【ことわざ】
女の心は猫の眼
【読み方】
おんなのこころはねこのめ
【意味】
女性の気持ちは、猫の目のように変わりやすいということ。


【英語】
・A woman’s mind and winter wind change oft(女性の心と冬の風はしばしば変わる)
【類義語】
・女心と秋の空(おんなごころとあきのそら)
「女の心は猫の眼」の語源・由来
「女の心は猫の眼」のもとになったのは、猫の瞳孔(どうこう)が、周囲の明るさに応じて大きく変化する性質です。暗い場所では、光を多く取り込むために瞳孔が広がり、明るい場所では、入る光を少なくするために縮みます。そのため、猫の目は、短い間にも丸く大きくなったり、細く小さくなったりするように見えます。
この目立った変化から、日本語では「猫の目のよう」という比喩が生まれました。「猫の目のよう」は、物事の状態が次々と変わり、落ち着かないさまを表します。天候、値段、方針、予定などがめまぐるしく変化する場合にも使われるため、もともと女性の心だけに限った表現ではありません。
「女の心は猫の眼」は、この広い意味をもつ「猫の目」の比喩を、女性の気持ちに結び付けたことわざです。猫の目が明るさに応じてすぐに形を変えるように、女性の気分や考え、愛情も変わりやすいという昔の見方を、短い一文にまとめています。
このことわざは、特定の人物が登場する物語や、ある一つの事件から生まれたものではありません。由来の核となっているのは、身近な猫の目を観察して得られた印象です。大きな変化が一目で分かる猫の瞳を用いることで、心の移り変わりという目に見えないものを、分かりやすく表したといえます。
ユーザーが示した形では「猫の眼」と書きますが、現在の辞書には「女の心は猫の目」という表記も載っています。「眼」は「目」「目玉」を表す漢字なので、このことわざでは、「眼」と「目」のどちらを用いても、指しているものや読み方は同じです。
同じ考え方をもつことわざに、「女心と秋の空」があります。こちらは、秋の空模様が変わりやすいことに、女性の愛情の移ろいやすさを重ねた表現です。ただし、「男心と秋の空」という形がもともとの言い方で、江戸時代には、「男心」を用いる形のほうが多く使われていました。
このことから、変わりやすい心を、天気や動物の姿に重ねる発想は、女性だけに結び付いていたわけではないことが分かります。「女の心は猫の眼」は、そのような多くの比喩の中から、女性と猫の目を組み合わせた形が、一つのことわざとして定着したものです。
英語にも、「女性の心と冬の風はしばしば変わる」という意味のことわざがあります。日本語では猫の目や秋の空、英語では冬の風を用いていますが、どちらも変化しやすい自然の姿によって、心の移ろいを表しています。
ただし、このことわざは、女性全体の性質を事実として示すものではありません。昔の社会で作られた、性別についての見方を含むため、現代の会話では、女性を一まとめにして決め付ける言葉にならないよう、注意が必要です。古い物語やことわざの説明として、背景を明らかにしながら用いるのがよいでしょう。
このように、「女の心は猫の眼」は、光によって大きく変わる猫の瞳から「猫の目のよう」という比喩が生まれ、さらに、それを女性の気持ちに重ねることで形づくられたことわざです。目に見えない心の変化を、猫の目のはっきりとした変化によって表した言葉なのです。
「女の心は猫の眼」の使い方




「女の心は猫の眼」の例文
- 昨日まで旅立つと言っていた姫が急に都へ残ると決め、家臣は女の心は猫の眼だと驚いた。
- 昔の恋物語では、姫の愛情が次々に移る様子を女の心は猫の眼と表すことがある。
- 祖父は女の心は猫の眼という古いことわざを挙げ、心の変化を猫の瞳になぞらえた。
- その芝居は、女の心は猫の眼という言葉どおり、恋心が揺れ動く人物を描いている。
- 国語の授業で女の心は猫の眼を取り上げ、ことわざに表れた昔の女性観について学んだ。
- 女の心は猫の眼という表現は、相手を決め付けるように響くため、現代では慎重に用いる必要がある。
主な参考文献
・小学館『デジタル大辞泉』。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・Merck & Co., Inc.『MSD Veterinary Manual』「Eye Structure and Function in Cats」。
・John Ray, A Compleat Collection of English Proverbs, 3rd ed., Printed by J. Hughs, 1737.























