乱の中でも弱い立場の人を踏みつけないことに、怒りには則ち理を思い、危うきには義を忘れずという言葉の重みがある。




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