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「犬も歩けば棒に当たる」の意味(語源由来・類義語)
【ことわざ】
犬も歩けば棒に当たる
【読み方】
いぬもあるけばぼうにあたる
【意味】
①出しゃばって何かをしようとすれば、思いがけない災難にあうということ。
②行動すれば、思いがけない幸せにめぐり会うことがある。
始めたばっかりに困ったことになることもあれば、出かけたおかげで思わぬいいことがあることもあるんやな。これは、行動の結果はどちらに転ぶかわからんって教えてくれてるんやな。
【語源由来】
犬がウロウロ歩いていると、棒を持った人間に殴られるという事が由来になっています。
やたらと出歩いているから人間にぶたれる犬を、出しゃばる人間に例え、大人しくしていれば災難にに遭う事もないという戒めとして使われます。また、じっとしていられない人間を戒めるためにも使われます。現代では、反対の意味で使われる事が多くなりました。「江戸いろはかるた」の中の「い」です。
【類義語】
・犬も歩けば棒に会う
・歩く犬が棒にあたる
・歩く足には泥がつく
・歩く足には棒あたる
・出るくいは打たれる
・高木風に憎まる
「犬も歩けば棒に当たる」の解説
「犬も歩けば棒に当たる」っていうことわざは、江戸時代の遊びである「江戸いろはかるた」から来ているんだよ。「いろはにほへと…」っていう歌の順序で並べられたカルタの、最初の一枚に書かれていたんだ。
「棒に当たる」っていう部分は、「人から棒で叩かれる」って意味だと解釈されているんだ。「犬も歩けば棒に当たる」っていうのは、もともとは、犬がうろつき歩いていると、人から棒で叩かれてしまうかもしれない、ということから、「自分から人に絡んで行って、結果的にトラブルに巻き込まれる」という意味で使われていたんだよ。
でもね、実は「棒に当たる」って、「幸運に出会う」という意味でも使われるんだ。なにかをしているとき、ふと良いことが起こることがあるよね、それを表しているんだよ。
現在では、どっちの意味でも使われているから、言葉の前後の内容を見て、どっちの意味で使われているのかを理解する必要があるんだよ。たとえば、「何もしないでいても棒に当たることがあるから、チャレンジしよう!」と言った場合は、幸運に出会う意味で使われているよね。
「犬も歩けば棒に当たる」の使い方
「犬も歩けば棒に当たる」の例文
- ともこちゃんは、勇気を出して新しいクラブ活動に参加したら、たくさんの友達ができた。犬も歩けば棒に当たるだ。
- 妹は、犬も歩けば棒に当たるということわざを心に留めて、お祭りで初めての縁日ゲームに挑戦したら、大きなぬいぐるみをゲットすることができた。
- 遊園地に行ったとき、お母さんから離れて一人でうろうろしていたら、知らないおじさんにぶつかってどなられた。犬も歩けば棒に当たるだなぁ。
- じっとしていても問題は解決しない。犬も歩けば棒に当たるであちこちに顔を出してみたら、割とあっさり問題が解決した。
- 今日は学校が休みで天気も良かったので、ぶらぶら散歩をしていた。するとばったり親戚のおじさんに会って、お昼をごちそうになった。犬も歩けば棒に当たるだ。
- 彼は、犬も歩けば棒に当たると言われても、恐れずに新しい挑戦を続け、最終的には大きな成功を手にした。
- 春の人事異動で本社からやってきた40代の男性社員はやたらと偉そうに色々な事に口を出す。犬も歩けば棒に当たるというが、あまり出しゃばらないでもらいたい。
- ゴミ拾いのボランティアに参加したら、カバンを拾い、持ち主が出てきてお礼をもらった。犬も歩けば棒に当たるだ。
「犬も歩けば棒に当たる」の文学作品などの用例
俺はただ一つ処にじっとしていないために、犬も歩けば棒に当たるというくらいな気持で、ぶらりぶらり歩いたのだった。(豊島与志雄の神棚より)
「犬も歩けば棒に当たる」を英語で言うと?
「犬も歩けば棒に当たる」の英語表現をご紹介します。
※英語の声:音読さん
The dog that trots about finds a bone.
- 直訳:走り回る犬は骨を見つける。
- 意味:物事をしようとしている者は思いがけない幸運に出会う。
- 用語:trot about:走り回る / bone:骨
A flying crow always catches something.
- 直訳:飛んでいるカラスはいつも何かをつかまえる。
- 意味:物事をしようとしている者は思いがけない幸運に出会う。
- 用語:crow:カラス
「犬も歩けば棒に当たる」北村孝一先生の専門家コラム
ことわざ研究者(ことわざ学会代表理事)。エッセイスト。学習院大学非常勤講師として「ことわざの世界」を講義した(2005年から断続的に2017年3月まで)。
用例や社会的背景を重視し、日本のことわざを実証的に研究する。多くのことわざ資料集を監修し、『故事俗信ことわざ大辞典』第2版(小学館、2012)を編纂・監修した。後者を精選しエッセイを加え、読みやすくした『ことわざを知る辞典』(小学館、2018)も編んでいる。視野を世界にひろげ、西洋から入ってきた日本語のことわざの研究や、世界のことわざを比較研究した著書や論考も少なくない。近年は、研究を続けるほか、〈ミニマムで学ぶことわざ〉シリーズ(クレス出版)の監修や、子ども向けの本の執筆にも取り組んでいる。
一つ目は、何かを始めようとすれば、思わぬ困難に出くわすこともある、という意味だよ。そして二つ目は、外に出て行動すれば、思いがけない幸運にも出会える、という意味もあるんだ。