【ことわざ】
習うより慣れろ
【読み方】
ならうよりなれろ
【意味】
人に教えられるだけでなく、自分で実際に経験を重ねるほうが、よく身につくということ。理屈よりも、繰り返しやって体で覚えることの大切さを表す。


【英語】
・Practice makes perfect.(練習を重ねれば上達する)
【類義語】
・経験は学問にまさる(けいけんはがくもんにまさる)
・門前の小僧習わぬ経を読む(もんぜんのこぞうならわぬきょうをよむ)
【対義語】
・習わぬ経は読めぬ(ならわぬきょうはよめぬ)
「習うより慣れろ」の語源・由来
「習うより慣れろ」は、もとは「習うより慣れよ」「習より慣れよ」という形で伝わったことわざです。「習う」は人から教えを受けること、「慣れる」は何度も経験して自然にできるようになることを表します。つまり、教わることを否定するのではなく、教わっただけで満足せず、実際に手を動かし、体験を重ねることが大切だという考え方を表しています。
古い記録として、江戸時代前期の俳書『毛吹草(けふきぐさ)』(寛永15年・1638年序、正保2年・1645年刊、松江重頼著)に、このことわざにあたる形が出てきます。『毛吹草』は俳諧(はいかい)の作法や、句作に役立つ言葉、発句、付句、俚諺(りげん:世間で言い伝えられてきたことわざ)などを集めた書物です。ここに収められたことから、この言い方は、江戸時代の早い時期にはすでに人々の生活の知恵として知られていたと分かります。
また、近松門左衛門の浄瑠璃『国性爺合戦(こくせんやかっせん)』(1715年・江戸時代中期、大坂竹本座初演)には、「師匠はなけれど夫の打太刀。ならはふよりなれての事」という用例があります。これは、師匠に正式に習ったわけではなくても、身近な経験を重ねるうちに身についた、という趣旨の言い方です。ここでは、「ならはふ」という古い表記が使われ、現在の「習う」と同じ働きをしています。
「習うより慣れよ」の「慣れよ」は、相手にそうするよう促す古い命令の形です。現代では、より力強く、話し言葉に近い「習うより慣れろ」という形でも広く使われます。どちらも、理屈を聞くだけではなく、実地に何度もくり返すことで技芸や仕事が身につく、という同じ教えを表します。
このことわざの背景には、学校で説明を聞いてから学ぶ形だけでなく、仕事や暮らしの中で、師匠や先輩の動きを見ながら覚えていく学び方があります。手仕事、芸事、武芸、家の仕事などでは、言葉で説明された知識だけでは足りず、見よう見まねでやってみて、何度も失敗しながら身につけることが重んじられました。
現在の「習うより慣れろ」も、その流れを受け継いでいます。新しい道具の使い方、楽器の演奏、スポーツの動き、料理の手順などは、説明を読むだけではなかなか身につきません。実際にやってみて、くり返すうちに手順や感覚が自然に分かってくる。そのような経験の力を、短く分かりやすく言い表したのが「習うより慣れろ」です。
「習うより慣れろ」の使い方




「習うより慣れろ」の例文
- 自転車の乗り方は説明を聞くだけでは難しく、習うより慣れろで何度も練習した。
- 料理の包丁づかいは、習うより慣れろの気持ちで毎日少しずつ続けると上達する。
- 新しい会計ソフトは、操作方法を読むより、習うより慣れろで実際に入力して覚えた。
- 英会話は文法を学ぶことも大切だが、習うより慣れろで声に出す練習を重ねる必要がある。
- 祭りの太鼓は、習うより慣れろと言われ、先輩の横で何度も同じリズムをたたいた。
- 祖父はスマートフォンを使いながら、習うより慣れろとはこのことだと笑った。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・集英社辞典編集部編『会話で使えることわざ辞典』集英社、1989年。
・松江重頼『毛吹草』1645年。
・近松門左衛門『国性爺合戦』1715年。























