【ことわざ】
鯨も魚、白魚も魚
【読み方】
くじらもさかな、しらうおもさかな
【意味】
大きな鯨も小さな白魚も、魚であることには変わりがないことから、形の大小によって軽んじたり、差別したりしてはいけないということ。


【類義語】
・一寸の虫にも五分の魂(いっすんのむしにもごぶのたましい)
【対義語】
・鯨と鰯(くじらといわし)
「鯨も魚、白魚も魚」の語源・由来
「鯨も魚、白魚も魚」は、非常に大きな鯨と、小さく細い白魚とを一つの言い方の中に並べたことわざです。二つは大きさが大きく異なりますが、昔の考え方では、どちらも水中にすむ「魚」の仲間として扱われていました。その共通点を強く示すために、「鯨も魚」「白魚も魚」と同じ形を繰り返しています。
ここでいう白魚(しらうお)は、全長がおよそ十センチメートルの細長い小魚です。生きているときは半透明で、死ぬと白く不透明になることから、この名があります。「白魚」は、「しろうお」と読んで別の小魚を指す場合もありますが、このことわざでは「しらうお」と読みます。
一方の鯨は、海にすむ生き物の中でもひときわ大きく、白魚とは大きさの点で鮮やかな対照をなします。現在の動物分類では、鯨は魚類ではなく哺乳類ですが、江戸時代の人々は鯨を魚類の一つとみなし、その肉を食用にしていました。このことわざの「鯨も魚」という言い方には、そうした昔の生き物の捉え方が残っています。
この表現で大切なのは、鯨と白魚の大きさが違うという事実そのものではありません。大きさに大差があっても、同じ仲間であるという点は変わらないという見方です。そこから、大きなものばかりを重んじ、小さなものを軽く扱ってはならないという教えが生まれました。
よく似た言い方に「鯨と鰯」がありますが、意味は反対です。「鯨と鰯」は、両者の大きさがあまりにも違うことから、二つのものの間に大きな差があることを表します。これに対して、「鯨も魚、白魚も魚」は、大小の差を認めたうえで、それでも同じ仲間であることを重く見ることわざです。
したがって、このことわざは、すべてのものに能力や性質の違いがないと言うものではありません。規模や外見の違いだけで価値を決めたり、小さいものを仲間外れにしたりする態度を戒めています。大きな集団と小さな集団、力の強い者と弱い者などを、同じ仲間として公平に扱うべき場面で、現在も用いられています。
「鯨も魚、白魚も魚」の使い方




「鯨も魚、白魚も魚」の例文
- 大企業も小さな町工場も地域を支える仲間なのだから、鯨も魚、白魚も魚の考えで意見を聞くべきだ。
- 部員が百人いる部も五人だけの部も、鯨も魚、白魚も魚であり、学校行事に参加する権利は変わらない。
- 大都市だけを重んじて小さな村を軽く扱うのは、鯨も魚、白魚も魚の教えに反する。
- わずかな額の寄付であっても、鯨も魚、白魚も魚として、一人一人の善意に等しく感謝したい。
- 大型店も個人商店も商店街の一員であり、鯨も魚、白魚も魚の立場から共に話し合う必要がある。
- 規模の小さな団体を会議から外さず、鯨も魚、白魚も魚の精神で公平に発言の機会を設けた。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・現代言語研究会著『日本語を使いさばく故事ことわざの辞典』あすとろ出版、2007年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・二階堂清風編著『釣りと魚のことわざ辞典』東京堂出版、1998年。
・阿部宗明・本間昭郎監修、山本保彦編纂『現代おさかな事典―漁場から食卓まで』エヌ・ティー・エス、199tGPT 7年。























