【男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲く】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語)

男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲く

【ことわざ】
男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲く

【読み方】
おとこやもめにうじがわき、おんなやもめにはながさく

【意味】
独り暮らしの男は家事がおろそかになり、身の回りが不潔になりがちだが、独り暮らしの女は身ぎれいになり、周囲の男たちからもてはやされるということ。

ことわざ博士
「蛆がわく」と「花が咲く」を対照させ、独り身になった男女の暮らしぶりを誇張して表す言い方だよ。
助手ねこ
配偶者を失った人に限らず、未婚を含む独り暮らしの男女について用いることもあるニャン。

【類義語】
・男後家にはぼろ下がり女後家には花が咲く(おとこごけにはぼろさがりおんなごけにははながさく)

「男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲く」の語源・由来

ことわざを深掘り

「男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲く」は、独り暮らしになった男と女の生活を、対照的に描いたことわざです。「蛆がわく」は、掃除や洗濯などが行き届かず、家や身なりがひどく汚れることを誇張して表します。一方の「花が咲く」は、身なりが整って華やかになり、周囲の男たちから注目されることをたとえています。

「やもめ」という言葉は、もともと男女を区別して用いられていました。『日本書紀(にほんしょき)』(720年・奈良時代)仁徳天皇七年九月の条には、「鰥(やもを)・寡(やもめ)」とあり、妻のいない男を「やもを」、夫のいない女を「やもめ」と呼び分けています。「鰥」は男やもめを、「寡」は女やもめを表す漢字です。

その後、「やもめ」は男にも女にも用いられるようになりました。そこで、性別をはっきり区別するときには、「男やもめ」「女やもめ」という形が使われるようになりました。このことわざでは、死別した人だけでなく、結婚せずに独りで暮らす人も含めていう場合があります。

現在のことわざにつながる古い記録は、太田全斎が編んだ『諺苑(げんえん)』(1797年・江戸時代後期)にあります。そこには、「男やもめに蛆がわく」と「女やもめに花が咲く」に当たる二つの言い方が収められています。男の側と女の側を対照的な姿として並べる考え方が、18世紀末には、すでにことわざとして書き留められていました。

前半の「男やもめに蛆がわく」には、妻が家事や身の回りの世話を担うという、当時の家庭生活が反映されています。妻を失った男は、家事に慣れていないために生活が乱れ、ついには蛆がわくほど不潔になるという、強い言葉で表したものです。「蛆がわく」は、実際に蛆が発生することだけをいうのではなく、手入れの行き届かない暮らしの象徴として用いられています。

後半の「女やもめに花が咲く」は、夫の世話から離れた女は、自分の身なりに手をかけられるようになり、男たちからもてはやされるという見方を表します。「花が咲く」は、家の中に花が咲くという意味ではなく、本人の暮らしや姿が華やかになることのたとえです。

明治時代には、尾崎紅葉の小説『二人女房(ににんにょうぼう)』(1891〜1892年、尾崎紅葉著)に、前半の言い方が出てきます。作中には、「寡夫に蛆が生く」とあり、妻は食料や燃料と並ぶほど家庭に欠かせない存在だ、という文脈で使われています。この用例でも、妻がいなければ男の暮らしは立ち行かなくなるという意味が、明確に表れています。

こうして、「男やもめに蛆がわく」と「女やもめに花が咲く」という二つの言い方が対句となり、現在の長い形で広く定着しました。「男後家にはぼろ下がり、女後家には花が咲く」など、同じ考えを異なる言葉で表した形も伝わっています。

このことわざは、男性が外の仕事をし、女性が家事を担うという、昔の役割分担を背景にしています。現代の男女にそのまま当てはめるのではなく、かつての家庭生活や男女観を映した表現として用いるのが適切です。

「男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲く」の使い方

健太
お隣の健二おじさん、結婚してから急に部屋が片付いて服もきれいになったんだって!
ともこ
へえ、一人暮らしのときは部屋が散らかって大変だって言っていたものね。
健太
男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲くというけれど、おじさんを見ていると本当にその通りだなと思うよ。
ともこ
ふふ、おじさんが素敵な人と出会えて、生活が花開いて本当によかったわね!

「男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲く」の例文

例文
  • 祖母は、男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲くと言って、一人暮らしになった叔父の生活を心配した。
  • 男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲くということわざには、昔の家事分担が色濃く表れている。
  • その小説は、男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲くを思わせる二人の暮らしを対照的に描いた。
  • 郷土史の授業では、男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲くを取り上げ、昔の男女観について考えた。
  • 男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲くを現代の男女すべてに当てはめることはできない。
  • 演劇部は、男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲くという昔の考えを題材にした芝居を上演した。

主な参考文献

・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・『日本書紀』720年。
・太田全斎『諺苑』1797年。
・尾崎紅葉『二人女房』1891〜1892年。




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