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【大男の殿】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

大男の殿

【ことわざ】
大男の殿

【読み方】
おおおとこのしんがり

【意味】
体は目立つほど大きいのに、いつも人に後れを取る男をあざけっていう言葉。

ことわざ博士
「大男の殿」は、立派な体格と、行動や能力が伴わない様子との食い違いを皮肉る表現だよ。
助手ねこ
体の大きな人が仕事や競争でたびたび後れを取る場面などで用いるニャン。

【英語】
・Great bodies move slowly(大きなものは動きが遅い)

【類義語】
・独活の大木(うどのたいぼく)
・大男総身に知恵が回りかね(おおおとこそうみにちえがまわりかね)

【対義語】
・山椒は小粒でもぴりりと辛い(さんしょうはこつぶでもぴりりとからい)

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「大男の殿」の語源・由来

ことわざを深掘り

「大男の殿」の「殿」は、「との」ではなく「しんがり」と読みます。ここでは敬称や立派な建物を表すのではなく、列や順番の最後尾、または最下位を意味します。したがって、言葉の形をそのまま解くと、「大男が最後についている」という意味になります。

「大男」は、体の大きな男、すなわち巨漢を指す言葉です。『申楽談儀(さるがくだんぎ)』(1430年・室町時代、世阿弥の芸談を元能が記録)には、「大男にていられしが」とあり、15世紀には、体格の大きな男性を表す言い方として使われていました。

一方、「しんがり」は、「後駆(しりがり)」が変化した言葉です。もとは、軍が退却するとき、軍列の最後に残って敵の追撃を防ぐこと、またはその役目を担う部隊を指しました。『鎌倉大草紙(かまくらおおぞうし)』(16世紀中ごろ成立、室町時代)には、太田道真を「殿」にして利根川を渡ったという記述があり、「殿」を、軍列の最後を守る者という意味で用いています。

『籾井家日記』(1582年ごろ・安土桃山時代)にも、「後陣の殿備へ喰付きて候」とあります。「殿備(しんがりぞなえ)」は、軍列の最後尾に立つ軍隊のことであり、「殿」がもともと軍事に関わる言葉であったことが分かります。

本来のしんがりは、逃げ遅れた者や役に立たない者ではありません。味方が退く間に、最後尾で敵を防ぐ重要で危険な役目です。この段階では、「最後にいる」という位置を表していても、能力の低さを意味する言葉ではありませんでした。

その後、「しんがり」は軍列だけでなく、隊列・序列・競争などで最後につくことや、最下位を表す言葉へと意味を広げました。小杉天外の『はやり唄』(明治35年)には、下男の儀助が「殿をして、のっそり附いて来る」とあり、一般の人の並びで、最後からついて来る様子を表しています。

「大男の殿」は、この「列や順番の最後」という意味の「殿」と、体の大きな「大男」を組み合わせた言い方です。体が大きければ目立ちやすく、力もありそうに見えるのに、いつも人より後れているという食い違いを、短い言葉で皮肉っています。

ここでいう「後れを取る」は、実際に列の最後を歩くことだけではありません。仕事の手際が悪い、行動が遅い、競争で負けるなど、何事にも他人より遅れたり、劣ったりすることまで含みます。そのため、「独活の大木」や「大男総身に知恵が回りかね」と近い意味で使われます。

ただし、このことわざは、人を「あざける」言葉です。体格だけを見て能力や性格を決めつける古い考え方も含むため、現在、人に直接向けて使えば、強い悪口になります。昔の作品やことわざの意味を説明する際には、相手を見下す表現であることも踏まえて扱う必要があります。

「大男の殿」の使い方

健太
昔話の大男は力持ちなのに、みんなが仕事を終えてから、いつも最後にやって来るね。
ともこ
昔なら、大男の殿とからかわれるような人物だね。
健太
でも、体が大きいだけで役に立たないと決めつけるのは失礼じゃない?
ともこ
うん! 人への悪口にはせず、古いことわざの意味として覚えよう。
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「大男の殿」の例文

例文
  • 古い物語では、体格は立派なのに何をしても後れを取る男が、大男の殿と笑われていた。
  • 彼は作業のたびに出遅れ、大男の殿と皮肉られた。
  • 大男の殿と呼ばれた選手は、毎朝早くから練習に励んだ。
  • 祖父は仕事に遅れた自分を、大男の殿だと冗談めかして評した。
  • 大男の殿は、体格と能力を結びつけて人をあざける古いことわざである。
  • 人を大男の殿と決めつけるのではなく、実際の行動を見て判断するべきだ。

主な参考文献

・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・現代言語研究会著『日本語を使いさばく故事ことわざの辞典』あすとろ出版、2007年。
・『申楽談儀』1430年。
・『鎌倉大草紙』16世紀中ごろ成立。
・『籾井家日記』1582年ごろ。
・小杉天外『はやり唄』1902年。





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