『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』講談社より出版。詳細はコチラ!

【金が言わせる旦那】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・英語)

金が言わせる旦那

【ことわざ】
金が言わせる旦那

【読み方】
かねがいわせるだんな

【意味】
金を持っているために、世間から「旦那、旦那」ともてはやされるのであって、本人の人柄や実力によって尊敬されているとは限らないということ。

ことわざ博士
金が言わせる旦那は、金銭の力によって人の態度や言葉が変わることを皮肉る言い方だよ。
助手ねこ
相手が裕福であるために、周囲が必要以上に持ち上げたり、へつらったりする場面で用いるニャン。

【英語】
・Money talks.(金が物を言う)

【類義語】
・金が物を言う(かねがものをいう)
・金があれば馬鹿も旦那(かねがあればばかもだんな)
・地獄の沙汰も金次第(じごくのさたもかねしだい)

【スポンサーリンク】

「金が言わせる旦那」の語源・由来

ことわざを深掘り

「金が言わせる旦那」は、金銭を持つ人が、本人の人柄とは別に、周囲から「旦那」と呼ばれて持ち上げられることを皮肉ったことわざです。「金が言わせる」とは、相手の本心や道理ではなく、金の力がその言葉を言わせている、という意味を表します。

「旦那」は、もとは施主を指す言葉で、のちには主人や有力な客、金持ちの男性などを敬って呼ぶ言葉として広く使われました。「旦那様」は、奉公人や使用人が主人を、また妻が夫を敬って呼ぶ言葉として使われています。

江戸時代前期の浮世草子『日本永代蔵』(1688年刊、井原西鶴作)は、町人の知恵や才覚、金銭をめぐる成功と失敗を描いた作品です。この作品には「その時にあふて旦那様とよばれて」という用例があり、時勢や身分、金回りによって人が「旦那様」と呼ばれる様子がうかがえます。

この用例は、「金が言わせる旦那」という形そのものではありません。しかし、金や時運によって人の呼び方や扱いが変わるという感覚は、江戸時代の町人社会の中でよく知られていたと考えられます。

また、「金が物を言う」という言い方も、同じ発想をもつ表現です。これは、物事を行うときに金銭の力が大きいこと、また、金銭が言葉や道理以上に威力を発揮することを表します。

「金が物を言う」の古い用例としては、江戸時代後期の雑俳『柳多留』(1807年)に「うなるのは啌たか金はものを言い」とあります。ここでは、言葉で押し通すよりも、金銭そのものが強い働きをするという見方が示されています。

さらに近い表現として、「金が言わする追従」という言い方があります。「追従」は、人の気に入るような言動をすること、こびへつらうことを指します。

『仮名手本忠臣蔵』(1748年初演、二世竹田出雲・三好松洛・並木千柳合作)の「館騒動の段」には、「金が言わする追従とは夢にも知らぬ若狭之助」とあります。ここでは、金の働きによって相手がへつらう言葉を口にしているのに、若狭之助はそれに気づかないという場面で使われています。

この「金が言わする追従」は、「金が言わせる旦那」とよく似た形をもっています。どちらも、相手の敬意やほめ言葉が心から出たものではなく、金銭の力によって生まれたものだという見方を表しています。

「金が言わせる旦那」では、「追従」の代わりに「旦那」という呼び名が用いられています。つまり、金持ちであるために周囲が「旦那」と呼び、丁重に扱うものの、その敬意は本人の徳や立派さから出たものとは限らない、という皮肉が込められています。

同じ流れにある「金があれば馬鹿も旦那」は、金さえ持っていれば、人柄や経歴に関係なく「旦那」と持ち上げられるという意味です。このことわざと「金が言わせる旦那」は、金が人への評価や呼び方を変えてしまうという点で、ほぼ同じ発想をもっています。

現在の「金が言わせる旦那」は、金持ちをうらやむ言葉ではなく、金のために人を持ち上げる世間のあり方を批判する言葉として使われます。人を見るときは、財産や地位だけでなく、その人の行いと心を見なければならないという教えにつながることわざです。

「金が言わせる旦那」の使い方

健太
新しく来た子が、高いゲーム機をたくさん持っているから、みんな急にすごいすごいって言っているんだ。
ともこ
その子の人柄をまだよく知らないのに、持ち物だけで持ち上げるのは少し心配だね。
健太
金が言わせる旦那って、こういうことにも使えるのかな?
ともこ
うん。お金や持ち物じゃなくて、その子がどんな友だちなのかを見たいね!
【スポンサーリンク】

「金が言わせる旦那」の例文

例文
  • 金が言わせる旦那というように、財産があるだけで周囲の態度が急に変わることがある。
  • あの人へのほめ言葉は本心ではなく、金が言わせる旦那に近いものだった。
  • 金が言わせる旦那を忘れず、人を財産だけで判断しないようにしたい。
  • 店に大金を使う客が来ると、周囲の態度が変わり、まさに金が言わせる旦那だった。
  • 金が言わせる旦那のような扱いに慣れると、本当の信頼を見失いやすい。
  • 祖父は、金が言わせる旦那ではなく、人柄で慕われる人になりなさいと話した。

主な参考文献
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・井原西鶴『日本永代蔵』1688年。
・二世竹田出雲・三好松洛・並木千柳『仮名手本忠臣蔵』1748年初演。





『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』(講談社)発売中♪

マンガでわかる ことわざ図鑑

◆試験に出ることわざを網羅
ことわざは小学、中学、高校、大学、さらに就職試験の問題になっています。ことわざの試験対策としてもオススメの一冊。

◆マンガで楽しみながらことわざを知る! 憶える!
本書では、マンガで楽しくわかりやすくことわざを解説し、記憶に定着させます。