【ことわざ】
瓦は磨いても玉にはならぬ
【読み方】
かわらはみがいてもたまにはならぬ
【意味】
もともとの質や素質が限られているものは、いくら手を加えたり教えたりしても、すぐれたものには変わりにくいというたとえ。


【英語】
・You can’t make a silk purse out of a sow’s ear.(粗末なものから上等なものは作れない)
【類義語】
・三つ子の魂百まで(みつごのたましいひゃくまで)
・漆は剝げても生地は剝げぬ(うるしははげてもきじははげぬ)
【対義語】
・瓦も磨けば玉となる(かわらもみがけばたまとなる)
・氏より育ち(うじよりそだち)
「瓦は磨いても玉にはならぬ」の語源・由来
「瓦は磨いても玉にはならぬ」は、瓦と玉の価値や性質の違いをもとにしたことわざです。瓦(かわら)は、粘土を一定の形に固めて焼いたもので、屋根などに用いられる実用的な材料を指します。
一方、玉(たま)は、球状の宝石や真珠を指し、美しいもの、大切なもののたとえにも用いられます。漢字の「玉」そのものにも、美しいたま、すぐれたもの、立派なものという意味があります。
このことわざでは、瓦をいくら磨いても、材料そのものが玉に変わるわけではない、という具体的な見方がもとになっています。ここでいう「磨く」は、実際に表面を磨くことだけでなく、教育する、鍛える、飾り立てるといった働きかけをたとえています。
つまり、表面を整えることはできても、もとの性質そのものを、まったく別の価値あるものへ変えることは難しい、という考え方です。そのため、このことわざは、努力を否定する言葉というより、土台となる性質や材料を見きわめる必要を述べる言葉として受け取ると分かりやすくなります。
瓦と玉を対比する言い方は、古くから価値の違いを表す比喩として用いられてきました。たとえば、中国の史書『北斉書』(ほくせいしょ、唐、636年完成、李百薬撰)には、「瓦となって全からんより玉となって砕けよ」のもとになる「大丈夫寧可玉砕不能瓦全」という言葉が出てきます。
この言葉は、「平凡なまま無事でいるより、すぐれたものとして力を尽くすほうがよい」という意味で、「瓦は磨いても玉にはならぬ」とは別のことわざです。ただし、ここにも、瓦を平凡なもの、玉を価値あるものとして比べる発想がはっきり表れています。
また、「瓦も磨けば玉となる」という対義のことわざもあります。これは、素質が十分でない者でも努力を重ねればすぐれた者になれる、という意味で、「瓦は磨いても玉にはならぬ」と反対の考え方を表します。
二つのことわざを比べると、「瓦は磨いても玉にはならぬ」は本質の限界を強く見、「瓦も磨けば玉となる」は努力による変化を強く見ています。同じ「瓦」と「玉」を使いながら、言い方一つで正反対の教訓になるところに、この表現のおもしろさがあります。
現在の使い方では、人を見下すために用いると、きつい印象になりやすい言葉です。物の材料、計画の土台、仕事の仕組みなどについて、いくら表面を整えても根本が変わらない場合に使うと、ことわざの意味が穏やかに伝わります。
「瓦は磨いても玉にはならぬ」の使い方




「瓦は磨いても玉にはならぬ」の例文
- 安い材料を無理に高級品に見せようとしても、瓦は磨いても玉にはならぬ。
- 大事な大会で使う道具だから、瓦は磨いても玉にはならぬと考え、初めから質のよいものを選んだ。
- 計画の土台が弱ければ、後から飾りを足しても瓦は磨いても玉にはならぬ。
- ただ形だけを整えても、内容が伴わなければ瓦は磨いても玉にはならぬ。
- 壊れやすい材料をいくら磨いても、瓦は磨いても玉にはならぬと職人は判断した。
- 瓦は磨いても玉にはならぬという言葉を、人を決めつけるためではなく、物事の土台を見る戒めとして受け止めた。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・公益財団法人日本漢字能力検定協会『漢検 漢字ペディア』公益財団法人日本漢字能力検定協会。
・HarperCollins Publishers『Easy Learning Idioms Dictionary』HarperCollins Publishers.
・李百薬『北斉書』。























